あらすじ

第三十一話は、胡尾生(こびしょう)が追っ手から逃げる最中、宝探しに関わった弟子たちが処刑されるという話を偶然耳にする場面から始まります。 彼はその後、台所で東方月初(とうほうしょげつ)たちと出会います。 東方月初(しょげつ)は盟主として西門(せいもん)家を訪れ、樹妖族の七宝妙樹皮の問題を解決しようとしますが、西門(せいもん)家当主の態度は強硬です。

一方、月啼暇(げってい か)は胡尾生の持つ七宝妙樹皮を奪うため、弱々しい振りを装って彼に近づき、過激な手段さえ厭いません。 胡尾生は彼女の行動に恐怖を感じながらも、真相を知ると彼女に感謝の念を抱きます。

それと同時に、塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)と東方月初は、西門(せいもん)家当主が仕掛けた迷離陣に囚われてしまいます。 二人は幻境の中で、互いに秘めていた思いや疑念と向き合うことになり、その結果、二人の関係に亀裂が生じてしまうのでした。

ネタバレ

こっそり台所へ食べ物を探しに行った胡尾生(こびしょう)は、やっとのことで饅頭二つを見つけました。食べようとしたその時、宝探しに参加した弟子全員が処刑されるという話を耳にし、慌てて隠れます。人がいなくなってから、ようやく饅頭を口にすることができました。

その時、東方月初(とうほうしょげつ)、塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)、そして長老(ちょうろう)が通りかかりました。長老(ちょうろう)は昔の恋人である月啼春(げっていしゅん)に会いたいと言い、東方月初(とうほうしょげつ)と塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)を先に西門(せいもん)家へ向かわせます。東方月初(とうほうしょげつ)が盟主と呼ばれているのを聞き、胡尾生(こびしょう)は希望を抱きます。

西門(せいもん)家では、以前盟主の座を争った西門(せいもん)家の若旦那が、東方月初(とうほうしょげつ)が盟主になったことを不服に思っていました。西門(せいもん)家当主は、樹妖一族の七宝妙樹皮の件を認めず、一気道盟からの脱退をほのめかします。東方月初(とうほうしょげつ)と塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)は樹妖の長を呼んで調査することにしますが、西門(せいもん)家当主は、南林へ行った者を皆殺しにしているため、余裕の表情です。

知らせを聞いた月啼春(げっていしゅん)は、文句を言いながら急いで駆けつけます。胡尾生(こびしょう)は外で長い間待っていましたが、東方月初(とうほうしょげつ)が出てこない理由が分かりません。月啼暇(げってい か)は、胡尾生(こびしょう)の持っている七宝妙樹皮に気づき、先手を打つことに。彼女は弱者を装い、胡尾生(こびしょう)に助けを求めます。胡尾生(こびしょう)は彼女が以前出会った女盗賊だと気づき逃げようとしますが、月啼暇(げってい か)は妹が追われていると言い換え、胡尾生(こびしょう)は同情してしまいます。

西門(せいもん)家当主は月啼暇(げってい か)に七宝妙樹皮を探すよう命じますが、見つかりません。そこで、三滴の血の約束を果たすよう迫り、蛇を使って血を取ろうとします。東方月初(とうほうしょげつ)は止められませんが、塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)が蛇に問題がないか確認した後、月啼春(げっていしゅん)は同意します。しかし、西門(せいもん)家当主は裏で細工をしており、長老(ちょうろう)が代わりに三滴の血を提供します。東方月初(とうほうしょげつ)と塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)は西門(せいもん)家の行動を怪しみ、様子を見ることに。

月啼暇(げってい か)は胡尾生(こびしょう)に恋をさせるため、彼を事故に見せかけて殺そうとします。しかし、彼女が胡尾生(こびしょう)にキスをした後、胡尾生(こびしょう)は彼女が自分を助けたのだと気づき、気まずくなります。月啼暇(げってい か)は七宝妙樹皮のありかを探ろうとし、胡尾生(こびしょう)は再び逃げようとします。長老(ちょうろう)から三滴の血をもらった後、月啼春(げっていしゅん)は薬を塗りながら娘の話をし、長老(ちょうろう)はもっと娘を気にかけるよう助言します。

七宝妙樹皮がバレるのを恐れた月啼暇(げってい か)は、樹妖が追ってきた際に胡尾生(こびしょう)を守り、胡尾生は彼女が自分のために何でもしてくれると思い、感動します。胡尾生は月啼暇(げってい か)に自分の生い立ちを語り、彼女の心を少し動かします。月啼暇(げってい か)を守るため、胡尾生は東方月初(とうほうしょげつ)に会いに行こうとしますが、月啼暇(げってい か)はそれを止め、自分の母親に結婚の申し込みをするよう言います。

塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)は、西門(せいもん)家当主が外に出て歳浮(さいふ)と会い、塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)と東方月初(とうほうしょげつ)を迷離陣に誘い込む計画を立てているのを目撃します。二人が陣に入った後、塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)は突然姿を消します。東方月初(とうほうしょげつ)は幻覚の中で彼女にキスをして正気に戻しますが、彼女が何を見たのかを知りたがります。塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)は、自分が見た幻覚の中で東方月初(とうほうしょげつ)が、自分が彼を陥れようとしていることを知っていることに気づき、闇い気持ちになります。同時に、東方月初(しょげつ)も、塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)が東方(とうほう)家の血筋が役に立つと冷たく言う幻覚を見ます。これらの出来事が二人の間に疑念を生みます。

第31話の感想

第31話は、様々なキャラクターの思惑が交錯し、物語が大きく動き出す重要な回でした。胡尾生と月啼暇(げってい か)のコミカルなやり取りは、シリアスな展開の中で良い息抜きとなっています。純粋で少し抜けている胡尾生と、小悪魔的な月啼暇(げってい か)の組み合わせは、今後の展開に期待を持たせます。月啼暇(げってい か)は胡尾生を利用しようとしていますが、どこか憎めないキャラクターで、彼女の真意はどこにあるのか気になるところです。

一方、東方月初(しょげつ)と塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)の関係に闇雲が立ち込めてきました。迷離陣の中で見た幻覚は、二人の間に不信感を植え付けてしまいます。お互いを信じたい気持ちと、疑念が入り混じる複雑な心情が丁寧に描かれており、今後の二人の関係がどうなっていくのか、目が離せません。

西門(せいもん)家を中心とした陰謀も徐々に明らかになりつつあります。西門(せいもん)家当主の冷酷さと狡猾さが際立ち、一気道盟との対立が激化していく予感がします。樹妖一族の七宝妙樹皮を巡る争いは、ますます複雑さを増し、物語の核心へと迫っていくでしょう。

つづく