あらすじ

第三十三話は、幾つもの複雑に絡み合う感情と権力争いを描いています。

まず、小石(しょうせき)と溫柔(おんじゅう)の結婚式は心温まるロマンチックなもので、二人の深い愛情が見て取れます。一方、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は雷媚(らいび)の好意を前に、表面的には遊び半分な態度を取りながらも、最終的には彼女への敬意を示し、複雑な感情を抱いていることを垣間見せます。

また、蘇夢枕(そむちん)は雷純(らいじゅん)と白愁飛の結婚を知り、落胆しながらも冷静さと知性を保ちます。白愁飛の野心を察知した彼は、直接対決するのではなく、時機を待つことを選びます。

さらに、白愁飛は自らの勢力を利用して死士を育成し、地位の強化を図ります。それに対し、蘇夢枕(そむちん)は友人を危険に晒したくないという思いから、行動を抑制します。

最後に、小石が元十三限(げんじゅうさんげん)の襲撃と、方応看(ほうおうかん)が冷酷な手段で拷問を行う場面を目撃し、物語の緊張感と不確実性を高めます。

この話は、登場人物たちの感情の揺れ動きを描写するだけでなく、今後起こるであろう大きな衝突の予兆を示唆しています。

ネタバレ

小石(しょうせき)は優しく紅蓋頭をあげた。美しい溫柔(おんじゅう)の顔、輝く瞳、きめ細やかな肌。小石(しょうせき)は溫柔(おんじゅう)の顔を両手で包み込み、額に口づけをし、それからゆっくりと唇を重ねた。揺らめく蝋燭の灯の中、二人は寄り添い、互いの瞳に愛情を映し出した。

一方、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は赤い婚礼衣装に身を包み、喜の字が貼られた部屋に座っていた。雷媚(らいび)が入ってきて、いつからか心に彼以外の誰にも代わりができない人がいると告げ、帯を解き、自らを白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)に捧げようとした。しかし、彼女の目には涙が浮かび、顔には喜びの色はなかった。裸の雷媚(らいび)を見た白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は複雑な表情を見せた後、意味深な笑みを浮かべ、雷媚(らいび)に衣服を羽織らせ、低い声で、自分たちは泥の中から這い上がってきたのだから、互いに貶め合うべきではないと言った。

蘇夢枕(そむちん)は、議事堂で式を挙げ、その後、雷純(らいじゅん)と日月星辰を眺めることを夢見ていた。しかし、今は全てが空想と化してしまった。蘇夢枕(そむちん)は楊無邪(ようむじゃ)に雷純(らいじゅん)と白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の婚礼について尋ね、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が雷純(らいじゅん)に金銀の装飾品しか贈っていないことを知り、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は自分に及ばないと考えた。

白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は雷純(らいじゅん)を議事堂に連れて行き、蘇夢枕(そむちん)に茶を注ぎ、贈り物をするよう強要した。蘇夢枕(そむちん)は感情を抑えながら贈り物を開けると、中には壊れたペンダントが入っていた。雷純(らいじゅん)も白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)がこのようなことをするとは思っておらず、怒りを込めて彼を睨みつけた。蘇夢枕(そむちん)は白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)に、誰にでも困難を乗り越える可能性はあるが、本当に人を縛るのは自分の心であり、その結び目を解けるのは自分自身だけだと語った。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は得意げに駕籠に戻り、雷純(らいじゅん)の顔に涙が流れているのを見て、自分のことを心配しているのだと思った。しかし、すぐに雷純(らいじゅん)が心配しているのは蘇夢枕(そむちん)への危害だと気づいた。

白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は「一零八公案」という名の死士集団を育成し、金風細雨(きんぷうさいう)楼内のいくつかの秘密の拠点を壊滅させていた。蘇夢枕(そむちん)は、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が野心家で、誰かと権力を分け合うつもりはないことを理解していた。今回の訪問は、蘇夢枕(そむちん)を倒す機会を探るための探りだった。師無愧(しむき)は激怒し、白愁飛に仕返しに行こうとしたが、蘇夢枕(そむちん)はそれを止め、彼らに自分のために命を捨てるのではなく、自分のために生きてほしいと告げた。蘇夢枕(そむちん)は、今は機会を待つ必要がある、ある人物の到著を待つ必要があると皆に言った。皆がその人物が誰なのか不思議に思っていると、蘇夢枕(そむちん)は手に持っていた紙切れを見せた。一同は驚き、小石(しょうせき)がまだ生きていることを知った。

小石(しょうせき)と大ひげは、見張りの兄弟たちに食事を届けに行くと、彼らが既に殺されているのを発見した。小石(しょうせき)が抜いた矢から、彼は殺人者が元十三限(げんじゅうさんげん)であること、そして大勢の兵を率いていることを悟った。小石(しょうせき)は大ひげに知らせに戻るように言い、自分は町へ急いだ。一方、方応看(ほうおうかん)と彼の部隊は元十三限(げんじゅうさんげん)と遭遇し、元十三限(げんじゅうさんげん)は方応看(ほうおうかん)に辞令を渡すよう要求した。方応看(ほうおうかん)は不満だったが、大局のため仕方なく応じた。

目的地に到著した方応看(ほうおうかん)は、大ひげと他の二人の下っ端を捕らえた。方応看(ほうおうかん)は、もし彼らが湖面の薄い氷の上を渡ることができたら、殺さないという条件を出した。若い下っ端が試みたが、すぐに氷の割れ目に落ちてしまった。大ひげも試みたが、同じく失敗した。最後の捕虜は恐怖のあまり、劉大人はもうすぐ到著し、一両日中に町に著くと口走ってしまった。方応看(ほうおうかん)はそれを聞いて大喜びしたが、それでも部下にその男を湖に投げ込むよう命じた。方応看(ほうおうかん)一行が去った後、湖面に亀裂が入り、ゆっくりと手が伸びてきた。

第33話の感想

第33話は、様々な感情が渦巻く、非常に緊迫感のあるエピソードでした。愛、憎しみ、野心、そして希望が複雑に絡み合い、今後の展開への期待を大きく高めています。

小石(しょうせき)と溫柔(おんじゅう)の再会と愛を確かめ合うシーンは、これまでの苦難を乗り越えた二人にとって、束の間の安らぎを感じさせる感動的なものでした。揺らめく蝋燭の灯火が、二人の静かな幸福を象徴しているようでした。

対照的に、白愁飛と雷純(らいじゅん)の婚礼は、祝いの席であるにも関わらず、どこか冷たく、不穏な空気に包まれていました。雷媚(らいび)の悲痛な告白と、白愁飛の複雑な表情は、彼らの関係の歪みを浮き彫りにしています。白愁飛の蘇夢枕(そむちん)に対する挑発的な行動は、彼の底深い野心と残酷さを改めて示すもので、今後の対立を予感させます。

蘇夢枕(そむちん)は、愛する女性を奪われ、組織を内部から脅かされるという苦境に立たされていますが、それでも冷静さを失わず、知略を巡らせて仮撃の機会を伺っています。小石(しょうせき)の生存を知った時の彼の表情には、わずかながら希望の光が宿っていました。

つづく