あらすじ
まず、慕灼華(ぼしゃくか)は執剣(しゅうけん)に、唯一の肉親である執墨(しゅうぼく)を傷つけることのないよう、復讐を急がないよう説得します。執剣(しゅうけん)は弟との温かい思い出を回想し、心は葛藤に揺れます。
一方、沈驚鴻(しんきょうこう)は刘皎 (りゅうきょう)と劉衍(りゅうえん)に対抗するための密議を交わし、刘皎 (りゅうきょう)は劉衍による脅威を取り除くために行動を起こすことを決意します。
そして、皇太后(たいこう)は自害を選び、崩御する間際、太皇太后は刘皎 (りゅうきょう)の体調を案じます。皇姑祖(こうぐそ)は誅邪剣を携えて定京に現れ、南宸の不安定な情勢を暗示します。
劉衍は議政王に封じられますが、これは刘皎 (りゅうきょう)たちにとって、劉衍と劉琛(りゅうしん)の仲を裂く絶好の機会となります。
最後に、慕灼華(ぼしゃくか)と劉衍は孫汝(そんじょ)の悪事を暴き、沈驚鴻(しんきょうこう)はこれを機に世家大族の制度廃止を提言し、朝廷に波紋を広げます。
ネタバレ
慕灼華(ぼしゃくか)は執剣(しゅうけん)に、軽はずみな行動で執墨(しゅうぼく)が唯一の肉親を失うことになると諭した。執剣(しゅうけん)は仇の正体を知り、もはや一刻も待てないと仮論する。慕灼華(ぼしゃくか)は、劉衍(りゅうえん)にとって二人の存在は復讐よりも大切だと説き、死ぬことは容易だが、生きることは難しいと諭す。執剣(しゅうけん)は、執墨(しゅうぼく)が自分の誕生日を祝ってくれた時のことを思い出す。両親を失った自分が誕生日を祝うことに腹を立てていた執剣(しゅうけん)に、執墨(しゅうぼく)は自分が死んだ後も誕生日を祝うように言ったのだ。執剣(しゅうけん)は郭巨力(かくきょりき)の代わりに執墨(しゅうぼく)の看病を買って出て、兄でありながら弟に血を流させてしまったことを悔やむ。
沈驚鴻(しんきょうこう)は柔嘉(じゅうか)の襲撃を知り、慌てて駆けつける。柔嘉(じゅうか)は襲撃犯が劉衍(りゅうえん)の側近である執剣(しゅうけん)だと既に知っていた。自分が疑われていることも分かっていたが、証拠がない以上、劉衍(りゅうえん)は何もできないと考えている。柔嘉(じゅうか)は、劉衍(りゅうえん)に疑いを抱かれた以上、受身でいることは危険だと判断し、先手を打つことを決意する。劉琛(りゅうしん)と劉衍(りゅうえん)の親密な関係が自分たちにとって不利だと考えた柔嘉(じゅうか)は、沈驚鴻(しんきょうこう)に二人の仲を引き裂く機会を伺うよう指示する。一方、太后(たいこう)は自らの存在が重荷となり、自ら命を絶つ。
劉衍(りゅうえん)は柔嘉(じゅうか)に見舞い、太皇太后(たいこう)が亡くなる前に柔嘉(じゅうか)の身を案じていたことを伝える。皇姑祖(こうぐそ)もこの知らせを聞き、定京にやって来る。柔嘉(じゅうか)は皇姑祖(こうぐそ)と共に先帝と太皇太后(たいこう)に会いに行く。劉琛(りゅうしん)は皇姑祖(こうぐそ)が持つ誅邪剣の噂を聞き、その威力を見たいと申し出るが、皇姑祖(こうぐそ)は誅邪剣が現れる時は南宸に災いが降りかかる時だと告げ、劉琛(りゅうしん)は剣を見せない方が良いと判断する。柔嘉(じゅうか)は誅邪剣の力を知り、皇姑祖(こうぐそ)が自分に好意を持っていることから、剣を手に入れることも可能だと考える。沈驚鴻(しんきょうこう)は劉衍(りゅうえん)の存在が計画の妨げになると柔嘉(じゅうか)に告げ、柔嘉(じゅうか)は二人の仲を裂く時が来たと判断する。
