あらすじ
第15話は、啞奴(あのう)の正体が徐々に明らかになる物語です。慕灼華(ぼしゃくか)は啞奴の手が鷹の爪に似ていることに気づき、劉衍(りゅうえん)は執剣(しゅうけん)に調査を命じますが、啞奴は逃亡します。一方、耶沐憬(やぼくけい)は酒宴の席で劉衍の体調を探り、彼が既に回復しているのではないかと疑念を抱きます。宴の後、酔った劉衍を慕灼華(ぼしゃくか)が介抱し、彼女は好意を伝えます。しかし翌日、劉衍は昨夜の出来事を覚えておらず、慕灼華に尋ねます。慕灼華は落胆します。
同じ頃、刘皎 (りゅうきょう)を護衛していた啞奴が怪我をし、公主は彼を済善堂(せいぜんどう)へ連れて行きます。そこで啞奴は、公主が描いた肖像画を見て、自分が薛将軍であることに気づきます。
物語はさらに、刘皎 (りゅうきょう)の和親の話、そして公主を守るため、沈驚鴻(しんきょうこう)が耶沐憬と弓術の腕比べをする場面も描かれています。
ネタバレ
慕灼華(ぼしゃくか)は、啞奴(あのう)の手が鉤爪のような形をしていることに気づき、劉衍(りゅうえん)に鷹の爪に価ていないかと尋ねた。劉衍(りゅうえん)は既に執剣(しゅうけん)に調査を命じているが、まだ戻らないため、啞奴(あのう)は既に逃亡した可能性があると告げた。また、耶沐憬(やぼくけい)の来訪には必ず目的があると睨み、何も行動を起こさないのは不自然だと推測した。劉衍(りゅうえん)の体質を考えて、慕灼華(ぼしゃくか)は事前に解毒薬を用意していた。案の定、耶沐憬(やぼくけい)は劉衍(りゅうえん)に何度も酒を勧めた。劉衍(りゅうえん)が普段通りに酒を飲む様子を見て、耶沐憬(やぼくけい)は彼の体調が回復したのではないかと疑い、妹の耶沐蓁(やぼくしん)と共に更に酒を勧めた。
宴の後、劉衍(りゅうえん)はよろめきながら立ち去ろうとしたが、耶沐蓁(やぼくしん)が近づいてきたため、慌てて川辺へと向かった。そこに居合わせた慕灼華(ぼしゃくか)は、泥酔した劉衍(りゅうえん)を見つけ、すぐに駆け寄って支えた。酔いの勢いもあって、劉衍(りゅうえん)は慕灼華(ぼしゃくか)への想いを抑えきれず、そのままキスをした。驚きながらも喜びを隠せない慕灼華(ぼしゃくか)は、劉衍(りゅうえん)を執剣(しゅうけん)に任せると、足早にその場を離れた。執剣(しゅうけん)は彼女の慌てぶりに首を傾げたが、劉衍(りゅうえん)の古傷を思い出した慕灼華(ぼしゃくか)はすぐに引き返し、二時間ごとに解毒薬を飲ませるよう指示した。執剣(しゅうけん)は、まるで送迎のために何度も往復しているようだとからかった。
夜更け、慕灼華(ぼしゃくか)はベッドに横たわり、劉衍(りゅうえん)との時間を思い返し、胸の高鳴りを覚えた。女性だけが紅顔の禍水ではなく、男性もまた大きな影響力を持つものだとしみじみと感じた。翌朝、劉衍(りゅうえん)は目を覚ますと執剣(しゅうけん)に鉤爪の手について尋ね、啞奴(あのう)の行方が掴めないことを知り、全力で捜索するよう命じた。慕灼華(ぼしゃくか)について尋ねると、執剣(しゅうけん)は何かやましいことがあったのではないかと仄めかした。普段は送迎を利用したがる彼女が、昨夜はまるで兎のように逃げて行ったからだ。その後、劉衍は慕灼華(ぼしゃくか)を訪ね、彼女のやつれた顔を見て、一睡もしていないことに気づいた。
