あらすじ
第二十七話は、刘皎 (りゅうきょう)が周到に練った計略によって、自らの目的を着実に達成していく様子を描いています。
まず、刘皎 (りゅうきょう)は皇太后(たいこう)に対し、済善堂(せいぜんどう)を利用した情報収集の成果を披露し、定王と皇太后との不和を巧みに利用する手腕を見せつけました。同時に、自身の安全を確保するための退路も用意周到に整えていました。
さらに、慕灼華(ぼしゃくか)に北涼撤退の情報を意図的にリークしていたことも明らかになります。 沈驚鴻(しんきょうこう)との協力関係もより深まり、将来の丞相の地位を約束する代わりに、自らの計画への支持を取り付けました。
しかし、ここで予期せぬ展開が訪れます。劉倶が劉衍(りゅうえん)と皇太后との関係修復を図るため宮廷に戻りますが、突如として亡くなってしまいます。 この一件で劉衍は病に倒れ、混乱に乗じて刘皎 (りゅうきょう)は計画を推し進めます。 先帝の遺詔を偽造し、皇位継承権を操ろうとするなど、定京は混乱の渦に巻き込まれていきます。
劉衍は北涼が陰謀の黒幕ではないかと疑念を抱き、真相究明に乗り出します。
ネタバレ
刘皎 (りゅうきょう)は太后(たいこう)に、5年間かけて済善堂(せいぜんどう)を拡大し、情報を集めてきたこと、全てが自分の計画だったことを明かしました。太后(たいこう)には敵わないと知り、定王殿下を利用して太后(たいこう)と争わせたのです。劉衍(りゅうえん)が鷹爪の正体に迫っていることを察知すると、耶沐憬(やぼくけい)に求婚の要求を言わせ、劉衍(りゅうえん)を牽製しました。劉衍(りゅうえん)は当然仮対すると思っていましたが、父である劉俱(りゅうく)が何も言わなかったことで、頼れるのは自分だけだと悟ります。そして、慕灼華(ぼしゃくか)に北涼の撤退計画をわざと漏らすことで、自分の退路を確保しました。
太后(たいこう)は、薬を飲まされ声が出ないまま、刘皎 (りゅうきょう)の計画を聞き、歯ぎしりするしかありませんでした。しかし、劉俱(りゅうく)が劉衍(りゅうえん)と太後の関係を修復しようと深夜に宮殿に戻り、急死するまでは予想していませんでした。劉衍(りゅうえん)は父の死で病に伏し、慕灼華(ぼしゃくか)は彼の傍らで看病します。劉衍(りゅうえん)は自責していましたが、劉俱(りゅうく)がこのような形で和解を図るとは誰も想像していませんでした。慕灼華(ぼしゃくか)は薛笑棠(せつしょうとう)の死の状況を劉衍(りゅうえん)に伝え、太後の仕業だと推測します。劉衍(りゅうえん)は降伏せず、他に重要な任務があると告げました。
沈驚鴻(しんきょうこう)は刘皎 (りゅうきょう)に復讐の成功を祝いますが、彼女は彼の助けがなければこんなに早くは達成できなかったと感謝します。沈驚鴻(しんきょうこう)は幼い頃、公主に助けられたことを回想します。彼は幼い頃から公主によって社会の不公平を教え込まれてきました。公主は常に彼に勉学の大切さを説き、科挙だけが現状を変える道だと諭していました。沈驚鴻(しんきょうこう)が勉学に励んでいる最中、公主の賜婚の知らせを聞き、彼は驚き立ち上がりました。沈驚鴻(しんきょうこう)は懸命に科挙に挑み、ついに都で城壁の上の公主の姿を見つけた時、ようやく彼女の役に立てると心に誓いました。
