あらすじ
まず、刘皎 (りゅうきょう)は済善堂(せいぜんどう)の子供たちのために、私財を投じて食料を購入します。そして、状元に合格した沈驚鴻(しんきょうこう)を祝う席で、彼と親しく言葉を交わします。
一方、科挙を終えた慕灼華(ぼしゃくか)は、郭巨力(かくきょりき)と共に高価な新居へ引っ越します。経済的な負担は大きいものの、彼女は未来への希望に満ちています。しかし、謎の黒衣人に窺われるという不穏な出来事も起こります。更に、太后(たいこう)も彼女の身辺を調査し始めています。
翰林院(かんりんいん)では、慕灼華(ぼしゃくか)は女性であるが故の偏見に毅然と立ち向かい、沈驚鴻(しんきょうこう)からも支持を得ます。皇子たちの授業を真剣に準備する傍ら、彼女は実の母の行方を探し続けています。そして、その調査の過程で偶然にも劉衍(りゅうえん)と出会い、意味深な会話を交わします。
ネタバレ
刘皎 (りゅうきょう)は、施しを行う済善堂(せいぜんどう)で、粥が薄すぎるため米を増やすよう侍女に言いますが、米価が高騰しており済善堂(せいぜんどう)の資金が不足していることを知らされます。刘皎 (りゅうきょう)は私財を使うことにしますが、侍女は、公主が沈驚鴻(しんきょうこう)に公衆の面前で求婚を断ったため、彼が済善堂(せいぜんどう)に来ないのではないかと心配します。しかし、沈驚鴻(しんきょうこう)が子供たちに話しかける声が聞こえ、続いて皇帝の勅使(ちょくし)である劉琛(りゅうしん)が現れ、沈驚鴻(しんきょうこう)の状元及第を祝います。劉琛(りゅうしん)は祝宴を開こうとしますが、沈驚鴻(しんきょうこう)は子供たちに授業をするため、後日改めて祝う約束をします。刘皎 (りゅうきょう)もまた、状元となった沈驚鴻(しんきょうこう)に絵を贈り、祝福の意を表します。
一方、科挙を終えた慕灼華(ぼしゃくか)は、朱雀街(すざくがい)へ引っ越しをしますが、郭巨力(かくきょりき)は家賃が高すぎると心配します。慕灼華(ぼしゃくか)は一生懸命働いて稼ぐと約束し、路大娘(ろだいじょう)や宋韻(そういん)たちに日用品の薬を贈るよう郭巨力(かくきょりき)に頼みます。新居に引っ越した後、郭巨力(かくきょりき)は家の広さに感嘆しつつも、家賃の高さに嘆き、そのお金があればたくさんの豚肘が食べられるとぼやきます。慕灼華(ぼしゃくか)は、将来好きなだけ豚肘を食べさせてあげると約束し、これからは自分の手で運命を切り開くと決意を新たにします。
夜、慕灼華(ぼしゃくか)の家の外に黒服の男が現れます。執剣(しゅうけん)がそれに気づき、石を投げて慕灼華(ぼしゃくか)に知らせます。慕灼華(ぼしゃくか)は外を確認しますが、誰もいません。一方、太后(たいこう)は慕灼華(ぼしゃくか)の祖籍を調べることができず、刘皎 (りゅうきょう)にそれとなく尋ねます。刘皎 (りゅうきょう)は警戒することなく、太后(たいこう)に慕灼華(ぼしゃくか)の祖籍を話してしまいます。侍女の佩蘭(はいらん)は、数日間慕灼華(ぼしゃくか)を観察しましたが、何も変わった様子がないと太后(たいこう)に報告します。太后(たいこう)は、異状がなければ彼女に時間を割く必要はないと考えます。翌日、慕灼華(ぼしゃくか)は翰林院(かんりんいん)への出仕を心待ちにしながら早起きします。しかし、翰林院(かんりんいん)に著くとすぐに、女官の服装は価合わず場違いだという陰口を耳にします。
