あらすじ
第32話は、主に商氏が推し進める冗官削減策が庶民出身の学子たちの間で大きな反響を呼んだことを描いています。沈驚鴻(しんきょうこう)は劉琛(りゅうしん)に恩蔭制度の国家への悪影響を説き、劉琛にこの制度の廃止を検討させ始めます。商守(しょうしゅ)は冗官削減策を推し進めたことで孫汝(そんじょ)の脅威に晒され、最終的に殺害されてしまいます。商守の死は慕灼華(ぼしゃくか)に深い悲しみを与えますが、同時に名門貴族たちに立ち向かう決意を固めさせます。沈驚鴻(しんきょうこう)の支持を得て、慕灼華(ぼしゃくか)は恩蔭制度廃止の第一歩を踏み出すことを決意し、朝廷で劉琛に直接廃止を提案します。大きな圧力に直面しながらも、慕灼華と沈驚鴻は固く手を携え、これから来るであろう困難に立ち向かう覚悟を決めます。
ネタバレ
商先生(しょうせんせい)の清冗策は、貧しい家の出身の学者たちの間で大きな話題となっていた。沈驚鴻(しんきょうこう)は劉琛(りゅうしん)に清冗策を見せ、恩蔭製度の弊害を説明し、名門貴族が南宸の災いとなっていると説いた。沈驚鴻(しんきょうこう)の熱弁に、劉琛(りゅうしん)も恩蔭製度の害悪を認め、これ以上放置できないと考えるようになった。
柔嘉(じゅうか)が弓の稽古をしていると、沈驚鴻(しんきょうこう)が後ろから指導した。柔嘉(じゅうか)は、劉琛(りゅうしん)と劉衍(りゅうえん)の心に疑念の種が蒔かれたことを祝して、沈驚鴻(しんきょうこう)を茶に招いた。沈驚鴻(しんきょうこう)は、商守(しょうしゅ)が恩蔭製度廃止の旗頭となった今、慕灼華(ぼしゃくか)が手を貸さないはずがないと語った。
劉衍(りゅうえん)と慕灼華(ぼしゃくか)も現状を分析していた。劉衍(りゅうえん)は、この一件は商先生(しょうせんせい)個人ではなく、慕灼華(ぼしゃくか)を狙ったものだと考えた。孫汝(そんじょ)も清冗策を読み、家来に商守(しょうしゅ)を脅すよう命じた。劉衍(りゅうえん)は慕灼華(ぼしゃくか)の心配をよそに、既に商先生(しょうせんせい)を守るよう手配していた。
川辺で釣りをしていた商先生(しょうせんせい)は、近くに来た若者に声をかけた。釣りをしているのに餌がないことを不審に思ったのだ。案の定、若者は孫汝(そんじょ)の手下で、商守(しょうしゅ)に口を慎むよう警告した。去り際に清冗策を商守(しょうしゅ)の足元に投げ捨てると、商守(しょうしゅ)はそれを拾い上げ、「自分が餌だったのか」と呟いた。
商先生(しょうせんせい)は、塾の生徒、特に女子生徒たちに、勉学に励んで科挙に合格し、外の世界へ出るよう促した。いつもは足早に帰る商先生(しょうせんせい)が、今日はなぜこんなに話をするのかと生徒たちは不思議がった。生徒たちを見送った後、商先生(しょうせんせい)は「皆行ったか。私も行かねば」と呟いた。
夜、商先生(しょうせんせい)は一人で部屋で読書をしていた。家の外には黒ずくめの男たちが取り囲み、突然、商先生(しょうせんせい)の首に剣が突きつけられた。劉衍(りゅうえん)が送った護衛は間に合わず、商先生(しょうせんせい)は殺害された。
慕灼華(ぼしゃくか)はこの知らせに深く悲しみ、何も言葉を残さずに逝ってしまった商先生(しょうせんせい)を悼んだ。商先生(しょうせんせい)が自分の身を案じてのことだと理解した慕灼華(ぼしゃくか)は、悲しみに暮れながらも気丈に振る舞い、官服を著て沈驚鴻(しんきょうこう)の元へ向かった。そして、恩蔭製度廃止のために第一歩を踏み出すと宣言した。
朝廷で慕灼華(ぼしゃくか)は恩蔭製度の弊害を訴え、沈驚鴻(しんきょうこう)も彼女を支持した。劉衍(りゅうえん)は、今は名家と正面衝突する時ではないと忠告したが、慕灼華(ぼしゃくか)は誰かが犠牲になる覚悟が必要だと仮論した。
慕灼華(ぼしゃくか)と沈驚鴻(しんきょうこう)は共に名門貴族に立ち向かうことになった。柔嘉(じゅうか)は沈驚鴻(しんきょうこう)に孫家から手を付けるよう勧めたが、沈驚鴻(しんきょうこう)は孫雲謙(そんうんけん)に免じて見逃すよう頼み、柔嘉(じゅうか)はそれを承諾した。
第32話の感想
第32話は、物語が大きく動き出す重要な転換点と言えるでしょう。商先生の死はあまりにも突然で、慕灼華(ぼしゃくか)だけでなく視聴者にも大きな衝撃を与えました。飄々とした雰囲気を纏いながらも、常に慕灼華(ぼしゃくか)のことを気にかけていた商先生の最期は、あまりにもあっけなく、そして悲しいものでした。清冗策という名の爆弾を投下し、変革の旗手となった商先生。彼の死は、まさに「巨星墜つ」という言葉が相応しいでしょう。
慕灼華(ぼしゃくか)の悲しみは計り知れません。恩師であり、父親のような存在であった商先生を失った喪失感は、彼女の心を深く抉ります。しかし、悲しみに暮れるだけでなく、商先生の遺誌を継ぎ、恩蔭製度廃止へと立ち上がる彼女の姿は、凛とした強さを感じさせます。これまでどちらかと言うと守られる立場だった慕灼華(ぼしゃくか)が、自ら行動を起こすという変化は、今後の展開を大きく左右していくはずです。
沈驚鴻(しんきょうこう)は、商先生の死に対して責任を感じ、苦悩する姿が描かれています。柔嘉(じゅうか)に焚きつけられながらも、彼の心中にある葛藤は、決して単純なものではありません。慕灼華(ぼしゃくか)と共に改革を進めるのか、それとも別の道を選ぶのか、彼の今後の選択に注目が集まります。
つづく