あらすじ
第二十一話は、蘇夢枕(そむちん)と雷損(らいそん)の対決を描いています。蘇夢枕(そむちん)は単身、雷損(らいそん)との交渉に臨み、有橋グループに対抗するために共闘を呼びかけます。しかし、雷損(らいそん)は目前の脅威である蘇夢枕(そむちん)の排除を優先しようとします。雷損(らいそん)の部下、狄飛驚(てきひきょう)の指示で六分半(ろくぶはん)堂の配下が蘇夢枕(そむちん)を取り囲みますが、蘇夢枕(そむちん)は凄まじい実力を見せつけ、襲撃者を瞬く間に倒していきます。
一方、小石(しょうせき)は謎の襲撃を受けた溫柔(おんじゅう)と雷純(らいじゅん)を見つけ出します。雷純(らいじゅん)は不幸に見舞われながらも、蘇夢枕(そむちん)の身を案じていました。一連の戦闘の後、雷損(らいそん)は狄飛驚(てきひきょう)によって爆破された亭に突き落とされます。死んだかに見えましたが、実は狄飛驚(てきひきょう)によって救出されていました。
意識を取り戻した雷損(らいそん)は狄飛驚(てきひきょう)の行為に激怒しますが、雷純(らいじゅん)の安全を考慮し、ひとまず身を隠すことを承諾します。狄飛驚(てきひきょう)は雷損に深い忠誠心を抱き、雷純(らいじゅん)を守ると誓います。蘇夢枕(そむちん)は飛天跨海堂で宴を催し、江湖の英雄たちを招待することにします。彼らの反応を探り、裏切りを警戒するためです。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)と小石(しょうせき)は英雄の定義について議論を交わし、それぞれの価値観の違いを明らかにします。方応看(ほうおうかん)は自ら出席することはありませんでしたが、贈り物だけを送り、背にある複雑な権力争いを暗示させました。
ネタバレ
雪が激しく降りしきる中、蘇夢枕(そむちん)は雷損(らいそん)との約束の場所へ単身赴いた。雷損(らいそん)が雷純(らいじゅん)を利用していることを単刀直入に指摘し、有橋グループに対抗するために共闘を提案する。雷損(らいそん)もその利点は理解していたが、現状最大の脅威は蘇夢枕(そむちん)自身だと考えており、狄飛驚(てきひきょう)に命じて六分半(ろくぶはん)堂の者達で蘇夢枕(そむちん)を包囲させた。しかし、蘇夢枕(そむちん)は襲いかかってきた者達を瞬く間に倒してしまう。
一方、街中で溫柔(おんじゅう)の玉佩を拾った小石(しょうせき)は胸騒ぎを覚える。案の定、謎の人物に追われていた溫柔(おんじゅう)と雷純(らいじゅん)は袋小路に追い詰められていた。謎の人物は容易く溫柔(おんじゅう)を倒し、雷純(らいじゅん)にも襲いかかる。駆けつけた小石(しょうせき)は雷純(らいじゅん)を救うが、彼女は既に傷を負っていた。目を覚ました溫柔(おんじゅう)は雷純(らいじゅん)を心配するが、雷純(らいじゅん)は血痕を隠しながら小石(しょうせき)に蘇夢枕(そむちん)の救援を促す。
白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)と小石(しょうせき)は十裏亭へ急行し、六分半(ろくぶはん)堂と衝突する。亭内で突如爆発が起こり、狄飛驚(てきひきょう)は混乱に乗じて雷損(らいそん)を亭内に突き落とし、姿を消した。一同は狄飛驚(てきひきょう)の意図を悟り、その場を去る。狄飛驚(てきひきょう)はその後、水中に飛び込み雷損(らいそん)を密かに救出する。
安全な場所に身を寄せた雷純(らいじゅん)は、自らの体に染み付いた汚れを落とすかのように何度も身体を洗う。知らせを聞いた蘇夢枕(そむちん)は、病身を押して雷純(らいじゅん)の元へ向かうが、結局部屋の前で立ち尽くし、入る勇気が出ない。物音に気づいた雷純(らいじゅん)は外へ出ようとするが、何かを思い出し足を止める。その夜、雷純(らいじゅん)は溫柔(おんじゅう)に寄り添いながら、眠れぬ夜を過ごした。翌朝、彼女は父の雷損(らいそん)が死んだことを知る。そして、犯人は狄飛驚(てきひきょう)だという…。
