あらすじ
第一話では、主人公の慕灼華(ぼしゃくか)が慕栄(ぼえい)との結婚を逃れるため、家出をする様子が描かれています。彼女は侍女の郭巨力(かくきょりき)と共に定京城へと向かい、道中で定王の行列に遭遇します。慕灼華(ぼしゃくか)は駕籠の中にいるのが定王だと勘違いしますが、実際は張(ちょう)執事が扮したもので、真の定王は別の任務に就いていました。機転と勇気を活かし、追っ手を振り切った慕灼華は、無事に定京城の花街に部屋を借り、科挙受験の準備を始めます。また、彼女は医術の腕も披露し、青楼の女性、宋韻(そういん)の病を治療することで、世俗の偏見にとらわれず、優しく勇敢な一面を見せます。さらに、慕灼華は母親のように運命に翻弄されるのではなく、自らを護る「大樹」のような存在になりたいという強い意志を表明します。
ネタバレ
江南一の富豪、慕栄(ぼえい)の七女、慕灼華(ぼしゃくか)は聡明で、幼い頃から書物を読み漁り、女秀才になることを夢見ていた。ある日、父の慕栄(ぼえい)が妾を迎えることになり、慕灼華(ぼしゃくか)はこの機会に侍女の郭巨力(かくきょりき)と共に家を抜け出した。慕栄(ぼえい)は18人目の花嫁を見るのに夢中で、他のことに構う余裕はなかった。
道中、馬車の中でも書物を読み続ける慕灼華(ぼしゃくか)に、郭巨力(かくきょりき)は不思議そうに理由を尋ねる。慕灼華(ぼしゃくか)は、勉強しなければ誰かの妻になるしかないと答える。結婚すれば自分の意思を失ってしまうかもしれないと考え、県令夫人ではなく県令になることを目指していた。
定京城に到著した二人は、丁度帰還する定王の行列に遭遇する。慕灼華(ぼしゃくか)は郭巨力(かくきょりき)に、定王は素晴らしい人物で、いつか会って成功の秘訣を聞きたいと語る。その時、追手に気づいた慕灼華(ぼしゃくか)は、郭巨力(かくきょりき)にしっかりつかまるよう指示し、馬車を急発進させる。「大魔王の馬車がいる!」と叫びながらも、あえて危険を冒す。母の名を叫びながら突き進む慕灼華(ぼしゃくか)。最終的に、侍衛は命令を受けて道を譲り、慕灼華(ぼしゃくか)たちは追っ手を振り切って逃走に成功する。
慕灼華(ぼしゃくか)の大胆な行動に郭巨力(かくきょりき)は肝を冷やす。慕灼華(ぼしゃくか)は、馬車の中の人物が定王本人ではないことに気づき、今回の帰京には何か裏があると推測する。実際、馬車に乗っていたのは執事の張で、定王の指示で影武者として帰京していた。定王こと劉衍(りゅうえん)は、袁成明(えんせいめい)の墓前で部下に碑を建てた人物を調べるよう指示し、過去の謎を解明しようと決意していた。一方、慕灼華(ぼしゃくか)は科挙の試験に備えて花巷で宿を探し、女挙人だと知った路大娘(ろだいじょう)に歓迎される。
路大娘(ろだいじょう)に案内された部屋は前の住人が亡くなったばかりで、郭巨力(かくきょりき)は不安がるが、慕灼華(ぼしゃくか)は気にしない様子。路大娘(ろだいじょう)の顔色が悪く、手が冷たいことに気づいた慕灼華(ぼしゃくか)は、特製の香囊を贈る。三娘子(さんじょうし)から医術を隠すように言われていたのに、なぜ?と尋ねる郭巨力(かくきょりき)に、慕灼華(ぼしゃくか)は生活費を稼ぐ必要があると説明する。小秦宮の妓女、宋韻(そういん)は慕灼華(ぼしゃくか)の医術の噂を聞きつけ、訪ねてくる。
慕灼華(ぼしゃくか)は宋韻(そういん)を部屋に招き入れ、診察する。宋韻(そういん)は、慕灼華(ぼしゃくか)が身分を気にせず、隣人として助けてくれることに驚く。自分が青楼の女だと知っても偏見を持たない慕灼華(ぼしゃくか)に、宋韻(そういん)は感謝する。慕灼華(ぼしゃくか)は、宋韻(そういん)が使用した堕胎薬が強すぎ、適切な処置を受けていないと指摘する。宋韻(そういん)は、年老いた自分が誰からも気にかけられないと嘆く。一方、劉衍(りゅうえん)は何新(かしん)からの手紙で、袁成明(えんせいめい)の過去の足取りに関する重要な情報を得る。
慕灼華(ぼしゃくか)は宋韻(そういん)に薬を処方するが、薬は自分で購入する必要がある。感謝の気持ちとして宋韻(そういん)は銀貨を渡し、去っていく。宋韻(そういん)の後ろ姿を見ながら、慕灼華(ぼしゃくか)は母のことを思い出し、郭巨力(かくきょりき)に、守られる花ではなく、自立した大木になりたいと語る。ある夜、慕灼華(ぼしゃくか)と郭巨力(かくきょりき)は街で偶然宋韻(そういん)と再会する。宋韻(そういん)は、慕灼華(ぼしゃくか)に小秦宮で化粧をしてほしいと頼む。難しいことだと分かっていながらも、助けを求める。小秦宮へ向かった慕灼華(ぼしゃくか)は、雲想月(うんそうげつ)の体調が花魁争いに出られる状態ではないと判断するが、雲想月(うんそうげつ)は出場を諦めない。
第1話の感想
「灼灼風流~宮中に咲く愛の華~」第1話は、主人公・慕灼華の強い意誌と聡明さが印象的な幕開けとなりました。科挙に挑戦する女性の姿は、現代社会にも通じる自立した女性像を想起させ、彼女の今後の活躍に期待が高まります。
特に、慕灼華が侍女の郭巨力(かくきょりき)と共に家を飛び出すシーンは、彼女の強い決意が鮮やかに描かれていました。父親の妾を迎える騒ぎに乗じて家出をするという大胆な行動は、型破りながらも、自らの夢を葉えるためならどんな苦労も厭わない彼女の覚悟を感じさせます。
また、定王の行列との遭遇シーンも印象的でした。機転を利かせて追っ手を振り切る姿は痛快で、彼女の賢さと勇気を垣間見ることができました。侍女の郭巨力(かくきょりき)とのやり取りもコミカルで、二人の主従関係の温かさも感じられます。
つづく