あらすじ

第30話は、溫柔(おんじゅう)が小石(しょうせき)を救うため、自らの疲労と危険を顧みず、ロープを作って崖下から脱出させた時の出来事を描いています。溫柔(おんじゅう)が地上に戻って気を失った後、小石は彼女を背負って北へ向かいます。厳しい寒さに見舞われる中、小石は溫柔(おんじゅう)を守るために全力を尽くし、二人は吹雪の中、抱き合って寒い夜を過ごします。

一方、小石は夢の中で師匠の天衣居士(てんいこじ)に出会い、劉世安(りゅうせいあん)の入関計画と蘇夢枕(そむちん)が彼を出関させた背景、そして方歌吟(ほうかぎん)が遼人と戦い、蔡京(さいきょう)に陥れられた過去を知ります。

その頃、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は自身の過去に関する幻覚に囚われます。そして、再び現れた蔡京の誘いを受け、彼の陣営に加わることを決意します。朱小腰(しゅしょうよう)たちは白愁飛を救おうとしますが、彼は既に仲間を裏切り、敵の一員となっていたのです。そして、かつての兄弟を自らの手で殺めてしまうのでした。

ネタバレ

溫柔(おんじゅう)はついに力尽き眠りに落ちたが、小石(しょうせき)のため、無理やり目を覚ました。よろめきながら起き上がり、川辺に戻り、背負子とテントのロープと布を手に取った。崖っぷちに著くと、テントを布切れに裂き、ロープを作って穀底へ投げ下ろした。一方、小石(しょうせき)は夢で見た光景から剣術の奥義を悟っていた。

ロープを見つけ、小石(しょうせき)は急いで崖を登ったが、溫柔(おんじゅう)が倒れているのを見つける。そこに方応看(ほうおうかん)が到著し、ロープを見て溫柔(おんじゅう)の無事を確認、小石(しょうせき)も生きていることを知る。そして、穀底へ降りていった。そこには白骨死体が…。それは方応看(ほうおうかん)の父、方歌吟(ほうかぎん)のものだった。方応看(ほうおうかん)は骨に向かって、恨み言を吐き出す。なぜ彼らを敵に回したのか、なぜ一緒に死んでくれなかったのか。方歌吟(ほうかぎん)には実の息子がおり、武功、方家の全て、血河神剣も全てその息子が受け継ぐ。自分は拾われただけの存在だった。骨を叩き斬ろうとするが、どうしてもできない。剣を落とし、跪いて頭を下げる。しかし、次の瞬間、表情は凶悪なものに変わり、実の息子を必ず殺すと誓う。

小石(しょうせき)は溫柔(おんじゅう)を背負い北へ向かう。いつの間にか雪景色の中へ迷い込んでいた。雪は降りしきり、木の枝が折れんばかりだ。小石(しょうせき)は集めた薪を抱え、急いで火を起こそうとするが、あまりの寒さと風に火打石に火がつかない。溫柔(おんじゅう)は顔色が悪く、今にも息絶えそうだ。小石(しょうせき)は自分の上著を彼女にかけ、抱きしめて温めた。二人はそのまま夜を迎えた。

うとうとする中、小石(しょうせき)は師匠の天衣居士(てんいこじ)の姿を見る。天衣居士(てんいこじ)は二人を町へ連れて帰り、療養させた。そして、神侯(しんこう)の依頼で劉世安(りゅうせいあん)という人物を迎えに来たことを小石(しょうせき)に告げる。数日後、劉世安(りゅうせいあん)は関内へ入る予定だ。かつて劉世安(りゅうせいあん)を出関させたのは蘇夢枕(そむちん)だった。出関の理由は身の安全のためだが、それ以上に蔡京(さいきょう)を失脚させる証拠を集めるためだった。数年前、方歌吟(ほうかぎん)は江湖で最も有名な侠客だった。遼が侵略してきた時、方歌吟(ほうかぎん)は義勇軍を組織し、遼に立ち向かい、連戦連勝した。しかし、これが蔡京(さいきょう)の武器取引の邪魔になった。蔡京(さいきょう)は軍を送り、義勇軍を奇襲し、皆殺しにした。しかし、生き残った兵士がおり、その手には命令書があった。

白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は夢の中で小石(しょうせき)に別れを告げられる。目を覚ますと、白高唐(はくこうとう)が何かを呟いている。白高唐(はくこうとう)は自分の過去を語り始めたが、それはまるで白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)と小石(しょうせき)の物語のようだった。壁に書かれた「一鳴驚人、一飛衝天」の文字を指さし、興奮気味に話す白高唐(はくこうとう)。それはかつて小石(しょうせき)と白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が一緒に刻んだものだったが、白高唐(はくこうとう)は自分と兄弟が刻んだものだと言う。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が立ち上がると、白高唐(はくこうとう)の姿がぼやけ、幻影となる。白高唐(はくこうとう)が自分の名前は白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)だと言った時、全ては幻だと白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は悟る。白高唐(はくこうとう)は自分の想像が生み出したものだった。蔡京(さいきょう)が再び接触してきた時、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は手を組むことを承諾する。

夜霧の中、冷たい風が吹き始める。救出作戦が静かに開始された。朱小腰(しゅしょうよう)は仲間と共に牢獄へ突入するが、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は無事な上に、賊の頭領となっていた。怒りに燃えた彼らは白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)を裏切り者とののしる。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は狂ったように、細雨楼の兄弟たちの胸に匕首を突き刺した。

第30話の感想

第30話は、様々な感情が交錯する濃密なエピソードでした。溫柔(おんじゅう)と小石の逃避行、方応看(ほうおうかん)の過去、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の裏切り…それぞれの運命が大きく動き始め、物語は佳境へと突入していきます。

特に印象的なのは、極寒の中、小石が溫柔(おんじゅう)を温めるシーンです。死線を彷徨う溫柔(おんじゅう)を必死に守ろうとする小石の姿からは、深い愛情と責任感が伝わってきました。二人の抱擁は、過酷な状況の中で唯一の温もりであり、希望の光のように感じられました。

一方、方応看(ほうおうかん)の過去が明らかになり、彼の複雑な心情が浮き彫りになりました。父への恨み、実の息子への嫉妬、そして復讐心。様々な感情が渦巻く中で、彼は苦悩し、葛藤します。彼の今後の行動が、物語に大きな影響を与えることは間違いありません。

そして、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の裏切り。夢の中で小石に別れを告げるシーンは、彼の決意の表れだったのでしょう。蔡京(さいきょう)と手を組み、細雨楼の兄弟たちを手にかけた彼の姿は、衝撃的でした。一体何が彼をそこまで駆り立てたのか、今後の展開が気になります。

つづく