あらすじ
第三十一話は、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の裏切りにより、蘇夢枕(そむちん)を救出しに向かった仲間たちが皆命を落とした場面から始まります。蘇夢枕(そむちん)は深い悲しみに暮れながらも、白愁飛と会い、彼を連れ戻そうとします。しかし、白愁飛は蘇夢枕との決別を宣言します。別れる間際、白愁飛は雷媚(らいび)に朱小腰(しゅしょうよう)の居場所を密告します。その後、蘇夢枕は虐待を受けていた朱小腰(しゅしょうよう)を救出します。
一方、小石(しょうせき)は溫柔(おんじゅう)の無事を天に祈っていました。すると奇跡的に溫柔(おんじゅう)は一命を取り留めます。そして、小石は両親の死の真相を知り、父の仇を討つ決意を固めます。溫柔(おんじゅう)も小石の復讐を後押しします。
その頃、小石の死によって孤独を感じていた白愁飛は、雷純(らいじゅん)の提案を受け入れ、彼女と手を組み武林の覇権を握ろうと企みます。
ネタバレ
蘇夢枕(そむちん)は一晩中、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)からの知らせを待っていたが、届いたのは悲報だった。救出に向かった兄弟たちは全滅し、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は裏切ったのだ。蘇夢枕(そむちん)は大きな衝撃を受けたが、感情を抑え、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)と直接会う決意をする。様々な可能性を想定していたとはいえ、生死を共にした兄弟に手をかけた白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の行動は、到底受け入れられるものではなかった。
蘇夢枕(そむちん)の問いに、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は率直に答えた。この道は自分が望む全てを与えてくれる、なぜ進まぬのか、と。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は自分が蘇夢枕(そむちん)とは違う道を行く人間だと理解していた。小石(しょうせき)がいなければ、兄弟にはならなかった。今、小石(しょうせき)はいない。共に進む理由はもうないのだ。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は杯を空け、蘇夢枕(そむちん)との完全な決別を宣言した。しかし、別れる前に、雷媚(らいび)を通して朱小腰(しゅしょうよう)の居場所を蘇夢枕(そむちん)に伝えていた。
朱小腰(しゅしょうよう)はボロボロの袋に詰められ、任労(じんろう)任怨(じんえん)によって路地に放置されていた。路地の乞食たちが異様な袋に気づき、中を調べると怪我をした女性だと分かり、悪事を企てる。まさに朱小腰(しゅしょうよう)が襲われようとしたその時、蘇夢枕(そむちん)が鷹のように現れ、乞食たちをあっという間に倒し、朱小腰(しゅしょうよう)を救出した。
小石(しょうせき)は天に祈ることはなかったが、もし神がいるなら、溫柔(おんじゅう)の無事を祈りたいと思っていた。溫柔(おんじゅう)のためなら、どんな犠牲も払う覚悟だった。石積み前でひざまずき、夜から昼まで祈り続けた。天は彼の祈りを聞き届けたのか、溫柔(おんじゅう)は死の淵から蘇った。
皆で溫柔(おんじゅう)の生還を祝った。天衣居士(てんいこじ)は溫柔(おんじゅう)を気に入り、小石(しょうせき)が彼女を不幸にするのではないかと心配する。溫柔(おんじゅう)は天衣居士(てんいこじ)に、小石(しょうせき)には欠点も多いが、初心を忘れない、それが小石(しょうせき)の良さだと説明する。変わらない想いが一番尊いのだ。天衣居士(てんいこじ)は仲睦まじい二人を見て、安堵した。
白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は茶花(さか)婆婆(ばあば)の家に帰った。家は変わっていないが、全ては変わり果て、荒涼としていた。過去の思い出が蘇り、小石(しょうせき)が笑って自分の名前を呼ぶ幻を見た。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)も笑ったが、手を伸ばすと小石(しょうせき)は煙のように消えてしまった。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の心は沈んだ。家に帰り、一人で酒を飲み、心の苦しみを紛らわせようとした。小石(しょうせき)と溫柔(おんじゅう)は自分の人生の灯火だった。その灯火があれば、迷うことはないと信じていた。しかし、小石(しょうせき)の死と共に、灯火は消えてしまったのだ。
天衣居士(てんいこじ)は小石(しょうせき)に、母の死の真相を明かした。元十三限(げんじゅうさんげん)が小石(しょうせき)の家族殺害に関わっており、父・方歌吟(ほうかぎん)は行方不明だという。そして、小石が修行している剣法は、方歌吟(ほうかぎん)が編み出した血河神剣だと告げた。小石は石積み前で父を弔っていると、同じく弔いに来た子供に出会った。二人の様子を見ていた溫柔(おんじゅう)は、その子供も幼い頃の小石と同じような経験をしているのかもしれないと感じた。
父の仇を知った小石は復讐を決意する。溫柔(おんじゅう)はすぐに彼の考えを理解し、支えると告げた。小石は溫柔(おんじゅう)を抱きしめ、理解と支えに感謝した。
狄飛驚(てきひきょう)は白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)を軽蔑していたが、どうすることもできなかった。雷純(らいじゅん)は白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)に、二人で協力し、六分半(ろくぶはん)堂を天下第一の幇派にしようと持ちかける。白愁飛は迷わず同意した。二人は杯を交わし、同盟を結んだ。
第31話の感想
第31話は、様々な感情が渦巻く、非常にドラマチックな展開でした。白愁飛の裏切りは衝撃的でしたが、彼の心情描写も丁寧に描かれており、単なる悪役ではなく、複雑な内面を持つ人間として描かれていたのが印象的でした。蘇夢枕(そむちん)の悲しみと怒り、そしてそれでも冷静さを保とうとする姿は、彼の器の大きさを改めて感じさせます。
小石と溫柔(おんじゅう)の夫婦愛も感動的でした。小石のひたむきな祈りと、溫柔(おんじゅう)の深い愛情は、二人の絆の強さを物語っています。天衣居士(てんいこじ)の温かい眼差しも、二人の幸せを願う気持ちがよく伝わってきました。
一方、白愁飛の孤独と苦悩も胸を締め付けます。小石と溫柔(おんじゅう)を失ったことで、彼の心の支えは失われ、深い闇に落ちていく様子が見て取れます。かつての兄弟との決別、そして過去の思い出との対比が、彼の悲しみをより際立たせていました。
つづく