あらすじ
第34話は、天衣居士(てんいこじ)と元十三限(げんじゅうさんげん)の深い因縁と、師匠と愛する溫柔(おんじゅう)を救うため小石(しょうせき)が挑む数々の冒険を描いています。かつて自在門を裏切った元十三限を、天衣居士は門の規律を守るため討とうとしますが、逆に元十三限の仮撃を受けます。
一方、元十三限に捕らわれた天衣居士と溫柔(おんじゅう)を救うため、小石は方応看(ほうおうかん)との最終決戦に挑み、ついに決著をつけます。そして元十三限との決戦においても、小石は勇敢に天衣居士を守ろうとしますが、残念ながら天衣居士は命を落としてしまいます。
ネタバレ
天衣居士(てんいこじ)は矢を手に、過去を回想していた。かつて自在門は江湖の争いから遠ざかっていたが、元十三限(げんじゅうさんげん)が有橋集団に加わり、門派の名声を汚し、方歌吟(ほうかぎん)の死を招いた。師兄として、天衣居士(てんいこじ)は元十三限(げんじゅうさんげん)を討つ決意をする。しかし、元十三限(げんじゅうさんげん)は強大な武功と「傷心小箭」を操り、天衣居士(てんいこじ)は返り討ちに遭う。小鏡(しょうきょう)が身を挺して天衣居士(てんいこじ)を救ったが、命を落としてしまう。元十三限(げんじゅうさんげん)は小鏡(しょうきょう)の死を天衣居士(てんいこじ)のせいだとし、復讐を誓う。
一方、方歌吟(ほうかぎん)の生死が不明瞭な中、行方不明だった小石(しょうせき)は成長していた。蔡京(さいきょう)は方歌吟(ほうかぎん)の息子、方応看(ほうおうかん)を養子にしていたが、それは義軍殺害の事実を隠蔽するためだった。方応看(ほうおうかん)は自ら方歌吟(ほうかぎん)を天坑に突き落としたことを認め、小石(しょうせき)はこれを見逃すわけにはいかない。大胡子は楊家鋪子を唯一の避難場所として提案し、劉大人を探すことを勧めるが、怪我のため動けない。そこで小石(しょうせき)が自ら劉大人を探す旅に出る。
道中、小石(しょうせき)は狄飛驚(てきひきょう)と出会う。二人は方応看(ほうおうかん)を止めるという同じ目的を持っていた。蘇夢枕(そむちん)と白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の無事を狄飛驚(てきひきょう)から確認した小石(しょうせき)は、単独行動を選び、狄飛驚(てきひきょう)は方応看(ほうおうかん)を足止めすると告げ、二人は別れる。
夜、楊家鋪子で休む劉世安(りゅうせいあん)たちの前に小石(しょうせき)が現れる。唐宝牛(とうほうぎゅう)と方恨少(ほうこんしょう)もそこにいた。馬の蹄の音が近づき、一同は退避するが、小石たちは殿を務める。方応看(ほうおうかん)の一行は狄飛驚(てきひきょう)の襲撃を受け、激しい戦いの後、狄飛驚(てきひきょう)は姿を消す。
夜が明け、小石たちが楊家鋪子に戻ると、元十三限(げんじゅうさんげん)が天衣居士(てんいこじ)と溫柔(おんじゅう)を連れ去り、劉世安(りゅうせいあん)に証拠と交換することを要求していた。劉世安(りゅうせいあん)は証拠を既に破棄したと告白するが、小石は証拠を渡さないと約束し、一人で出ていく。
小石は盲目となった方応看(ほうおうかん)と出会い、方応看(ほうおうかん)は後悔することなく、小石を全てを奪ったと責める。小石は父の剣法で方応看(ほうおうかん)の命を絶つ。溫柔(おんじゅう)を見つけた小石は、彼女が隙を見て天衣居士と共に縄を解いていたことを知るが、見つかってしまう。駆けつけた小石は元十三限(げんじゅうさんげん)と対峙する。元十三限は矢を放ち、小石にどちらを救うか選択を迫る。小石は剣で溫柔(おんじゅう)を守り、天衣居士の前に立ちはだかり、同時に石を投げて元十三限を攻撃する。矢は小石の胸を貫通するが、天衣居士は無傷だった。天衣居士は小石に自分を責めるなと、そしてよく生きるようにと言い残し、息を引き取る。
第34話の感想
第34話は、まさに息詰まる展開の連続でした。特に小石と元十三限の最後の対決は、涙なしには見られませんでした。小石が溫柔(おんじゅう)と天衣居士を守るため、自らの身を犠牲にする姿は、まさに英雄的でした。彼が石を投げながら矢を受けるシーンは、彼の機転と勇気を象徴する名場面と言えるでしょう。
元十三限の狂気と悲しみも印象的でした。愛する小鏡(しょうきょう)を失った悲しみから、復讐に囚われ、道を踏み外してしまった彼の姿は、哀れでありながらも恐ろしいものでした。一方、方応看(ほうおうかん)の最期も印象深いものでした。彼は最後まで自分の行いを悔いることなく、小石を恨み続けました。彼の歪んだ正義感は、悲劇を生むだけでした。
このエピソードでは、様々な登場人物の想いが交錯し、それぞれの正義がぶつかり合いました。天衣居士の弟子の仇討ち、小石の正義感、元十三限の復讐心、方応看(ほうおうかん)の歪んだ正義、そして溫柔(おんじゅう)の愛。それぞれの想いが複雑に絡み合い、物語は悲劇的な結末を迎えます。
つづく