あらすじ
第十六話では、小双(しょうそう)と関七(かんしち)を安全に街から出すため、朱小腰(しゅしょうよう)は二人を別々に逃がす計画を立てました。しかし、街を出た関七は突如朱小腰(しゅしょうよう)を襲撃します。小双が自分の息子だと知ってようやく攻撃の手を止めました。その時、小石(しょうせき)が駆けつけ朱小腰を救い、怒りにまかせて関七を殺そうとしますが、朱小腰に止められます。関七は有橋グループの悪事と、その背後にあるさらに大きな陰謀を明かします。その後、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が現れ、関七を殺害しただけでなく、朱小腰にも重傷を負わせ、「師の仇だ」と告げます。小石は白愁飛の行為に憤慨し、関七と変わらないと非難し、二人は対立します。朱小腰は規則違反のため蘇夢枕(そむちん)に罰せられ、金風細雨(きんぷうさいう)楼から追放されますが、蘇夢枕(そむちん)は彼女を友人として接し続けます。夜、小石は去っていく朱小腰を見送り、過ぎ去った日々への懐かしさと、将来への不安に胸を締め付けられました。
ネタバレ
小双(しょうそう)と関七(かんしち)を街から逃がすため、朱小腰(しゅしょうよう)は小双(しょうそう)を南門から、自分は関七(かんしち)と別のルートで脱出させようとしました。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)はこの計画を事前に察知し、南門で待ち伏せしますが、捕らえたのは小双(しょうそう)ただ一人。一方、朱小腰(しゅしょうよう)と関七(かんしち)は既に街の外へ。道中、関七(かんしち)は突然馬車から飛び降り、朱小腰(しゅしょうよう)の首を締め上げました。小双(しょうそう)が実は自分の息子だと朱小腰(しゅしょうよう)が明かすまで、関七(かんしち)は手を緩めませんでした。小双(しょうそう)の母、小白(しょうはく)は関七(かんしち)が父親の役目を果たせないと案じ、密かに小双(しょうそう)を裏子に出したのです。
真実を知った関七(かんしち)は更に激昂し、鎖で朱小腰(しゅしょうよう)を襲います。その時、駆けつけた小石(しょうせき)が朱小腰(しゅしょうよう)を救い、関七(かんしち)に猛攻を仕掛けます。小石(しょうせき)は関七(かんしち)の腕を傷つけ、とどめを刺そうとした瞬間、朱小腰(しゅしょうよう)に止められました。関七(かんしち)は仮撃を試みますが、小石(しょうせき)に倒されます。抵抗する力も残っていない関七(かんしち)に対し、小石(しょうせき)は蘇夢枕(そむちん)の言葉を思い出し、復讐を諦めます。
小石(しょうせき)は関七(かんしち)に傅宗書(ふそうしょ)と有橋集団の悪事を白状させます。関七は、有橋集団が雷損(らいそん)に火薬兵器を作らせ、遼に密売し、宋軍と戦わせていたことを認め、傅宗書(ふそうしょ)の背後には更に大きな黒幕がいると告げます。情報を聞き出した小石(しょうせき)は、もはや戦えない関七を見逃します。しかし、そこに白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が現れ、朱小腰(しゅしょうよう)を重傷させ、関七を殺害します。小石(しょうせき)の問いに、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は師匠の仇だと答えます。小石(しょうせき)は朱小腰(しゅしょうよう)を傷つけた白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)を非難し、負傷した朱小腰(しゅしょうよう)を抱えてその場を去ります。
雷損(らいそん)は関七の首を持ち帰り、傅宗書(ふそうしょ)は満足しますが、今後同じことがあれば兄弟の情は無いと雷損(らいそん)を警告します。彭尖(ほうせん)は方応看(ほうおうかん)に関七が白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)に殺されたことを報告します。方応看(ほうおうかん)は白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)を評価しつつも、関七が死に、雷損(らいそん)と傅宗書(ふそうしょ)が生きていることに激怒します。
金風細雨(きんぷうさいう)楼に戻った小石(しょうせき)と白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は激しく口論します。小石(しょうせき)は白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が朱小腰(しゅしょうよう)を傷つけたことを責め、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は朱小腰(しゅしょうよう)が邪魔をした上に師匠の仇だからだと仮論します。二人の意見は対立し、不愉快なまま終わります。溫柔(おんじゅう)は二人の争いを見つめ、何もできずにいます。
関七との戦いで体力を消耗した蘇夢枕(そむちん)の病状は悪化します。楊無邪(ようむじゃ)は咳き込む蘇夢枕(そむちん)を心配しながらも、笑顔で薬を届けます。
雷損(らいそん)は亡き妻の墓参りに行き、妻の弟を殺してしまったことを詫びます。雷純(らいじゅん)は初めて父の悲痛な姿を見ます。狄飛驚(てきひきょう)は雷純(らいじゅん)に、母の葬儀の日、雷損(らいそん)は一晩中霊堂の外に立ち、雪に覆われ、一夜にして髪が白くなったと話します。
回復した朱小腰(しゅしょうよう)は金風細雨(きんぷうさいう)楼に戻り、罰を受けます。激しい棒叩きを受けますが、最後のとどめが振り下ろされる寸前、蘇夢枕(そむちん)が現れ、身代わりになります。蘇夢枕(そむちん)は楼主として朱小腰(しゅしょうよう)の行動にも責任があると宣言し、朱小腰(しゅしょうよう)を金風細雨(きんぷうさいう)楼から追放しますが、友人としての関係は続けると告げます。楊無邪(ようむじゃ)の提案で、皆で朱小腰(しゅしょうよう)の送別会を開きます。
小石(しょうせき)と溫柔(おんじゅう)は師匠の母を高い場所へ連れて行きます。母は空気の中に師匠の気配を感じます。小石(しょうせき)は母を抱きしめ、慰めます。夜、小石は一人で街の外へ行き、朱小腰(しゅしょうよう)を見送ります。師匠と別れた時、いつかまた会えると信じていたので悲しくはなかったが、都に来てから、別れは永遠のものもあると悟ったことを思い出します。小石は自分の旅を通して、日々の出来事や人との出会いを大切に記録していきたいと考えます。
第16話の感想
第16話は、様々な感情が交錯する重厚なエピソードでした。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)による関七の殺害は、復讐の連鎖の残酷さを改めて突きつけます。師匠の仇を討つという大義名分はありますが、その行動によって朱小腰(しゅしょうよう)が巻き込まれ、小石との間に深い溝を作ってしまう結果となりました。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の正義と小石の正義、どちらが正しいと言えるのか、簡単には答えが出せない複雑な問題提起です。
特に印象的だったのは、小石の葛藤です。関七を倒せる状況でありながら、蘇夢枕(そむちん)の言葉を思い出し、復讐を踏みとどまる姿は、彼の成長と心の強さを示しています。しかし、その直後に白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が関七を殺害してしまうという皮肉な展開は、見ていて歯がゆい気持ちになりました。小石と白愁飛の対立は、今後の物語の大きな軸となるでしょう。
また、蘇夢枕(そむちん)の病状悪化も気がかりです。楊無邪(ようむじゃ)の献身的な介護にも関わらず、咳き込む姿は痛々しく、彼の余命が限られていることを改めて感じさせます。そして、雷損(らいそん)の悲痛な姿も印象的でした。妻の弟である関七を殺めてしまったことへの後悔は、彼の冷酷な仮面の下に隠された人間味を垣間見せます。
つづく