あらすじ

第33話は、胡尾生(こびしょう)と月啼暇(げってい か)の誤解と和解、そして塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)が圈外勢力である黒狐(へいこ)の侵入による危機に立ち向かう様子を描いています。

胡尾生は当初、月啼暇の真意を誤解し、彼女のもとを去ろうと決意します。しかし、月啼暇こそが唯一自分を気にかけてくれる存在かもしれないと気づき、彼女を受け入れることを考え始めます。

一方、塗山は深刻な脅威にさらされます。塗山紅紅(こうこう)は黒狐の陰謀に立ち向かおうとしますが、黒狐は彼女に恨みの力を吸収させ、その意志を破壊しようと企みます。

また、付澄(ふせい)が操られ引き起こした大虐殺により、東方月初(とうほうしょげつ)は深い自責の念に駆られます。さらに石姫(せっき)の挑発もあり、塗山紅紅(とざんこうこう)への疑念を抱き始めます。

しかし、塗山紅紅は愛の力で全てを乗り越えられると固く信じており、恨みの力を吸収させられても、その信念は揺らぎません。

そんな中、月啼暇は妖怪たちの報復から胡尾生を守るため、再び自分の真心を見せます。そして石姫は、この状況を利用して東方月初(しょげつ)と塗山紅紅の仲をさらに引き裂こうと画策します。

ネタバレ

胡尾生(こびしょう)と月啼暇(げってい か)は焚き火を囲んでいた。月啼暇(げってい か)は七宝妙樹皮を取ろうとするが、やはり取れない。母の言葉は嘘だったのか?彼は本当に自分を愛していないのか?不安を抱えた胡尾生(こびしょう)は、ここで別れようと言い出す。妖を愛するはずがない、そもそも求婚などすべきではなかった、最初から月啼暇(げってい か)は自分を騙していた、殺すつもりだったのだ、と。月啼暇(げってい か)は泣きながら、ただ胡尾生(こびしょう)が好きだという気持ちを訴えるが、胡尾生(こびしょう)は頑なに妖を愛することはないと拒絶する。怒った月啼暇(げってい か)は彼を追い出す。彼は本当に立ち去ろうとするが、この世で自分を愛してくれるのは彼女しかいないと思い直し、戻ってくる。愛を試してみようと決意する。

塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)は塗山(とざん)で闇黒の力を感じ取る。それは圏外の黒狐(へいこ)が苦情樹(くじょうじゅ)を通して圏内に侵入したためだった。黒狐(へいこ)は紅紅(こうこう)に憎しみの力の恐ろしさを教え、愛よりも憎しみの方が容易く、憎しみは力を増幅させると唆す。黒狐(へいこ)は紅紅(こうこう)が幻覚で見た未来が現実になるよう仕向ける。紅紅(こうこう)は六界に黒狐(へいこ)の正体を暴こうと決意する。一方、塗山(とざん)では付澄(ふせい)と流觴(りゅうしょう)が子供たちと遊んでいたところを黒狐(へいこ)に操られ、子供たちを殺してしまう。

塗山(とざん)雅雅(とざん やや)は長老(ちょうろう)の死を知り、東方月初(とうほうしょげつ)に復讐しようと騒ぎ立てる。雅雅は月初(しょげつ)に、一気道盟盟主になっても塗山(とざん)のことは覚えているのか、一気道盟を守るために長老(ちょうろう)を殺したのかと詰め寄る。月初(しょげつ)もまた苦悩し、そこに平和村で事件が起きたという知らせが届く。黒狐(へいこ)に操られた付澄(ふせい)は無差別に殺戮を始め、流觴(りゅうしょう)までも殺してしまう。流觴(りゅうしょう)は九霜(きゅうそう)の腕の中で息を引き取り、人妖の平和が実現することを月初(しょげつ)に伝えてほしいと言い残す。正気に戻った付澄(ふせい)は目の前の惨状に絶望し、自害する。駆けつけた月初(しょげつ)は付澄(ふせい)の死を止められず、石姬(せっき)の邪悪な声が再び彼の耳元で響く。月初(しょげつ)は付澄(ふせい)の遺体と共に去り、紅紅(こうこう)との溝は深まるばかりだった。

紅紅(こうこう)は傲来(ごうらい)国三少(さんしょう)に、黒狐(へいこ)が苦情樹(くじょうじゅ)を通して圏外から侵入したことを伝え、圏外には黒い苦情樹(くじょうじゅ)があると告げる。紅紅(こうこう)が月初(しょげつ)を遠ざけたのは、虚空の涙のために彼が犠牲になるのを恐れたからだった。三少(さんしょう)は紅紅(こうこう)が憎しみの力に飲み込まれることを心配するが、紅紅(こうこう)は意誌を曲げず、蝶の精霊を三少(さんしょう)に託し、雅雅と容容に渡すよう頼む。

石姬(せっき)は紅紅(こうこう)が計画通り憎しみに染まっているのを見て、次は月初(しょげつ)を取り込もうと企む。そして、月啼暇(げってい か)と胡尾生(こびしょう)にも目を付ける。もし月啼春(げっていしゅん)が娘の死を知れば、塗山(とざん)を黙ってはおかないだろう。月啼暇(げってい か)は胡尾生(こびしょう)を苦情樹(くじょうじゅ)の下で縁を結ぶために塗山(とざん)へ連れてきたのだった。彼女は胡尾生(こびしょう)に愛していると嘘をつく。妖たちが胡尾生(こびしょう)に復讐しようとした時、月啼暇(げってい か)は彼の前に立ちはだかる。石姬(せっき)は突然現れ、月初(しょげつ)に、紅紅(こうこう)が彼を助けたのは東方霊血のためであり、たとえ愛していたとしてもそれは策略だったと告げる。妖は情に溺れると妖力が強くなる。二人は最初からお互いを利用し合っていただけで、紅紅(こうこう)の心には塗山(とざん)しかないのだと。月初(しょげつ)は信じようとしないが、疑念の種は既に蒔かれていた。

紅紅(こうこう)は苦情樹(くじょうじゅ)の下で憎しみの力を吸収する。彼女は信じている、憎しみは決して愛に勝てないと。

第33話の感想

第33話は、様々なキャラクターの苦悩と葛藤が描かれ、物語全体を覆う闇い影がさらに濃くなった印象です。紅紅は黒狐(へいこ)の策略によって憎しみの力に囚われ始め、愛する月初(しょげつ)を遠ざけるという辛い選択を迫られます。彼女の苦悩は見ているこちらも胸が締め付けられるようでした。傲来(ごうらい)国三少(さんしょう)との会話からも、紅紅がどれだけ追い詰められているかが伝わってきます。

一方、月初(しょげつ)は付澄(ふせい)の死という悲劇に見舞われます。石姬(せっき)の言葉によって紅紅への疑念を抱き始めた月初(しょげつ)が、今後どのような行動に出るのかが非常に気になります。付澄(ふせい)と流觴(りゅうしょう)の悲恋も、人妖の平和への道のりの険しさを改めて示すものでした。

そして、胡尾生(こびしょう)と月啼暇(げってい か)の恋模様も波乱の展開を見せています。月啼暇(げってい か)の嘘が暴かれ、二人の関係はさらに複雑なものになりそうです。石姬(せっき)が彼らにも介入し始めたことで、今後の展開がますます予測不可能になりました。

つづく