あらすじ
第32話は、塗山(とざん)雅雅(とざん やや)と傲来(ごうらい)国三少(さんしょう)が六界の平和を守るために協力する物語で、団結の大切さを強調しています。塗山雅雅(とざん やや)は人間と妖怪の子供たちの争いをうまく仲裁し、種族間の融和を促進しました。
一方、物語は月啼春(げっていしゅん)と胡尾生(こびしょう)の結婚を中心に展開し、月啼暇(げってい か)の正体と胡尾生との複雑な関係が明らかになります。長老(ちょうろう)は皆を守るため、黒狐(へいこ)の力に操られた危機に立ち向かい自らを犠牲にします。東方月初(とうほうしょげつ)は長老の遺志を継ぎ、苦渋の決断ながら自ら長老の命を絶つことになります。
この事件がきっかけで、塗山紅紅(とざんこうこう)と月啼春は東方月初(しょげつ)に強い憤りを抱き、各勢力の緊張状態はさらに高まります。
ネタバレ
塗山(とざん)雅雅(とざん やや)は六界の安寧を守る責任は傲来(ごうらい)国三少(さんしょう)一人だけのものではないと皆に訴え、六界の皆が共に守るべきだと呼びかけました。三少(さんしょう)爷は今まで一人で戦ってきたので、雅雅の支えに喜びを感じています。南天門での一件以来、雅雅を失う恐怖を味わった三少(さんしょう)爷にとって、彼女の存在はかけがえのないものとなりました。
ある日、人間と妖怪の子供たちが喧嘩を始めます。駆けつけた雅雅と三少(さんしょう)爷は、広場に境界線を引いて、越境した者を罰すると宣言。雅雅は子供たちを巧みに集め、喧嘩をやめさせ、人間と妖怪の区別なく仲良くすることを約束させました。
月啼暇(げってい か)から胡尾生(こびしょう)が求婚に来るという手紙を受け取った月啼春(げっていしゅん)は激怒しますが、長老(ちょうろう)は話を聞くように諭します。実は長老(ちょうろう)は月啼春(げっていしゅん)とよりを戻したいと思っていましたが、彼女はそれを避けていました。胡尾生(こびしょう)は月啼暇(げってい か)に何か欲しいものはないかと尋ね、手ぶらで求婚に行くのは気が引けると、最終的に卵を籠いっぱい持参しました。月啼暇(げってい か)は呆れながらも、胡尾生(こびしょう)を連れて家に向かいます。
しかし、家には月啼春(げっていしゅん)はおらず、長老(ちょうろう)が食事を用意していました。月啼暇(げってい か)は、長老(ちょうろう)こそが月啼春(げっていしゅん)がいつも愚痴をこぼしていた「嬌嬌」だと気づきます。月啼春(げっていしゅん)が料理をするはずがないと見抜いた月啼暇(げってい か)は、長老(ちょうろう)に二人の仲を取り持つよう頼みます。長老(ちょうろう)は胡尾生(こびしょう)を気に入り、二人の結婚を承諾しますが、うっかり月啼暇(げってい か)が妖怪であることを明かしてしまいます。そこに西門(せいもん)家の弟子たちが押しかけ、騒動となります。長老(ちょうろう)は弟子たちを簡単にあしらいますが、胡尾生(こびしょう)は月啼暇(げってい か)を連れて逃げようとします。しかし、月啼暇(げってい か)は妖力を解放し、胡尾生(こびしょう)は彼女が以前出会った盗賊だと気づきます。それでも胡尾生(こびしょう)は彼女を見捨てず、手を差し伸べました。
殺された西門(せいもん)家の弟子たちは、樹妖の仕業だとされています。東方月初(とうほうしょげつ)は西門(せいもん)家主に面会を求め、家主は屏風の後ろから現れますが、目は濁っていました。家主は石姫(せっき)に操られており、石姫(せっき)は東方月初(とうほうしょげつ)を誘惑し、真相を教える代わりに自分についてくるように言います。胡尾生(こびしょう)は月啼暇(げってい か)を背負って逃げ、長老(ちょうろう)は一人で弟子たちと戦います。
黒狐(へいこ)の力を追っていた塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)は、歳浮(さいふ)に会い、長老(ちょうろう)が危険な状態だと知ります。狐の血を持つ者は、黒狐(へいこ)に憑依される可能性があるのです。石姫(せっき)は長老(ちょうろう)に憑依し、西門(せいもん)家の弟子たちを殺害します。東方月初(とうほうしょげつ)はその光景を目の当たりにし、石姫(せっき)は高笑いします。黒狐(へいこ)の支配から逃れるには、東方月初(とうほうしょげつ)を殺すしかないからです。長老(ちょうろう)は最後の力を振り絞り、東方月初(とうほうしょげつ)に自分を殺すように頼みます。黒狐(へいこ)を止められるのは、東方月初(とうほうしょげつ)だけだからです。一気道盟の弟子たちが長老(ちょうろう)に殺されるのを見て、東方月初(とうほうしょげつ)は泣き崩れながら、長老を手にかけます。かつて塗山(とざん)で、長老は東方月初(とうほうしょげつ)に、もし自分が塗山(とざん)の罪人になったら殺してほしいと頼んでいました。その言葉が現実となってしまったのです。駆けつけた塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)は、他に方法はなかったのかと悲しみに暮れる東方月初(とうほうしょげつ)を責めます。
西門(せいもん)家の弟子たちは塗山(とざん)に説明を求め、月啼春(げっていしゅん)も長老を殺した一気道盟に怒り、南林に一歩でも踏み入れたら容赦しないと宣言します。東方月初(とうほうしょげつ)は月啼春(げっていしゅん)に、これは長老の望むことではないと言い、必ず皆に説明すると約束します。塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)は長老の遺体を塗山(とざん)に持ち帰り、東方月初(とうほうしょげつ)は後を追いますが、紅紅(こうこう)は彼を一瞥もくれないのでした。
第32話の感想
第32話は、様々な感情が渦巻く、非常に重厚なエピソードでした。特に、東方月初(とうほうしょげつ)が長老を手にかけなければならないという悲劇的な展開は、胸が締め付けられる思いでした。黒狐(へいこ)の策略によって操られた長老は、もはや元の優しい長老ではなく、冷酷な殺人者と化してしまいます。東方月初(しょげつ)は、かつて長老と交わした約束を守るため、そして更なる犠牲を防ぐため、涙ながらに彼を殺める決断を下します。このシーンは、東方月初(しょげつ)の人間としての苦悩、そして長老への深い愛情がひしひしと伝わってきて、非常に感動的でした。
また、塗山(とざん)雅雅(とざん やや)と傲来(ごうらい)国三少(さんしょう)の関係性の変化も印象的でした。これまで一人で六界の平和を守ってきた三少(さんしょう)爷にとって、雅雅の存在は大きな支えとなっていることが描かれています。南天門での出来事をきっかけに、二人の絆はより一層深まり、互いを思いやる気持ちが強く感じられました。
一方、月啼暇(げってい か)と胡尾生(こびしょう)の関係も大きく進展します。胡尾生(こびしょう)は不器用ながらも月啼暇(げってい か)への愛情を示し、月啼暇(げってい か)もまた、彼の優しさに触れて心を開いていく様子が描かれています。しかし、長老の失言によって月啼暇の正体が明らかになり、二人の関係は新たな局面を迎えることになります。今後の展開が非常に気になるところです。
つづく