目を覚ました雷損(らいそん)は狄飛驚(てきひきょう)の独断に激怒する。偽装死を受け入れ難い雷損(らいそん)だったが、雷純(らいじゅん)のことを考え態度を軟化させる。狄飛驚(てきひきょう)は揚州へ身を隠し、時機を見て雷純(らいじゅん)を呼び寄せることを提案する。北営林子へ向かう道中、雷損(らいそん)は七年前、江南霹靂(へきれき)堂の一分家だった六分半(ろくぶはん)堂の頭領、雷震雷(らいしんらい)を殺害した時のことを思い出す。権力争いを恐れた雷損(らいそん)は、雨の夜に雷震雷(らいしんらい)を謀殺したのだ。あの夜、雷震雷(らいしんらい)の目はまるで雷損(らいそん)を見拠えているようで、恐怖に慄いたことを鮮明に覚えていた。
雷損(らいそん)は狄飛驚(てきひきょう)に、誰に最も忠誠を誓うのか問う。自分か、六分半(ろくぶはん)堂か、それとも雷純(らいじゅん)か。狄飛驚(てきひきょう)は迷わず雷純(らいじゅん)と答える。雷損は満足げだが、内心では去りがたい思いを抱いていた。狄飛驚(てきひきょう)に雷純(らいじゅん)の事を託し、一人去っていく。狄飛驚(てきひきょう)は雷損の後ろ姿を見つめながら、かつて雷損夫妻に救われた時のことを思い出し、雷損を守ると心に誓う。
その夜、蘇夢枕(そむちん)は飛天跨海堂で宴を催し、江湖の豪傑たちを集めた。彼らは変化の兆しを敏感に察知する猛者達だ。蘇夢枕(そむちん)は小石(しょうせき)と白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)に、狄飛驚(てきひきょう)をまだ完全に信用しておらず、雷損の死も確信が持てないため、警戒を怠らないよう忠告する。
雷媚(らいび)は雷損の訃報に喜ぶが、六分半(ろくぶはん)堂の者から偽装死であることを知らされる。宴席で、蘇夢枕(そむちん)の振る舞いを見て白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は感服する。真の英雄は勇気と知恵だけでなく、先見の明と臨機応変さも持ち合わせているのだと。小石(しょうせき)は、英雄とは逆境に立ち向かい成長していく不屈の精神を持つ者だと考える。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は権力への渇望を口にし、権力は喜びをもたらし、失えば苦痛となると語る。小石(しょうせき)は、理想を持つことは良いが焦ってはいけないと諭す。
方応看(ほうおうかん)は宴には出席せず、豪華な屏風を贈ってきた。続いて、六分半(ろくぶはん)堂の者達が棺を担いで現れ、緊張が走る。
第21話の感想
第21話は、主要人物たちの複雑な感情と思惑が交錯する、非常に緊迫感のあるエピソードでした。蘇夢枕(そむちん)の雷損への直接対決は、両者の緊張感を見事に表現していました。蘇夢枕(そむちん)の冷静な判断と、雷損の老獪な策略がぶつかり合い、今後の展開への期待が高まります。
特に印象的だったのは、雷純(らいじゅん)のシーンです。父の策略に利用され、心身ともに傷ついた彼女の苦悩は、見ている側にも深く伝わってきました。身体を洗う行為は、単なる汚れを落とすだけでなく、心の傷を洗い流したいという彼女の切実な願いの表れでしょう。蘇夢枕(そむちん)の優しさも感じられますが、二人の間の溝は深く、今後の関係がどうなるのか心配です。
狄飛驚(てきひきょう)の行動も注目すべき点です。雷損への忠誠心か、雷純(らいじゅん)への想いからか、彼の真意はまだ分かりません。雷損を救出したことで、今後の勢力図に大きな影響を与えることは間違いありません。雷損の回想シーンで描かれた過去の罪も、今後の展開に影を落とすでしょう。
つづく