沈驚鴻(しんきょうこう)は民衆の間で劉衍(りゅうえん)が封底へ戻るという噂を流す。劉衍(りゅうえん)は沈驚鴻(しんきょうこう)が柔嘉(じゅうか)に利用されていることを見抜く。「神女」と呼ばれる柔嘉(じゅうか)と、庶民の学子から尊敬を集める沈驚鴻(しんきょうこう)は、まさに最高の組み合わせだった。彼らの目的は、劉衍(りゅうえん)を定京から追放することだった。沈驚鴻(しんきょうこう)は劉琛(りゅうしん)に、劉衍(りゅうえん)が権力を握ったまま離さないことを訴える。朝廷でも、何人かの大臣が劉衍(りゅうえん)が長年定京に留まり、政治に幹渉していることを劉琛(りゅうしん)に訴える。しかし、劉琛(りゅうしん)は先帝の時代から同じことを言われ続けていると、うんざりした様子を見せる。
劉琛(りゅうしん)は劉衍を信じ、彼を議政王に任命し、殿前で政治を聴聞することを許可する。柔嘉はこの知らせを聞き、劉衍を祝いに訪れる。劉衍は、災い転じて福となしたと言う。劉衍は柔嘉の幼い頃の思い出を語り、彼女の良心を呼び覚まそうとする。父帝の願いは一族の融和であったことを伝える。柔嘉はついに堪えきれなくなり、なぜ劉衍は封底に戻らないのかと問う。劉衍は、戻る意思はあるが、時機がまだ来ていないと答える。慕灼華(ぼしゃくか)は沈驚鴻(しんきょうこう)に、官吏になった頃の初心を覚えているかと問う。沈驚鴻(しんきょうこう)は、天下泰平を願っていたと答える。
慕灼華(ぼしゃくか)は沈驚鴻(しんきょうこう)に、その言葉を忘れないようにと告げ、その場を去る。慕灼華(ぼしゃくか)と劉衍は、孫汝(そんじょ)が庄文峰(しょうぶんぽう)と結託していた証拠を見つけ、朝廷で告発する。劉衍は孫汝(そんじょ)が無実だと主張するが、沈驚鴻(しんきょうこう)は劉衍に仮論し、厳正な調査が必要だと主張し、貴族の特権を廃止すべきだと訴える。孫雲峰(そんうんぽう)は家に帰り、父に庄文峰(しょうぶんぽう)との結託の真相を問うが、孫汝(そんじょ)は激怒し、息子を追い出す。
第31話の感想
第31話は、それぞれの思惑が複雑に絡み合い、緊張感が高まる展開でした。執剣(しゅうけん)の復讐心、柔嘉の野心、そして劉衍の苦悩が鮮明に描かれ、物語の核心に迫る重要なエピソードだと感じました。
特に印象的だったのは、執剣(しゅうけん)と慕灼華(ぼしゃくか)の会話です。慕灼華(ぼしゃくか)の言葉は、復讐に囚われた執剣(しゅうけん)の心を揺さぶり、生きる意味を改めて考えさせる力強さがありました。執墨(しゅうぼく)への深い愛情と、兄としての責任感に葛藤する執剣(しゅうけん)の姿は、胸を締め付けられるものがありました。
一方、柔嘉はますます冷酷さを増し、沈驚鴻(しんきょうこう)を利用して劉衍を追い詰めようとします。彼女の策略は巧妙で、劉衍にとって大きな脅威となることは間違いありません。しかし、劉衍もまた、柔嘉の良心を呼び覚まそうと懸命に説得を試みます。二人の対立は、今後の物語の大きな鍵を握っていると言えるでしょう。
つづく