あらすじ

第25話は、慕灼華(ぼしゃくか)と沈驚鴻(しんきょうこう)が酒を酌み交わした後、偶然劉衍(りゅうえん)に出会う場面から始まります。そして、一連のやり取りを通して、互いの想いを深めていく様子が描かれています。劉衍は過去の酔いどれキスを思い出し、慕灼華(ぼしゃくか)への想いに気づきます。一方、慕灼華もまた、一族の秘密にまつわる謎を少しずつ解き明かし、祖父が残した手がかりが「換陽散」と呼ばれる薬に繋がっていることを突き止めます。この薬は、かつて太后(たいこう)が劉衍の母である雲妃(うんひ)を害するために用いたものでした。

さらに、薛笑棠(せつしょうとう)は雪塵丹を服用したことで意識を取り戻し、五年前の拒馬河(きょばがわ)の戦いの真相を明かします。太后が彼を利用して劉衍を戦場に留め置こうとし、皇帝劉俱(りゅうく)への仮抗を阻止しようとしていたことが判明します。

最後に、太后は劉衍を宮中に招きます。表向きは感謝のためですが、実際は彼を権力の中心地である定京から遠ざけることが目的でした。

ネタバレ

慕灼華(ぼしゃくか)と沈驚鴻(しんきょうこう)は秦の宮殿での宴の後、帰路につきました。沈驚鴻(しんきょうこう)は慕灼華(ぼしゃくか)を送ろうと申し出ますが、彼女は執剣(しゅうけん)と執墨(しゅうぼく)が待っているのに気づき、丁重に断り、劉衍(りゅうえん)の馬車に乗り込みます。馬車の中で、慕灼華(ぼしゃくか)は劉衍(りゅうえん)に「爛桃花」の意味を尋ねます。劉衍(りゅうえん)は彼女自身で考えるべきだと答えます。すると慕灼華(ぼしゃくか)は、もしかしたら劉衍(りゅうえん)こそが自分の「桃花」なのかもしれないと気づきます。二人が話している最中、馬車が石にぶつかり、慕灼華(ぼしゃくか)は劉衍(りゅうえん)の腕の中に倒れ込みます。このハプニングで、劉衍(りゅうえん)は狩猟場で酔った勢いで慕灼華(ぼしゃくか)にキスをした時の記憶を思い出します。もっと早く思い出していれば、誤解も早く解けたはずだと悔やみます。

一方、孫紜紜(そんうんうん)は兄の孫雲峰(そんうんぽう)が慕灼華(ぼしゃくか)に謝罪に行ったことに腹を立てていました。しかし孫雲峰(そんうんぽう)は、慕灼華(ぼしゃくか)は官場でも人付き合いでも非の打ち所がなく、表面的な美しさだけで判断すべきではないと諭します。その頃、陸院使(りくいんし)は劉衍(りゅうえん)の屋敷で慕灼華(ぼしゃくか)を待っていました。最後の雪塵丹が刘皎 (りゅうきょう)の手元にあると伝えに来たのです。慕灼華(ぼしゃくか)はすぐに公主を訪ね、事情を説明し、この薬で誰かを救えれば公主にとっても喜ばしいことになると言います。刘皎 (りゅうきょう)は、人命を救えるなら雪塵丹など惜しくないと快諾します。

慕灼華(ぼしゃくか)は急いで雪塵丹を薛笑棠(せつしょうとう)に飲ませ、薬はすぐに効果を発揮します。その後、劉衍(りゅうえん)は慕灼華(ぼしゃくか)に屋敷を贈ります。それは彼女の祖父の旧邸でした。劉衍(りゅうえん)は屋敷の全てを彼女に任せると告げます。慕灼華(ぼしゃくか)は劉衍(りゅうえん)の手を取り、冗談めかして彼自身も自分のものかと尋ねます。劉衍(りゅうえん)は優しく、全て君の思い通りだと答えます。屋敷の本を読んでいた慕灼華(ぼしゃくか)は、本の栞に使われていた杏の花の絵が、母のハンカチの絵と同じであることに気づきます。この特別な染料で染められた花は長く色褪せないため、祖父が何か重要な情報を残したのではないかと考えます。

慕灼華(ぼしゃくか)は屋敷の杏の木の下で鍬を手に取り、土を掘り返すと、羊皮紙を見つけます。そこには、換陽散は祖父が作った薬だが、副作用が大きいため破棄しようとしたところ、太后(たいこう)に阻まれたと書かれていました。太后(たいこう)は換陽散を使って劉衍(りゅうえん)の母である雲妃(うんひ)を殺害し、その罪を慕灼華(ぼしゃくか)の祖父に著せて一族を滅ぼしたのです。目を覚ました薛笑棠(せつしょうとう)は劉衍の姿を見て彼を思い出します。五年前の拒馬河(きょばがわ)の戦いの真相を聞かれると、太后(たいこう)に呼び出され、劉衍を都に戻さないよう脅迫され、袁成明(えんせいめい)の家族を人質に取られて劉衍の作戦図を渡したことを告白します。全てを知った劉衍は、慕灼華(ぼしゃくか)と薛笑棠(せつしょうとう)を連れて宮殿へ向かうことを決意します。

宮殿で太后(たいこう)は劉衍に、幼い頃彼を育てた思い出を語り、深い愛情を示します。そして、劉衍に都を離れるよう促し、送別の宴を開きます。劉衍は太後の真意を悟り、はっきりと仮論しますが、太后(たいこう)は何も知らないふりをします。宮外では、劉俱(りゅうく)と刘皎 (りゅうきょう)が話しており、公主は劉俱(りゅうく)に太后(たいこう)の面倒を劉衍に任せたらどうかと提案します。劉俱(りゅうく)はその言葉に考え込む様子を見せます。

第25話の感想

第25話は、これまで散りばめられていた伏線が一気に回収され始め、物語が大きく動き出した、非常に重要な回だったと言えるでしょう。慕灼華(ぼしゃくか)と劉衍の関係性の進展、そして太后(たいこう)の陰謀が徐々に明らかになるにつれ、今後の展開への期待感が高まります。

まず、馬車の中での慕灼華(ぼしゃくか)と劉衍のやり取りは、二人の距離が縮まっていることを感じさせる印象的なシーンでした。些細なアクシデントが、過去の甘酸っぱい記憶を呼び覚まし、互いの気持ちを確認し合うきっかけとなる、という演出は大変巧みです。また、慕灼華(ぼしゃくか)が祖父の旧邸を贈られる場面も、劉衍の彼女への深い愛情が伝わってきて、胸が温かくなりました。

一方、太后(たいこう)の闇躍も本格化してきました。薛笑棠(せつしょうとう)の証言により、五年前の拒馬河(きょばがわ)の戦いの真相、そして雲妃(うんひ)の死の真相も明らかになり、太後の恐ろしい本性が浮き彫りになりました。劉衍が真実を知り、太后(たいこう)とどう対峙していくのか、今後の展開が非常に気になります。

さらに、刘皎 (りゅうきょう)の劉俱(りゅうく)への提案も、今後の物語に大きな影響を与えそうです。劉衍を都から遠ざけようとする太后(たいこう)の思惑とは裏腹に、劉衍が太后(たいこう)の側に置かれる可能性が出てきたことで、物語はさらに複雑な様相を呈してきました。

つづく