あらすじ

第十一話は、翰林院(かんりんいん)の面々が小秦宮で祝宴を開き、慕灼華(ぼしゃくか)の来訪を嘲笑する様子を描いています。彼らは彼女のことを「探花が夜に青楼を訪れた」と揶揄し、慕灼華(ぼしゃくか)は気まずい思いをしながらも毅然と振る舞い、皆と酒を酌み交わします。その際、沈驚鴻(しんきょうこう)は彼女を守ろうとしますが、慕灼華は自分で問題を解決しようとします。

その後、飲み過ぎた慕灼華は宋韻(そういん)に介抱され、沈驚鴻(しんきょうこう)との誤解を解きます。一方、翰林院では慕灼華に対する風当たりが強く、食事の配給でも不公平な扱いを受けます。沈驚鴻との関係についての噂を払拭するため、慕灼華は劉衍(りゅうえん)に会う機会を設け、事情を説明します。

さらに、慕灼華は皇子たちに地理を教え始めます。劉琛(りゅうしん)からの意地悪な質問にも臆することなく、他の皇子たちの信頼を得ることに成功します。

ネタバレ

翰林院(かんりんいん)の面々が小秦宮で祝宴を開き、慕灼華(ぼしゃくか)が来るはずがないと嘲笑っていた。もし彼女が現れたら、「慕探花の夜遊び」をネタにしようと企んでいたのだ。自らの立場をわきまえている灼華は、遅れて来たことを詫び、罰として酒を飲もうとする。沈驚鴻(しんきょうこう)は彼女が女性であることを慮り、代わりに飲もうとするが、灼華は自ら杯を傾け始める。驚鴻は余計な心配だったと思い、口を閉ざした。宋韻(そういん)は灼華が酒を勧められているのを見て、店主が所蔵する詩集を見せる口実で、灼華を連れ出そうとする。灼華は驚鴻も誘ってその場を離れる。

残された翰林院(かんりんいん)の面々は、自分たちの祝宴なのに興を削がれたと不満を漏らし、次々と席を立つ。驚鴻は灼華を帰らせ、自分は残ることにする。それでもなお灼華を引き留めようとする翰林院(かんりんいん)の面々に、驚鴻はわざと「私と飲みたくないのか」と言い、ようやく灼華を解放させた。劉俱(りゅうく)は劉衍(りゅうえん)を茶に誘い、北涼の戦況について話し合う。衍は自分の考えを俱に伝え、俱もそれに賛同する。宋韻(そういん)は灼華に醒酒湯を出し、本当に酔っていないか尋ねる。灼華は少し酔っていることを認めながらも、翰林院(かんりんいん)の古株たちに弱みを見せるわけにはいかないと答える。宋韻(そういん)は灼華に想い人がいるか尋ね、灼華は今は官吏の仕事が第一だと答える。宋韻(そういん)は驚鴻が灼華を気に掛けている様子を見て、何かを感じ取るが、灼華は想い人はいないと繰り返す。灼華が宋韻(そういん)の部屋を出ると、偶然にも驚鴻と鉢合わせしてしまう。この様子を見た周囲の人間は、二人が小秦宮で密会していたと噂する。

すぐにこの噂は刘皎 (りゅうきょう)と衍の耳にも届く。刘皎 (りゅうきょう)はこの噂を全く信じず、二人の関心事は今は官位にあると考えている。衍も同じ考えで、灼華は官吏として働くことに強い意誌を持っており、結婚すると官吏を続けられない南宸の慣習を考えると、あり得ないことだと考える。衍は執剣(しゅうけん)に、東夏との和議交渉の情報を流すように指示する。北涼が必ずこの情報に仮応するはずだと考えたのだ。翰林院(かんりんいん)では灼華への風当たりが強く、食事を取りに行くと、明明残っているのに「もうない」と言われてしまう。この話を聞いた驚鴻はすぐに駆けつけると、配膳係は驚鴻には食事を渡す。驚鴻はそれを灼華に渡し、配膳係は怒って去っていく。灼華は、先日衍に好意を伝えたばかりなのに、今度は驚鴻との噂が流れてしまい、困り果てる。衍に釈明しようと会いに行くが、衍は会おうとせず、下人に追い返されてしまう。灼華は郭巨力(かくきょりき)に、衍が通る道で弓を使って馬車を壊させ、偶然を装って衍の前に現れる。衍は灼華の真意を問いただし、灼華は噂が嘘であること、衍に怒らないでほしいことを伝える。灼華は事の顛末を説明し、誤解を解きたいと訴える。衍は「わかった」と答えるが、灼華は本当に理解してくれたのか不安になる。

灼華は皇子たちに地理の授業を始める。劉琛(りゅうしん)は灼華に何かと難癖をつけ、教科書を使わずに授業をするのかと指摘する。灼華は全て闇記していると答える。劉琛(りゅうしん)は灼華に授業を始めるように促し、実力を見せてもらおうと言う。灼華が専門的な知識を説明すると、劉琛(りゅうしん)以外の二人の皇子たちは灼華の言葉に同意する。二人の皇子は劉琛(りゅうしん)の無知を嘲笑い、口論が始まる。皇子たちの喧嘩が激しくなり、灼華は慌てふためく。

第11話の感想

第11話では、慕灼華(ぼしゃくか)が翰林院(かんりんいん)という男社会の中で、女性であるが故の様々な困難に直面する様子が描かれていました。歓迎会での酒の強要や、陰湿ないじめ、そして沈驚鴻(しんきょうこう)との根も葉もない噂など、見ていて辛い場面も多かったです。それでも灼華は持ち前の明るさと機転で、それらを乗り越えようとする姿に心を打たれました。

特に印象的だったのは、沈驚鴻(しんきょうこう)との関係です。彼は灼華を何かと気にかけている様子が描かれていましたが、それが単なる同僚としての友情なのか、それともそれ以上の感情があるのか、今後の展開が気になるところです。二人の間に流れる微妙な空気感に、思わずドキドキしてしまいました。

また、劉衍(りゅうえん)との関係も注目です。灼華は彼に好意を伝えたものの、沈驚鴻(しんきょうこう)との噂が流れたことで、二人の関係にどのような影響が出るのか、ハラハラしながら見ていました。灼華の必死の弁明も、衍にはどこまで届いているのか、彼の真意が読めないだけに、今後の展開がますます楽しみです。

皇子たちの教育係という新たな役目も、灼華にとって大きな試練となりそうです。皇子たちの性格はそれぞれ異なり、特に劉琛(りゅうしん)は灼華に仮抗的な態度を見せていました。そんな皇子たちをまとめ、教育していく灼華の手腕に期待したいです。

つづく