あらすじ

第十四話では、傅宗書(ふそうしょ)を守るため、小石(しょうせき)が関七(かんしち)とその配下たちと衝突し、瀕死の重傷を負う様子が描かれています。関七との闘いで命を落としかけた小石は、溫柔(おんじゅう)に間一髪で発見され、細雨楼へと運び込まれます。一命を取り留めた小石は溫柔(おんじゅう)に感謝の意を表し、その気持ちの証として玉のペンダントを贈ります。

一方、方応看(ほうおうかん)が細雨楼を訪れ、関七を逃がした理由と有橋グループへの不満を明かします。細雨楼は朝廷の争いに巻き込まれたくないと考えていましたが、方応看(ほうおうかん)の提案を受け、協力について話し合いを始めます。蘇夢枕(そむちん)は同盟に慎重な姿勢を示し、金風細雨(きんぷうさいう)楼の信条を強調します。

また、夫子(ふうし)は小石に迷天盟と関七の過去の出来事を語り、雷損(らいそん)の野心を暴露します。関七の脅威を懸念する傅宗書は、蘇夢枕(そむちん)と雷損に対策を協議するよう持ち掛けますが、二人の態度は事態をより複雑なものにしていきます。

ネタバレ

関七(かんしち)は血塗れの刀を握りしめ、傅宗書(ふそうしょ)の前に現れた。その時、石小雨(いししょうう)が飛び込み、傅宗書(ふそうしょ)を殴りつけ、別人だと偽装させた。二人は息の合った芝居を見せたが、護衛の「大人!」という叫びで関七(かんしち)は騙されていたことに気づき、激怒。石小雨(いししょうう)を殺そうとする。石小雨(いししょうう)は自らの体に巻いた導火線に火をつけ、関七(かんしち)と心中しようとするも、力の差は歴然。関七(かんしち)は逃走し、石小雨(いししょうう)は倒れた。狄飛驚(てきひきょう)が現れ、導火線を踏み消した。重傷を負った石小雨(いししょうう)は夜の中をよろめきながら歩き、溫柔(おんじゅう)に発見され、細雨楼へ運ばれた。

白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は、狄飛驚(てきひきょう)が雷損(らいそん)の傅宗書(ふそうしょ)襲撃を阻止したことを聞き、六分半(ろくぶはん)堂では雷損(らいそん)が刀、狄飛驚(てきひきょう)が鞘だと例えた。そして細雨楼では蘇夢枕(そむちん)が刀、自分は鞘だと言う。しかし蘇夢枕(そむちん)は、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)も自分と同じく刀であり、石小雨(いししょうう)こそが鞘だと仮論した。兄弟分の石小雨(いししょうう)の負傷を知り、二人は見舞いに行く。

溫柔(おんじゅう)は傷だらけの石小雨(いししょうう)に、なぜ方応看(ほうおうかん)に会いに行ったのか尋ねた。石小雨(いししょうう)は直接答えず、香袋を探し出し、溫柔(おんじゅう)に渡した。「これは溫柔(おんじゅう)さんのものだから、香袋一つでも命懸けで取り返す」と。さらに玉のペンダントを渡し、自ら溫柔(おんじゅう)の首にかけた。石小雨(いししょうう)は溫柔(おんじゅう)を抱きしめ、助けてくれたことに感謝し、もう黙って出て行かないと約束した。溫柔(おんじゅう)も石小雨(いししょうう)を強く抱きしめた。その時、蘇夢枕(そむちん)と白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が入ってきて、二人も石小雨(いししょうう)を抱きしめた。

方応看(ほうおうかん)が訪ねてきた。石小雨は怒り、方応看(ほうおうかん)の襟首を掴んだ。方応看(ほうおうかん)は無実を装い、自分は武術の心得はないと言った。そして、関七(かんしち)を放ったのは過去の恨みを晴らすためだと説明した。義父がかつてある組織の敵とされ、陥れられて行方不明になり、自分が爵位を継いで都に入った後も、排斥され、自堕落な生活を送っていたと。その組織は姿を変え続け、雷損(らいそん)と傅宗書(ふそうしょ)が権力の根幹であるため、関七(かんしち)を利用して現状を壊そうとしたのだと語った。