劉衍の気遣いに、慕灼華(ぼしゃくか)は逆に「わざわざ私のクマを見に来たの?」と尋ねた。劉衍は昨夜の酒のせいで記憶が曖昧だと白状すると、慕灼華(ぼしゃくか)は少し落胆した様子で「忘れてしまったなら、それもいいでしょう」と呟いた。一方、物陰に隠れていた啞奴(あのう)は刘皎 (りゅうきょう)を見つめていたが、子供に石を投げつけられ顔を負傷してしまう。物音に気づいた刘皎 (りゅうきょう)は怪我をした啞奴(あのう)を見つけ、すぐに済善堂(せいぜんどう)へ連れて行き治療を受けさせた。啞奴(あのう)は壁に掛けられた薛笑棠(せつしょうとう)の肖像画をじっと見つめていた。蔓児(まんじ)は、それは彼らの駙馬であり、公主がどうしても外したがらないのだと説明した。啞奴(あのう)は公主がこの絵を描いていた時の様子を思い出し、自分がその薛将軍であったことに気づいた。
劉衍が来たことを知った慕灼華(ぼしゃくか)は、慌ててその場を避けた。劉衍は執剣(しゅうけん)に、彼女が自分を避けているようだと話した。郭巨力(かくきょりき)は饅頭を買い終え戻ろうとしたところ、執墨(しゅうぼく)に呼び止められた。執墨(しゅうぼく)は彼女に食べ物を渡し、巨力はそれを食べて機嫌を良くした。そして、昨夜慕灼華(ぼしゃくか)が書いたメモの意味を尋ねると、執墨(しゅうぼく)はそれが劉衍の名前だと教えた。巨力は慕灼華(ぼしゃくか)がなぜ王爷の名前を書いたのか不思議がり、執墨(しゅうぼく)は微笑んで何も言わなかった。太后(たいこう)は佩蘭(はいらん)に、劉衍が自分に疑いを向けないよう、彼に仕事をさせるように指示した。耶沐憬(やぼくけい)は劉俱(りゅうく)に、両家の平和のためには刘皎 (りゅうきょう)を自分に嫁がせるしかないと脅迫した。劉衍は、刘皎 (りゅうきょう)を条件にするならば、南宸国は再び開戦も辞さない覚悟だと警告した。
太后(たいこう)は刘皎 (りゅうきょう)に、公主たるもの国益を考え、たとえ自分の幸せを犠牲にしても仕方がないと諭した。刘皎 (りゅうきょう)は、自分の婚姻によって国が安泰になるなら、その運命を受け入れると毅然と答えた。この話を聞いた慕灼華(ぼしゃくか)は心配になり、刘皎 (りゅうきょう)を訪ねた。そこで耶沐蓁(やぼくしん)に挑発されたが、機転を利かせて切り抜けた。耶沐憬(やぼくけい)は大声で、南宸には真の男児はおらず、刘皎 (りゅうきょう)にふさわしいのは自分だけだと宣言した。公主の遠嫁を阻止するため、沈驚鴻(しんきょうこう)は名乗り出て、耶沐憬(やぼくけい)に弓術勝負を挑んだ。彼は目隠しをしたままでも的に命中させた。耶沐憬(やぼくけい)は負けを認めず、引き分けだと主張した。
第15話の感想
第15話は、慕灼華(ぼしゃくか)と劉衍の恋が大きく進展する一方で、刘皎 (りゅうきょう)の運命が大きく揺れ動く、感情の起伏が激しい回でした。
まず、酔った劉衍が慕灼華(ぼしゃくか)にキスをするシーンは、二人の関係性が深まる重要な場面でした。これまで、互いに惹かれ合いながらも、立場や状況から素直になれなかった二人が、ついに想いを確かめ合う瞬間は、見ているこちらも胸が熱くなりました。しかし、その後の慕灼華(ぼしゃくか)の行動は、恋する乙女の心情をよく表していて、微笑ましくもありました。
一方で、刘皎 (りゅうきょう)の置かれた状況は非常に厳しいものがあります。国の平和のために、自らの幸せを犠牲にする覚悟を決めた彼女の姿は、健気で切ないものがありました。耶沐憬(やぼくけい)の傲慢な態度や、太後の冷徹な言葉にも屈せず、自分の意思を貫こうとする彼女の強さに心を打たれました。
また、沈驚鴻(しんきょうこう)が刘皎 (りゅうきょう)のために立ち上がるシーンも印象的でした。目隠しをしていても完璧な射撃を披露する彼の姿は、まさにヒーローそのもの。彼の登場によって、物語はさらに盛り上がりを見せました。
つづく