あらすじ
第九話では、小石(しょうせき)が六分半(ろくぶはん)堂による放火を疑い、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)と生き方について意見が対立する様子が描かれます。白愁飛は芸術に妥協すべきではないと考えますが、小石は生きることの方が大切だと主張します。二人を救うため溫柔(おんじゅう)は逃げ出し、途中で語り部に出会います。小石は大道芸で生計を立てますが、六分半堂に嵌められそうになったところを白愁飛に助けられます。金風細雨(きんぷうさいう)楼の門を叩くべきか迷った末、小石は立ち去ることを選びます。雷損(らいそん)は二人から接触がなければ見逃すよう部下に命じますが、命令に背こうとする者が現れ、小石に阻まれます。雷媚(らいび)は白愁飛に都を離れるよう説得を試みますが、彼は一人都を出る決意をします。しかし、城門を出たところで小石が待っていて、二人は共に旅立ちます。一方、蘇夢枕(そむちん)は任務を達成しますが、傅宗書(ふそうしょ)の罠に嵌められます。しかし、機転を利かせて危機を脱し、傅宗書と六分半堂の陰謀を暴きます。最後に、小石と白愁飛、そして溫柔(おんじゅう)は蘇夢枕(そむちん)と再会し、義兄弟の契りを交わして共に敵に立ち向かうことを誓います。
ネタバレ
小石(しょうせき)は、あの火事は六分半(ろくぶはん)堂の仕業で、自分を狙ったものだと疑っていた。一方、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の絵は売れず、生活を描こうとするも筆が進まない。二人の窮状を知った溫柔(おんじゅう)は、いてもたってもいられず夜逃げを決行。道中、語り部に出会い、今の境遇を嘆く。そこに楊無邪(ようむじゃ)が現れ溫柔(おんじゅう)を追うが、語り部が楊無邪(ようむじゃ)だと気づき、彼を称える歌を歌う。楊無邪(ようむじゃ)は礼を述べ、追跡を中断する。
雷純(らいじゅん)は王二(おうじ)の絵屋で絵を眺めるが買わずに立ち去る。その時、絵が白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)のものだと気付く。生活のため、小石(しょうせき)は路上で芸を披露し、一文で石を投げさせ、当たれば賽銭を全て渡すという賭けに出る。六分半(ろくぶはん)堂はならず者に金を渡し、弓矢で小石(しょうせき)を狙わせる。小石(しょうせき)は怯まず立ち向かうが、間一髪で白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が現れ矢を防ぎ、ならず者を追い払う。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は怒って立ち去り、小石(しょうせき)は慌てて賽銭を集め後を追う。
白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は小石(しょうせき)の行為をプライドを捨てるものと非難するが、小石(しょうせき)は生きるためだと仮論する。白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は失望し、皆が小石(しょうせき)のようなら都を去ると言う。夜、小石(しょうせき)は金風細雨(きんぷうさいう)楼の前で考え込む。自分なら都を出て自由に生きられるが、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)には大きな夢があり、長い間待っている。熟考の末、小石(しょうせき)は楼に進む決意をする。しかし、六分半(ろくぶはん)堂に見張られており、扉を叩けば襲われると知る。小石(しょうせき)は手を挙げ、また下ろし、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)の信頼を失うことを恐れ、結局立ち去る。
雷損(らいそん)は、小石(しょうせき)と白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)が金風細雨(きんぷうさいう)楼に来たら殺せ、来なければ見逃せと命じていた。魯箭三(ろせんさん)は雷損(らいそん)の命令に背き、扉を叩かなかった小石を襲おうとする。しかし小石は六分半(ろくぶはん)堂の動きを察知し、待ち伏せしていた。魯箭三(ろせんさん)の襲撃命令と共に、小石は六分半(ろくぶはん)堂の刺客たちをあっという間に倒し、魯箭三(ろせんさん)も気絶させる。雷媚(らいび)は白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)に酒を勧めて都を去るよう促すが、白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は酒を飲まずに立ち去り、密かに都を出る決意をする。都門に著くと、小石が待っていた。二人は共に旅立つ。
蘇夢枕(そむちん)が都を離れてから音信不通となり、雷純(らいじゅん)は心配していた。仏前で祈り続け、ようやく蘇夢枕(そむちん)の帰京を知る。蘇夢枕(そむちん)は劉世安(りゅうせいあん)の首級を傅宗書(ふそうしょ)に届け、約束を果たす。傅宗書(ふそうしょ)は喜んで首級を蹴鞠の様に扱い、蘇夢枕(そむちん)に拾わせる。しかし、蘇夢枕(そむちん)が拾う瞬間、傅宗書(ふそうしょ)は謀仮の罪で彼を包囲する。蘇夢枕(そむちん)は冷静に首級を投げ出すと、それは偽物だった。仮面を剝がすと、現れた顔に傅宗書(ふそうしょ)は恐怖し、跪く。蘇夢枕(そむちん)は傅宗書(ふそうしょ)が自分を見逃さないことを知っていたが、彼の弱みを握っていたのだ。
蘇夢枕(そむちん)は劉大人から、傅宗書(ふそうしょ)と六分半(ろくぶはん)堂が北方の遼と通じて不正を行っていることを知る。手がかりを元に、蘇夢枕(そむちん)は国境で連絡係と接触する。連絡係は家族を人質に取られ、仕方なく不正に加担したと告白する。蘇夢枕(そむちん)は都にいる連絡係の弟の安全を保障する。連絡係が更に情報を明かそうとした瞬間、矢が放たれ、彼は絶命する。
小石と白愁飛(はくしゅうひ)(はくしゅうひ)は森の中で溫柔(おんじゅう)と出会い、彼女に案内され蘇夢枕(そむちん)と再会する。蘇夢枕(そむちん)は、六分半(ろくぶはん)堂や刑部が何と言おうと、二人は金風細雨(きんぷうさいう)楼の一員だと宣言する。傅宗書(ふそうしょ)に跪いたという噂は嘘だと伝える。そして三人は盃を交わし、義兄弟の契りを結ぶ。
第9話の感想
第九話は、それぞれのキャラクターの信念や覚悟が強く描かれた回だったと言えるでしょう。特に小石の、白愁飛の夢を葉えるために自分のプライドを捨てる覚悟、そして金風細雨(きんぷうさいう)楼の前で苦悩する姿には胸を打たれました。一見軽薄に見える小石ですが、実は非常に思慮深く、白愁飛のことを誰よりも理解していることが伝わってきます。白愁飛もまた、小石の行動に失望しながらも、最後は共に旅立つことを選ぶことで、二人の強い絆を感じさせます。
蘇夢枕(そむちん)の策略は見事でした。傅宗書(ふそうしょ)を出し抜き、弱みを握ることで形勢逆転させるところは、まさに金風細雨(きんぷうさいう)楼の首領としての貫禄を感じさせます。大胆な行動の裏には周到な準備と冷静な判断力があり、改めて彼のカリスマ性を感じさせられました。
溫柔(おんじゅう)、楊無邪(ようむじゃ)、雷純(らいじゅん)といった登場人物もそれぞれの立場で物語に深みを与えています。溫柔(おんじゅう)の逃亡劇、楊無邪(ようむじゃ)の歌、雷純(らいじゅん)の白愁飛への想い…一見小さな出来事ですが、今後の展開にどう関わってくるのか、期待が高まります。
つづく