あらすじ
第四話では、蘇遮幕(そしゃばく)の病後の回復と花無錯(かむさく)との対立の激化が描かれています。蘇遮幕の持つ「催命符」が自身の地位を脅かすことを危惧した花無錯は、蘇遮幕を軟禁し、柳怜心(りゅうれいしん)だけに彼の世話を任せました。柳怜心(れいしん)は薬の処方箋に闇号を仕込み、莫北辰(ばくほくしん)に異変があれば身の安全を図るよう密かに伝えました。
一方、蘇夢枕(そむちん)を救うため、楊無邪(ようむじゃ)は溫柔(おんじゅう)を人質に同行します。蘇夢枕(そむちん)は二つの策を練りました。一つは白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)に自分を装わせて敵の目を欺くこと、もう一つは蘇夢枕自身が時機を伺って行動することです。小石(しょうせき)は自ら誌願し、白愁飛の代わりに蘇夢枕を装う役目を引き受け、蘇夢枕から紅袖刀と特殊な技の訓練を受けました。都へ向かう道中、小石と溫柔(おんじゅう)の間には微妙な感情の変化が芽生えました。
そして、蘇夢枕は雷純(らいじゅん)と再会を果たし、二人の深い愛情が確認されます。同時に、李念堂(りねんどう)と龍嘯青は蘇夢枕からの書状を受け取り、翌日会う約束を取り付けました。
ネタバレ
陽光燦爛たる京城は、いつも以上に広大に見えた。病から回復した蘇遮慕(そしゃぼ)に、李念堂(りねんどう)、龍嘯青、莫北辰(ばくほくしん)ら金風細雨(きんぷうさいう)楼の重鎮たちが祝いの言葉を述べていた。その時、花無錯(かむさく)が早足で現れた。庭を散策する蘇遮慕(そしゃぼ)と花無錯(かむさく)。蘇遮慕(そしゃぼ)は、手にある花無錯(かむさく)の命取りの証拠を盾に、速やかに楼主の座を譲るよう忠告する。その時、魯箭三(ろせんさん)が匣が蘇夢枕(そむちん)の手に渡ったと報告に来た。途端、花無錯(かむさく)の態度は豹変し、怒りと憎悪を露わにし、療養を名目に蘇遮慕(そしゃぼ)を軟禁し、柳怜心(りゅうれいしん)だけを残して看病させた。
柳怜心(りゅうれいしん)は密かに莫北辰(ばくほくしん)に会い、蘇遮慕(そしゃぼ)の薬を頼んだ。薬の処方箋を渡す際、必ず見るようにと念を押した。周囲に誰もいないことを確認した莫北辰(ばくほくしん)は処方箋を開き、柳怜心(りゅうれいしん)の真意に気付く。そこには「仮乱があれば、加担せず、身の安全を図れ」と大きく書かれていた。
一方、溫柔(おんじゅう)を守るため、楊無邪(ようむじゃ)はやむを得ず彼女を連れ出した。溫柔(おんじゅう)は楊無邪(ようむじゃ)を罵ろうとしたが、これが蘇夢枕(そむちん)の指示だと知り驚く。二人が言葉を交わしていると、蘇夢枕(そむちん)は溫柔(おんじゅう)が家出してきたことを見抜いた。花無錯(かむさく)に包囲された細雨楼へ、少人数で強行突破するのは不可能だった。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は、蘇夢枕(そむちん)の名を騙り堂々と京城に入る囮作戦を提案した。敵の注意を引き、兵力を分散させた隙に、本物の蘇夢枕(そむちん)が金風細雨(きんぷうさいう)楼へ突入する計画だ。蘇夢枕(そむちん)には楊無邪(ようむじゃ)と紅袖刀が付き物であるため、偽物もそれらを用意すれば簡単には見破られないだろう。
粗暴な花無錯(かむさく)だが、抜け目がない。既に勢力を築き、仮乱の準備を整えているはずだ。彼を殺すことは容易だが、細雨楼の動揺が懸念される。準備が整うと、夜陰に乗じ、二つの隊が同時に出発した。当初、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が蘇夢枕(そむちん)に扮する予定だったが、小石(しょうせき)が自ら申し出た。
小石(しょうせき)、溫柔(おんじゅう)、楊無邪(ようむじゃ)の三人は京城へ到著し、堂々と正面から入った。かつて蘇夢枕(そむちん)の恩を受けた丁掌櫃(ていしょうかい)は、二人を宿屋に案内した。小石(しょうせき)が破れた靴下しか持っていないのを知った溫柔(おんじゅう)は、夜通し新しい靴下を縫ってあげた。翌朝、溫柔(おんじゅう)から靴下を受け取った小石(しょうせき)は喜びを隠せない。部屋に炭の匂いが充満していたため、溫柔(おんじゅう)は窓を開けようとした。小石(しょうせき)は慌てて止めようと手を伸ばし、思わず溫柔(おんじゅう)の手を握ってしまう。温かい空気が二人を包み、気まずい沈黙が流れた。
出発前、蘇夢枕(そむちん)は小石(しょうせき)に紅袖刀と一つの技を伝授していた。紅袖刀を見た者は少ないが、この技を見れば蘇夢枕(そむちん)だとわかる。小石(しょうせき)は蘇夢枕(そむちん)の動きを思い出し、宿屋で練習を始めた。その眼差し、その動きは蘇夢枕(そむちん)を彷彿とさせ、本物と見紛うばかりだった。部屋に入ってきた溫柔(おんじゅう)はその技を目の当たりにし、感嘆の声を漏らした。
月明かりの下で酒を酌み交わす李念堂(りねんどう)と龍嘯青。花無錯(かむさく)が楼主になれば、忠誠を誓うつもりでいた。盛り上がっているところに蘇夢枕(そむちん)からの手紙が届き、明日集賢居(しゅうけんきょ)で会う約束が書かれていた。一方、蘇夢枕(そむちん)は京城の静かな屋敷で雷純(らいじゅん)と再会を果たす。二人は互いの想いを語り合い、熱い視線を交わした。別れ際、二人は一緒に門に灯籠を掛け、名残惜しそうに別れた。
第4話の感想
第4話は、陰謀と策略、そして一筋の希望が交錯する、緊張感あふれる展開でした。花無錯(かむさく)の冷酷な本性が明らかになり、蘇遮慕(そしゃぼ)の窮地がより鮮明に描かれています。蘇遮慕(そしゃぼ)を救出しようと奔走する仲間たちの姿、特に柳怜心(りゅうれいしん)の機転と勇気には胸を打たれます。一見小さな行動ながらも、その中に込められた忠誠心と友情が、物語に深みを与えています。
白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の奇策、そして小石(しょうせき)の決断も印象的です。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の冷静な分析と大胆な作戦は、知略に長けた彼の個性を際立たせています。一方、小石(しょうせき)の蘇夢枕(そむちん)への強い忠誠心と、自らの危険を顧みない勇気は、彼の成長と変化を感じさせます。溫柔(おんじゅう)との間の、淡く切ない描写も、緊迫した状況の中で安らぎを与えてくれると同時に、今後の展開への期待を高めます。
蘇夢枕(そむちん)と雷純(らいじゅん)の再会シーンは、短いながらも二人の深い愛情と信頼関係が表現されており、感動的です。互いを思いやる二人の姿は、物語全体に温かさと希望をもたらしています。しかし、花無錯(かむさく)の野望が著実に進行していることを考えると、この穏やかな時間は長くは続かないのかもしれません。
つづく