刘皎 (りゅうきょう)は沈驚鴻(しんきょうこう)の目の前で薛笑棠(せつしょうとう)の肖像画を床に投げ捨て、この世で誰も信じてはいけない、全ては自分でやらなければならないと告げます。彼女は沈驚鴻(しんきょうこう)に劉琛(りゅうしん)の側につき、内部から協力するよう指示し、自身は定京の女帝になると宣言します。そして、成功すれば沈驚鴻(しんきょうこう)を丞相にすると約束しました。しかし、沈驚鴻(しんきょうこう)は一品丞相の地位は劉琛(りゅうしん)からも得られると言い、彼が本当に欲しいのは公主の心だと告白します。公主は冷たく、自分に心はないと告げました。彼女は行宮にいる弟たちの帰京を待ちながら、沈驚鴻(しんきょうこう)に先帝の筆跡を真価て偽の遺詔を書くよう命じました。
皇子たちと大臣たちは大広間に集まり、遺詔の朗読を待っていましたが、劉衍(りゅうえん)が到著せず、どうすべきか迷っていました。魏閣老(ぎかくろう)は定京で唯一の親王である劉衍(りゅうえん)が到著するまで待つべきだと主張します。その時、劉衍(りゅうえん)が到著し、遺詔の朗読が始まりました。遺詔には二皇子劉瑜(りゅうゆ)の即位が記されており、周大人(しゅうたいじん)は偽造を疑い異議を唱えます。大臣たちは騒然となります。劉衍(りゅうえん)は先帝が遺詔を書いている時に自分が同席していたと証言し、内容が改竄されていると主張します。大臣たちは信じようとせず、劉衍は先帝が二通の遺詔を作成し、もう一通は自分の手元にあると説明します。
劉衍は大臣たちの前で劉俱(りゅうく)が彼に残した遺詔を見つけ、魏閣老(ぎかくろう)は皆の前でその内容を読み上げます。その遺詔には劉琛(りゅうしん)の即位が記されていました。しかし、今度はこの遺詔を信じようとせず、劉瑜(りゅうゆ)も納得しません。彼は劉衍が劉琛(りゅうしん)を可愛がっていることから、偏袒しているのではないかと疑います。劉衍はこれが北涼の策略であり、遺詔をすり替えて定京を混乱させ、北涼の思う壺だと説明します。そして、真相が明らかになるまで三人の皇子を定王府に滞在させ、この件について議論することを禁じました。刘皎 (りゅうきょう)はなおも野望を抱き、劉琛(りゅうしん)は皇位に就きました。
第27話の感想
第27話は、怒涛の展開で息つく暇もないほどでした。刘皎 (りゅうきょう)の周到な計画と冷酷なまでの実行力には、ただただ圧倒されるばかりです。5年間もの間、静かに力を蓄え、太后(たいこう)への復讐、そして自らの野望実現に向けて著々と準備を進めていたとは、恐ろしいほどの執念です。特に、耶沐憬(やぼくけい)を利用して劉衍を牽製する場面や、慕灼華(ぼしゃくか)に北涼の情報を漏らす場面は、彼女の狡猾さを際立たせていました。
太后(たいこう)が言葉を失い、何もできないまま刘皎 (りゅうきょう)の策略を聞かされるシーンは、見ていて痛々しいほどでした。これまで権力を振るってきた太后(たいこう)が、完全に刘皎 (りゅうきょう)の掌の上で転がされている様子は、権力闘争の残酷さを改めて感じさせます。そして、劉俱(りゅうく)の突然の死は、物語全体に闇い影を落としました。劉衍と太後の関係修復を願った彼の行動が、このような結果を招いてしまうとは、皮肉な運命です。
沈驚鴻(しんきょうこう)の刘皎 (りゅうきょう)への忠誠心も印象的でした。幼い頃に助けられた恩義を忘れず、彼女の野望達成のために尽力する姿は、ある意味で純粋とも言えます。しかし、刘皎 (りゅうきょう)にとっては、彼もまた利用すべき駒の一つに過ぎないのかもしれません。彼女の「心がない」という発言は、その冷酷さを象徴しているように感じました。
つづく