慕灼華(ぼしゃくか)は、彼らの批判に堂々と仮論し、沈驚鴻(しんきょうこう)も彼女を助けます。そこに劉琛(りゅうしん)が現れ、皇帝の勅命として慕灼華(ぼしゃくか)に皇子たちの学問を教えるよう伝えます。劉琛(りゅうしん)はなぜか慕灼華(ぼしゃくか)に辛辣な態度を取り、庭の桂の木を引き合いに出し彼女を非難します。沈驚鴻(しんきょうこう)は、桂の木もいずれは大きく育つと慕灼華(ぼしゃくか)を慰めます。沈驚鴻(しんきょうこう)の優しさに喜ぶ慕灼華(ぼしゃくか)に、彼は話題を変え、皇子たちに何を教えるのか尋ねます。慕灼華(ぼしゃくか)は地理の知識を教えるつもりだと答えます。
慕灼華(ぼしゃくか)は自宅で地図を描き、皇子たちに教えるための準備を熱心に行います。彼女は、沈驚鴻(しんきょうこう)には大皇子である劉琛(りゅうしん)が、孫雲謙(そんうんけん)には他の二人の皇子が後ろ盾にいるのに対し、自分は味方がいないため、より一層努力する必要があると感じています。慕灼華(ぼしゃくか)と郭巨力(かくきょりき)は、近所の人々に挨拶をしながら、実は慕灼華(ぼしゃくか)の母親の行方を探っています。杏の木のある家はいくつか見つかるものの、杏の木と池のある家はなかなか見つかりません。ついに最後の家、隣の家まで辿り著きますが、家主が誰なのか誰も知りません。慕灼華(ぼしゃくか)は梯子を使って塀を乗り越え、こっそり中を調べることにします。
隣家の庭に入った慕灼華(ぼしゃくか)は、見覚えのある後ろ姿の人物を見つけます。その人物が「執墨(しゅうぼく)」と呼ぶのを聞き、慕灼華(ぼしゃくか)は彼が劉衍(りゅうえん)であることに気づきます。逃げ出すこともできず、立ち往生している慕灼華(ぼしゃくか)を、劉衍(りゅうえん)は見つけてしまいます。劉衍(りゅうえん)は慕灼華(ぼしゃくか)に、なぜ自分の隣に住んでいるのか尋ねます。慕灼華はとっさに家賃が安いからだと嘘をつきますが、劉衍(りゅうえん)は信じません。仕方なく慕灼華は、劉衍(りゅうえん)に憧れて近くに引っ越してきたのだと告白し、想いを伝えます。
第10話の感想
第10話では、慕灼華がついに翰林院(かんりんいん)へ出仕し、新たな人生の幕開けとなりました。宮廷という男社会の中で、女性である彼女が直面する偏見や困難が早速描かれており、今後の展開への期待が高まります。特に、官服姿が「不倫不類」と陰口を叩かれるシーンは、灼華がこれからどれほどの逆境に立ち向かわなければならないのかを闇示しているようで、胸が締め付けられました。しかし、彼女は持ち前の機転と勇気で仮論し、沈驚鴻(しんきょうこう)もさりげなく彼女をサポートする姿に、二人の絆の深さを感じました。
一方、劉琛(りゅうしん)の灼華に対する態度は、依然として冷たいままです。彼の敵意の理由は未だ明かされていませんが、今後の物語の鍵を握っていることは間違いなさそうです。彼の存在が、灼華と沈驚鴻(しんきょうこう)の関係にどのような影響を与えるのか、注目したいところです。
また、刘皎 (りゅうきょう)と沈驚鴻(しんきょうこう)の関係にも変化が見られました。公主が沈驚鴻(しんきょうこう)に贈った絵には、どのような想いが込められているのでしょうか。沈驚鴻(しんきょうこう)への想いを断ち切れない公主の切ない心情が伝わってきました。
つづく