あらすじ
第三十四話では、孫雲謙(そんうんけん)の死に対し、沈驚鴻(しんきょうこう)は深い自責の念に苛まれ、自らの選択の正否を疑い始めた。一方、柔嘉(じゅうか)は孫雲謙の死は自業自得だと断じ、権力を追い求める道を諦めるつもりはないと明言した。劉衍(りゅうえん)は柔嘉に過激な手段を放棄するよう説得を試みるも、聞き入れられなかった。
慕灼華(ぼしゃくか)は沈驚鴻(しんきょうこう)と共に孫雲謙の死を悼み、同時に柔嘉が商先生(しょうせんせい)の死に関係している事実を暴露し、沈驚鴻に柔嘉に利用されないよう警告した。 慕灼華(ぼしゃくか)と柔嘉の関係はさらに悪化し、二人の友情は完全に崩壊した。
沈驚鴻は柔嘉の本性に疑念を抱き始めた。病に伏せる沈驚鴻は、柔嘉に看病されるが、彼女の行動に困惑と不満を感じながらも、衰弱した体では拒否することができなかった。
その頃、柔嘉は薬を使って皇姑祖(こうぐそ)を操り、誅邪剣を手に入れようとしていた。目的達成のためには手段を選ばない、彼女の冷酷な一面が露わになった。
ネタバレ
孫雲謙(そんうんけん)の死を知った沈驚鴻(しんきょうこう)は、己の過ちを責めた。孫家を護ると約束したにも関わらず、孫雲謙(そんうんけん)を守ることができなかったのだ。一方、柔嘉(じゅうか)は、孫家の末路は当然であり、孫雲謙(そんうんけん)には生きる道を与えたが、彼が自ら死を選んだのだと冷淡に言い放った。弱者は生きる資格がないとまで言い切る柔嘉(じゅうか)に、沈驚鴻(しんきょうこう)は初心を忘れたのかと問う。しかし、柔嘉(じゅうか)は女帝となり現状を変えることが自分の目的だと主張し、孫汝(そんじょ)は殺したが周次山(しゅうじさん)はまだ生きている理由を問いただされても、今は方便のためであり、いずれ罰を与えると答えるのみだった。
劉衍(りゅうえん)は柔嘉(じゅうか)を訪ね、兄上は兄弟の和を望んでいた、骨肉の争いを望んではいないと諭す。しかし、柔嘉(じゅうか)は聞く耳を持たず、劉衍(りゅうえん)との勝負の行方を見届けると言い放った。慕灼華(ぼしゃくか)と沈驚鴻(しんきょうこう)は酒を酌み交わし、孫雲謙(そんうんけん)の思い出を語り合った。沈驚鴻(しんきょうこう)は深く自責するが、慕灼華(ぼしゃくか)は彼の背後に黒幕がいると推測し、沈驚鴻(しんきょうこう)の故意ではないと慰めた。そして、自分の師である商先生(しょうせんせい)の死も柔嘉(じゅうか)の仕業だと明かし、私欲のために悪事に加担するのかと沈驚鴻(しんきょうこう)に問いかけた。
慕灼華(ぼしゃくか)は柔嘉(じゅうか)を訪ね、女同士支え合うべきだと語る柔嘉(じゅうか)に対し、かつては共に歩めると信じていたが、今は既に袂を分かち、道を違えていると告げる。そして、贈られた簪を卓上に投げつけ、二人の友情はこれと同じだと突き放した。柔嘉(じゅうか)は、慕灼華(ぼしゃくか)の去り際に、彼女の態度を非難した。沈驚鴻(しんきょうこう)は街を彷徨い、柔嘉(じゅうか)の真の姿を探し求めていた。江南で施粥をする優しい柔嘉(じゅうか)と、冷酷な今の柔嘉(じゅうか)、どちらが本当の彼女なのかわからずに苦悩し、ついには倒れてしまう。そこを耶沐蓁(やぼくしん)に発見され、介抱される。
下人のいない沈驚鴻(しんきょうこう)の家で、耶沐蓁(やぼくしん)は看病を申し出るが、沈驚鴻(しんきょうこう)は断る。しかし、薬を飲むまでと粘る耶沐蓁(やぼくしん)を置いていくことはできなかった。そこに柔嘉が現れ、沈驚鴻(しんきょうこう)を心配するが、冷たくあしらわれてしまう。怒って立ち去る柔嘉だったが、沈驚鴻(しんきょうこう)が再び倒れると戻ってきて看病をした。沈驚鴻(しんきょうこう)が目覚めると、柔嘉は謝罪し、看病を続ける。慕灼華(ぼしゃくか)は劉琛(りゅうしん)との会話に集中できず、体調不良を訴える。劉琛(りゅうしん)は太医を呼ぶことを提案するが、慕灼華(ぼしゃくか)は断り、侍女に月経だと気づかされ、劉琛(りゅうしん)は彼女を休ませた。皇姑祖(こうぐそ)が江南へ帰る準備をし、劉琛(りゅうしん)は餞別に訪れた。皇姑祖(こうぐそ)は結婚を勧めるが、劉琛(りゅうしん)は話をはぐらかす。この様子を蔓から聞いた柔嘉は、劉琛(りゅうしん)が自分のために劉衍(りゅうえん)と対立すると確信し、ある計画を企てる。柔嘉は皇姑祖(こうぐそ)から誅邪剣を手に入れようとするが、拒否されると、皇姑祖(こうぐそ)に薬を盛ったのだった。
第34話の感想
第34話は、主要人物たちの複雑な感情とそれぞれの思惑が交錯する、非常に緊迫感のあるエピソードでした。特に、沈驚鴻(しんきょうこう)の苦悩と葛藤が胸を締め付けます。友を失い、信頼していた刘皎 (りゅうきょう)の変貌ぶりに戸惑い、自分の正義と信念が揺らぎ始める様子が繊細に描かれていました。かつての清廉潔白な沈驚鴻(しんきょうこう)はどこへ行ってしまったのか、彼の今後の選択が物語の大きな転換点となるでしょう。
刘皎 (りゅうきょう)の冷酷さと野心は、もはや隠しようがありません。目的のためには手段を選ばない彼女の姿は、見ていて恐ろしさを感じさせます。皇位への執著が彼女をここまで変えてしまったのでしょうか。慕灼華(ぼしゃくか)との友情の決裂も、彼女の冷酷さを際立たせる悲しい出来事でした。二人の対比が、物語のテーマをより深く浮かび上がらせています。
慕灼華(ぼしゃくか)は、沈驚鴻(しんきょうこう)や刘皎 (りゅうきょう)とは対照的に、自分の信念を貫き通そうとする強さを見せています。不正を憎み、真実を追求する彼女の姿勢は、この混沌とした宮廷の中で一筋の光のように感じられます。しかし、その強さが彼女自身を危険にさらす可能性も高く、今後の展開が心配です。
つづく