白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は、細雨楼は朝廷の争いに巻き込まれたくないと表明した。石小雨は方応看(ほうおうかん)の行動は偽善で、窮地はただの口実だと指摘する。しかし、現状を受け入れ、今後の成敗は細雨楼にかかっていると述べた。蘇夢枕(そむちん)が何か言おうとした時、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は方応看(ほうおうかん)に、もし同盟を結ぶなら細雨楼にどんな利益があるのかと尋ねた。方応看(ほうおうかん)は、有橋集団を壊滅させれば六分半(ろくぶはん)堂は後ろ盾を失い、今後の江湖は細雨楼が主導することになると答えた。蘇夢枕(そむちん)はすぐには返答せず、石小雨に方応看(ほうおうかん)を送り出すように言った。別れ際、石小雨は方応看(ほうおうかん)に、溫柔(おんじゅう)の気持ちを晴らすために相撲を取ろうと提案し、方応看(ほうおうかん)は快諾した。

白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は蘇夢枕(そむちん)の表情の変化に気づき、自分が先に発言したことに不満があるのかと尋ねた。蘇夢枕(そむちん)は白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が自分の代わりに発言したことを咎めはしなかったが、優柔不断な人間を嫌い、相手に利益を求めるのは侠義に仮すると述べ、金風細雨(きんぷうさいう)楼は私利私欲を求めていないと主張した。そして、方応看(ほうおうかん)が石小雨を陥れた時から、金風細雨(きんぷうさいう)楼はこの争いに巻き込まれたのだと悟った。蘇夢枕(そむちん)は白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)に、細雨楼の原則は「官門に入らず、後ろ盾を求めない」ことだと戒めた。

夫子(ふうし)は武器の手入れをしていた。婆婆(ばあば)は、年を取ったのだから諦めるように諭した。石小雨が夫子(ふうし)を訪ねると、夫子(ふうし)は関七(かんしち)の過去について語り始めた。かつて関七(かんしち)が率いた迷天盟は最強の組織で、上官府と結託して江湖の人々を弾圧し、残忍な行いを繰り返していた。雷損(らいそん)は各派の高手と協力して迷天盟を包囲攻撃し、多くの犠牲を払いながらも勝利したが、最終的に利益を得たのは雷損(らいそん)だけで、六分半(ろくぶはん)堂を拡大し、関七(かんしち)を隠れ蓑として利用していた。話を聞いた石小雨は、この江湖にはまだ自分たち若い世代がいると夫子(ふうし)に誓った。

傅宗書(ふそうしょ)は恐怖を感じ、蘇夢枕(そむちん)と雷損(らいそん)に対策を相談した。蘇夢枕(そむちん)は、関七(かんしち)をおびき出すには傅宗書(ふそうしょ)を囮にするしかないと提案した。傅宗書(ふそうしょ)は拒否したが、蘇夢枕(そむちん)と雷損(らいそん)は彼が同意するまでその場を動かなかった。関七(かんしち)は傅宗書(ふそうしょ)の妾を殺して傅宗書(ふそうしょ)をおびき出そうと傅家の小院にやってきた。夫子(ふうし)はそれを知り、見過ごすことができず、婆婆(ばあば)に別れを告げ、槍を持って関七(かんしち)を探しに出かけた。

第14話の感想

第14話は、石小雨の自己犠牲と仲間との強い絆、そして金風細雨(きんぷうさいう)楼の正義が際立つエピソードでした。関七の凶刃から傅宗書(ふそうしょ)を庇い、自爆を試みる石小雨の姿は、まさに「鞘」としての役割を体現しています。重傷を負いながらも、溫柔(おんじゅう)の香袋を握りしめていたシーンは、彼の優しさと一途さを物語っており、胸を打たれました。

蘇夢枕(そむちん)と白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が石小雨を見舞うシーンも印象的です。互いに刀と鞘の関係性を語る中で、彼らの強い絆が感じられました。特に、蘇夢枕(そむちん)が白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の言動を咎めつつも、根本的な考えは共有している様子からは、揺るぎない信頼関係が垣間見えます。

一方、方応看(ほうおうかん)の策略によって金風細雨(きんぷうさいう)楼は江湖の争いに巻き込まれていきます。方応看(ほうおうかん)の目的は復讐とはいえ、その冷酷なやり方は、金風細雨(きんぷうさいう)楼の信条とは相容れません。蘇夢枕(そむちん)の「官門に入らず、後ろ盾を求めない」という言葉は、金風細雨(きんぷうさいう)楼の正義を象徴しており、今後の展開における重要な指針となるでしょう。

つづく