あらすじ

東方月初(とうほうしょげつ)は黒狐(へいこ)の圈内への侵入経路が苦情樹(くじょうじゅ)と関係があるのかを確認するため、単独で阿頼(あれい)と会見しました。しかし、阿頼は明確な答えを出しませんでした。石姫(せっき)は協調の誠意を示すため、黒狐左使の歳浮(さいふ)を吸収しました。これにより、月初(しょげつ)は石姫との協力を承諾し、黒狐に対抗することを決めました。最初の目標は苦情樹の排除です。

その後、石姫は人間を傷つけ始めます。この事態を知った月初は石姫に警告を発しました。迫り来る大戦に備え、月初は一気道盟を結集し塗山(とざん)への攻撃準備を進めます。塗山側も迎撃態勢を整えていました。月初と紅紅(こうこう)は感情のもつれの中で束の間の再会を果たしますが、月初はこれが幻であることに気づき、計画実行を続行することを決意します。

最終的に、紅紅は黒狐の侵入を阻止するため、自らを犠牲にして苦情樹を燃やす決断をします。しかし、その決定的な瞬間、石姫が現れ、黒狐の力を奪おうと企てます。

ネタバレ

東方月初(とうほうしょげつ)は阿頼(あれい)と会い、黒狐(へいこ)の侵入口が苦情樹(くじょうじゅ)と関係あるか尋ねた。阿頼(あれい)は直接答えず、断情した月初(しょげつ)にこれ以上関わるなと忠告し、塗山(とざん)石姫(せっき)と手を組むつもりだと明かした。塗山(とざん)は既に阿頼(あれい)の情報を全て握っているという。

その夜、石姫(せっき)は協調の証として黒狐(へいこ)左使の歳浮(さいふ)を召喚し、月初(しょげつ)の目の前で喰らった。月初(しょげつ)は石姫(せっき)との協力を承諾。黒狐(へいこ)を阻止するには苦情樹(くじょうじゅ)を排除する必要があると石姫(せっき)は主張し、二人は一気道盟を率いて塗山(とざん)を攻めることで合意した。

時が経ち、石姫(せっき)は人間を奴隷化し、人奴戦隊を結成。塗山(とざん)雅雅(とざん やや)と容容は塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)を心配するが、紅紅(こうこう)は助けを拒む。二人は阿頼(あれい)に相談し、塗山(とざん)を守り紅紅(こうこう)を支えるよう助言される。

月初(しょげつ)は人間の失踪に気付き、石姫(せっき)を警告する。玉萍(ぎょくへい)は月初(しょげつ)に冷静さを保ち大局を優先するよう諭すが、月初(しょげつ)は紅紅(こうこう)との関係は終わったと断言する。

決戦前、月初(しょげつ)と紅紅(こうこう)は互いを想いながらも、時間は戻らない。一気道盟の弟子たちは黒狐(へいこ)の存在を信じないが、塗山(とざん)を敵とみなす。月初(しょげつ)は六域の平和を守るため、塗山(とざん)討伐を宣言した。

紅紅(こうこう)は妖盟に迎撃を指示。憎しみに支配されつつ、月初(しょげつ)のもとへ向かい、激しく抱擁しキスをする。月初(しょげつ)は異変に気付き、紅紅(こうこう)に霊力を注ぎ正気に戻そうとする。

月初(しょげつ)両親の墓前で、雅雅は月初(しょげつ)を恩知らずだと責める。月初は塗山(とざん)攻撃の意誌を曲げず、阿頼(あれい)が取り乱した雅雅を連れ去る。雅雅の悲しみに阿頼(あれい)も心を痛める。

雅雅は塗山(とざん)と月初の変化に悲しみながらも責任を自覚し、成長を見せる。阿頼(あれい)は雅雅と共に困難に立ち向かうと誓う。容容は塗山(とざん)を守るために犠牲になった仲間たちに感謝し、塗山(とざん)を守る決意を新たにする。

決戦当日、月初は一気道盟に塗山の封鎖を指示し、単身で塗山へ。塗山の街は平穏で、紅紅(こうこう)と一人の少年が現れる。紅紅(こうこう)は苦情樹(くじょうじゅ)は黒狐(へいこ)に支配されておらず、長老(ちょうろう)も流觴(りゅうしょう)も生きていると告げる。少年は月初と紅紅(こうこう)の息子で、二人は27年間塗山で幸せに暮らしていたという。

当初、月初は幸福に戸惑い、全てが夢だと思った。しかし、少女が現れ、自分が幻境の中にいると気付く。紅紅(こうこう)は時間稼ぎのための幻境だと認めつつも、月初にこの幻想を受け入れるよう説得する。しかし、月初は幻境を破る。

苦情樹(くじょうじゅ)の下、魔に侵されながらも紅紅(こうこう)は月初が幻境を捨てたことを受け入れる。それは葉わぬ二人の夢だった。紅紅(こうこう)は月初が幻境に留まり、災厄に遭わずに済むことを願った。

紅紅は情種を核に自らを犠牲とし、最強の情の力で苦情樹(くじょうじゅ)を破壊、黒狐(へいこ)の侵入口を断つための陣を発動させる。その時、石姫(せっき)が現れ、黒狐(へいこ)の力を奪おうとする。

第35話の感想

第35話は、東方月初(とうほうしょげつ)と塗山紅紅(とざんこうこう)の悲劇的な愛と、抗えない運命の残酷さを鮮烈に描いたエピソードでした。二人の間に生まれた息子、そして27年間の幸せな生活という幻境は、視聴者の心を掴み、そして容赦なく引き裂きました。紅紅が作り出した幻境は、葉うことのなかった二人の未来であり、同時に、目の前の現実の厳しさを際立たせる残酷な対比でもありました。

月初が冷酷に見える決断の裏には、黒狐(へいこ)という大きな脅威に対する責任感と、大局を見拠えた苦悩が隠されているように感じます。しかし、紅紅にとっては、愛する人と築き上げた幸せな幻境を壊されることは、どれほどの痛みだったでしょうか。紅紅の悲しみと、それでもなお塗山を守るという強い決意が、胸を締め付けます。

石姫(せっき)の闇躍も、物語に不穏な影を落としました。黒狐(へいこ)の力を狙う彼女の真意は何なのか、今後の展開が非常に気になります。また、雅雅の怒りと悲しみ、そして阿頼(あれい)の優しさも印象的でした。特に、成長を見せる雅雅の姿は、今後の彼女の活躍を期待させます。

つづく