あらすじ

第三十二話は、対照的な二組の婚礼を描いています。

まず一つ目は、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)と雷純(らいじゅん)の婚礼です。白愁飛は雷純(らいじゅん)の意思を全く無視し、蔡京(さいきょう)の後ろ盾を得て、彼女を娶ることを強行しました。雷純はこの結婚に愛情を抱いておらず、白愁飛に対し冷淡な態度を取り続けていましたが、蔡京の圧力には逆らえず、運命を受け入れるしかありませんでした。

一方、小石(しょうせき)は逃亡する前に溫柔(おんじゅう)に求婚し、二人は月光の下で愛を誓い合います。そして、天衣居士(てんいこじ)の立会いのもと、簡素ながらも心温まる結婚式を挙げました。

雷純は強制された結婚に苦しみ、白愁飛は雷純が未だ蘇夢枕(そむちん)に想いを寄せていることを知り、怒りに任せて彼女を責め立てます。その結果、蘇夢枕(そむちん)は持ち物の墜子が壊れるのを感じ、傷を負ってしまいます。

愛と幸福に満ちた小石と溫柔(おんじゅう)の婚礼、そして、強制と悲しみに満ちた白愁飛と雷純の婚礼。この二つの婚礼は、互いに際立った対比を見せています。

ネタバレ

白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は蔡京(さいきょう)に対し、雷純(らいじゅん)への長年の想いを告白し、結婚の意思を伝えました。想定外の申し出に雷純(らいじゅん)は驚き、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が六分半(ろくぶはん)堂の婿になれば、彼の野心は蔡京(さいきょう)にとって脅威となると仮対します。しかし、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の決意は固く、蔡京(さいきょう)も彼の野心を利用できると判断し、二人の結婚を承諾しました。雷純(らいじゅん)は諦め、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)に愛していないが憎んでもいないと冷たく告げます。その言葉に白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は心を痛め、雷純(らいじゅん)の手を強く握りしめました。

一方、お尋ね者である石琇(せきしゅう)は師の指示で溫柔(おんじゅう)と共にその地を離れることになりましたが、その前にある計画を実行に移します。夜空に月が昇る頃、石琇(せきしゅう)は溫柔(おんじゅう)を石積みの前に連れて行き、彼女が昏睡状態だった頃の不安な気持ちを吐露します。そして、今この場でプロポーズすることを決意し、溫柔(おんじゅう)は「はい」と答えました。二人は見つめ合い、月明かりの下でキスを交わします。

華やかな花火が打ち上がる中、雷純(らいじゅん)の心は沈んでいました。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は雷純(らいじゅん)に酒を勧めますが、彼女は拒否します。しかし、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は無理やり飲ませました。狄飛驚(てきひきょう)は雷純(らいじゅん)の結婚が望まないものであることを知り、彼女に逃げるよう説得します。しかし、雷純(らいじゅん)は逆に狄飛驚(てきひきょう)に六分半(ろくぶはん)堂を去るよう懇願します。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)を殺せば狄飛驚(てきひきょう)自身だけでなく六分半(ろくぶはん)堂全体が滅びると考えたからです。狄飛驚(てきひきょう)は雷純(らいじゅん)の涙を拭い、彼女の願いを受け入れました。

六分半(ろくぶはん)堂は内外を紅色の幕で飾り立てられ、使用人たちは忙しく立ち働き、祝賀ムード一色に染まっていました。大きな赤い「囍」の字があちこちに貼られ、雷純(らいじゅん)は豪華な婚礼衣装に身を包み、花嫁の髪飾りを付けていましたが、目は固く閉じ、喜びの表情は一切見られませんでした。そしてこの日、狄飛驚(てきひきょう)は六分半(ろくぶはん)堂を去ることを決意します。同時に、雷純(らいじゅん)を辱めたのが方応看(ほうおうかん)であったことを知り、方応看(ほうおうかん)が北へ向かったことを聞き、狄飛驚(てきひきょう)もまた北を目指す決意を固めました。

一方、辺鄙な塞外でも、ささやかながら婚礼の準備が進められていました。ウェディングドレスを身に纏った溫柔(おんじゅう)は、恥ずかしそうに頬を赤らめています。傍らで髪を整えてくれる女性は、二人の幸せを祈り言葉をかけ、溫柔(おんじゅう)は微笑みます。天衣居士(てんいこじ)は石琇(せきしゅう)を実の息子のように思っており、彼の結婚式に親族がいないことを気にかけ、溫柔(おんじゅう)の父代わりを務めることを申し出ます。溫柔(おんじゅう)は喜び、天衣居士(てんいこじ)と石琇(せきしゅう)の幼い頃の思い出話に花を咲かせました。

二つの結婚式、一つは昼、一つは夜。一つは豪華絢爛、一つは質素。二組のカップル、一つは静かで冷え切った雰囲気、一つは賑やかで喜びに満ちている。一つは無感情、一つは愛情で溢れている。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が席を外した後、雷純(らいじゅん)は蘇夢枕(そむちん)との繋がりを象徴するペンダントを手に、月を見つめ物思いに耽っていました。その姿を目撃した白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は逆上し、雷純(らいじゅん)の首を締め上げ、ペンダントを地面に叩きつけます。同じ頃、蘇夢枕(そむちん)も月を見上げていましたが、ペンダントが砕けたのを感じ取ったかのように、突然血を吐きました。

第32話の感想

第32話は、対照的な二つの結婚式を中心に、登場人物たちの複雑な感情が交錯する印象的なエピソードでした。華やかで豪華な白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)と雷純(らいじゅん)の結婚式とは裏腹に、二人の間には冷え切った空気が漂っています。雷純(らいじゅん)の表情からは喜びのかけらも見えず、政略結婚の悲哀がひしひしと伝わってきました。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の歪んだ愛情表現も、今後の展開に不安を感じさせます。一方、辺境の地でひっそりと行われた石琇(せきしゅう)と溫柔(おんじゅう)の結婚式は、二人の深い愛情で満ち溢れていました。簡素ながらも温かい祝福に包まれた二人の姿は、真の幸せとは何かを問いかけているようでした。

特に印象的だったのは、雷純(らいじゅん)が蘇夢枕(そむちん)の形見のペンダントを握りしめ、月を見つめるシーンです。白愁飛への愛はなくとも、蘇夢枕(そむちん)への想いを断ち切れない彼女の心情が痛いほど伝わってきました。そして、そのペンダントを白愁飛が破壊するシーンは、彼の嫉妬と狂気を象徴する恐ろしい場面でした。同時に、蘇夢枕(そむちん)が血を吐くシーンは、二人の間に何らかの繋がりがあることを闇示しており、今後の物語の展開に期待が高まります。

対照的な結婚式、そして登場人物たちの様々な感情が交錯する第32話は、今後の物語の重要な転換点となるであろう、見応えのあるエピソードでした。

つづく