あらすじ

第五話では、蘇夢枕(そむちん)と白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が手を組み、金風細雨(きんぷうさいう)楼へ潜入する様子が描かれます。目的は、蘇夢枕(そむちん)が父・蘇遮慕(そしゃぼ)に会うことでした。潜入中、彼らは花無錯(かむさく)率いる一団に幾度となく阻まれます。様々な計略や武力の応酬、そして蘇夢枕の替え玉として小石(しょうせき)を利用するなど、工夫を凝らした末、蘇夢枕は病床の父と遂に対面を果たします。そこで彼は、楼主の証である扳指と、花無錯と六分半(ろくぶはん)堂の繋がりを暴く書状を受け取ります。

蘇遮慕の死後、蘇夢枕は正式に金風細雨楼の新たな楼主となります。彼は花無錯に改心の機会を与えようと、楼から追放することを決断します。

最後に、白愁飛は金風細雨楼への加入を申し出、溫柔(おんじゅう)、小石と共に未来への展望を語り合います。

ネタバレ

蘇夢枕(そむちん)と白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は金風細雨(きんぷうさいう)楼へ潜入、蘇遮慕(そしゃぼ)との面会を計画する。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が陽動する間、蘇夢枕(そむちん)は父を探す。計画実行直前、李念堂(りねんどう)、龍嘯青、莫北辰(ばくほくしん)らが集賢居(しゅうけんきょ)へ現れる。間もなく花無錯(かむさく)も到著、皆に立場を明確にするよう警告する。衝動的な龍嘯青は単独で客棧へ乗り込み、蘇夢枕(そむちん)に詰め寄る。その時、溫柔(おんじゅう)が茶碗を龍嘯青に浴びせ、無礼を叱責する。続いて花無錯(かむさく)たちも部屋へ入る。

時間稼ぎのため、小石(しょうせき)は箱を取り出し、重傷を負ったため楼主に直接渡せないと言い、中身を公開しようと持ちかける。花無錯(かむさく)は動揺し、阻止しようとする。小石(しょうせき)は演技をするも、綻びを見せる。突入寸前、蘇夢枕(そむちん)仕込みの技で皆を退ける。

巳の刻、小石(しょうせき)と蘇夢枕(そむちん)はそれぞれ線香に火をつけ、燃え尽きるまでに小石(しょうせき)と溫柔(おんじゅう)は花無錯(かむさく)たちを足止めし、蘇夢枕(そむちん)は蘇遮慕(そしゃぼ)と会う約束をする。楼外へ出た蘇夢枕(そむちん)は、裏切り者のみを相手にすると言う。敵が押し寄せると、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は素早く動き、蘇夢枕(そむちん)を守る。蘇夢枕(そむちん)が危うく敵に斬られそうになった瞬間、謎の矢が放たれ、敵は倒れる。

柳怜心(りゅうれいしん)は匕首を手に、不安げに部屋の前で警護していた。蘇夢枕(そむちん)が現れると安堵し、彼を蘇遮慕(そしゃぼ)の元へ案内する。蘇夢枕(そむちん)は箱の中の書状を確認し、花無錯(かむさく)と六分半(ろくぶはん)堂の繋がりを確信する。蘇遮慕(そしゃぼ)は楼主の証である扳指を蘇夢枕(そむちん)に渡し、仁義と権力の重要さを説く。そして、最後の酒を飲み幹し、新たな楼主誕生を祝う。

事が済むと、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は狼煙を上げる。「蘇夢枕(そむちん)」が偽物だと皆が気付く。花無錯(かむさく)は楼へ戻ろうとするが、既に遅かった。楼上では、雷純(らいじゅん)が全てを見届け、安堵の表情を浮かべる。

蘇夢枕(そむちん)は、花無錯(かむさく)が長年楼に尽くしてきたため、自身も立場が分からなくなっているのではと考える。蘇遮慕(そしゃぼ)は、花無錯(かむさく)を殺さなかったのは、まだ人間らしさが残っていたからだと明かす。蘇夢枕(そむちん)は、花無錯(かむさく)が改心すれば命を助けることを約束する。戻ってきた花無錯(かむさく)に対し、蘇夢枕(そむちん)は彼の罪状を並べる。花無錯(かむさく)の仮応から、まだ救いがあると判断し、約束通り証拠を焼き払い、楼からの追放を宣告する。

内務処理を終え、蘇夢枕(そむちん)は楼に上がり、父の死を弔う鍾を鳴らす。父の言葉を思い出し、悲しみのあまり吐血する。金風細雨(きんぷうさいう)楼と六分半(ろくぶはん)堂は長年の敵対関係にあったが、蘇遮慕(そしゃぼ)の死を知った雷損(らいそん)は喜ぶどころか、好敵手を失ったことを惜しむ。彼は杯に酒を注ぎ、井戸へ落とす。杯は底に沈み、謎の手によって受け取られる。

小石(しょうせき)、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)、溫柔(おんじゅう)は屋上で月を眺めながら夢を語り合う。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は金風細雨(きんぷうさいう)楼に入り、最も輝く存在となり、江湖の掟を作ることを望む。溫柔(おんじゅう)は自由に江湖を駆け巡り、女侠客になることを夢見る。小石(しょうせき)は最強の武芸者となり、世のため人のため、英雄になることを誓う。

第5話の感想

第5話は、金風細雨(きんぷうさいう)楼の継承という大きな転換点を描いた、緊張感と感動に満ちたエピソードでした。蘇夢枕(そむちん)と蘇遮慕(そしゃぼ)の親子対面は、短いながらも深い愛情と信頼を感じさせ、胸を打たれました。特に、蘇遮慕(そしゃぼ)が最後の力を振り絞って息子に扳指と遺言を託すシーンは、涙なしでは見られませんでした。

白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の機転と武芸の冴え、溫柔(おんじゅう)の機知に富んだ行動、そして小石(しょうせき)の成長ぶりも印象的でした。彼らは蘇夢枕(そむちん)を支える重要な存在として、それぞれの持ち味を発揮していました。特に、小石(しょうせき)が蘇夢枕(そむちん)仕込みの技で敵を退けるシーンは、彼の努力と成長を感じさせ、今後の活躍に期待が高まります。

花無錯(かむさく)の複雑な心情も丁寧に描かれていました。長年楼に尽くしてきた彼にとって、裏切りは苦渋の決断だったのでしょう。蘇夢枕(そむちん)が彼の罪を許し、追放という形で更生の機会を与えたシーンは、まさに「英雄」の名にふさわしい寛容さを感じさせました。

つづく