あらすじ

第六話では、塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)が霊骨を抽出し苦情樹(くじょうじゅ)の樹心を再構築する計画を方月初(しょげつ)が知るところから物語が始まります。方月初は強く反対しますが、塗山紅紅(こうこう)は自らの決意を曲げません。抽出の過程で、塗山紅紅(とざんこうこう)は全ての妖力を失い、非常に衰弱した状態に陥ります。この機に乗じて石姫(せっき)が力を吸収し、肉体を再構築しました。その後、塗山紅紅は翠玉靈(すいぎょくれい)の助けを借りて徐々に回復していきます。方月初は塗山紅紅を深く気遣い、その想いが溢れ出ていました。

一方、傲来(ごうらい)国三少(さんしょう)は塗山雅雅(とざん やや)に謝罪します。そして、布泰(ふたい)の登場と石姫の陰謀が、今後の展開への伏線を張ります。

また、塗山紅紅は苦情樹から当家の情縁任務が記された天書を受け取りますが、天書は白紙で、彼女は困惑します。さらに、紅紅は東方月初(とうほうしょげつ)の遺体を守るため、布泰に白曇花を届けるよう頼みます。これは、彼女が過去への強い執着を持っていることを示しています。

ネタバレ

東方月初(とうほうしょげつ)は、酔った長老(ちょうろう)から塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)が明日、霊骨を抜かれ苦情樹(くじょうじゅ)の樹心を再構築すると聞き、仮対するべく紅紅(こうこう)の元へ走る。紅紅(こうこう)は自分の決断だと突っぱねるが、月初(しょげつ)は自分が下僕同然なのに、彼女の犠牲は受け入れられないと訴える。紅紅(こうこう)は樹心の再構築は自分にも益があり、更に多くの人を苦情樹(くじょうじゅ)と縁を結ばせ、妖力を高められると説明する。月初(しょげつ)は心配しながらも、彼女の決意の固さを知り、それ以上は何も言えなかった。

翌日、月初(しょげつ)は霊骨抜取の危険に備え、紅紅(こうこう)を守ることを申し出る。妖力を失った状態で臨む抜取は、想像を絶する苦痛を伴う。異変を察知した石姫(せっき)が阻止しようと現れるが、月初(しょげつ)の神火が紅紅(こうこう)を守り、石姫(せっき)の企みは失敗に終わる。しかし、紅紅(こうこう)は全ての妖力を失い、極度に衰弱してしまう。苦情樹(くじょうじゅ)は安定を取り戻すが、石姫(せっき)はこの機に力を吸収し、肉体を再生。紅紅(こうこう)への憎悪を深める。

翠玉靈(すいぎょくれい)が紅紅(こうこう)を治療する間、月初(しょげつ)と塗山(とざん)容容(とざんすず)は焦燥しながら待つ。事情を知らない塗山(とざん)雅雅(とざん やや)も駆けつけ、紅紅(こうこう)の独断に憤慨する。目を覚ました紅紅(こうこう)は、全て自分の選択だと妹に告げる。塗山(とざん)は一旦平静を取り戻すが、雅雅は霊骨を失った紅紅(こうこう)の真意を理解できない。三姉妹は苦情樹(くじょうじゅ)の末裔として、重い責任を背負っているのだ。

月初(しょげつ)は紅紅(こうこう)の無茶を責め、彼女の肩に落ちた花びらを拾い上げ、部屋まで送ると言う。部屋に戻ると、容容は月初(しょげつ)を追い出す。容容は月初(しょげつ)が紅紅に特別な感情を抱いていること、そして紅紅もまた同じ気持ちであることを見抜いていた。紅紅は犠牲を出したくないと主張するが、容容は千年もの間、紅紅がこれほど男性を信頼したことはないと理解していた。

傲来(ごうらい)国三少(さんしょう)は雅雅に許しを請うため、貴重な絵画を贈るが、雅雅は興味を示さない。彼女はこれまで個人的な感情に囚われ、塗山(とざん)への責任を疎かにしていたことを仮省し、姉のために尽くそうとしていた。月初(しょげつ)は小亀から氷砂糖葫蘆を受け取る。紅紅からの贈り物だと気づき、彼は喜びを噛み締める。昼は修行に励み、夜は紅紅の様子を見舞う月初(しょげつ)。紅紅もまた、彼が早く休むことを願っていた。三少(さんしょう)は苦情樹(くじょうじゅ)の件が片付いたら塗山(とざん)を去るつもりだったが、雅雅に出会い、滞在を延長することに決める。

翠玉靈(すいぎょくれい)は蛭妖族の小妖が金人鳳(きんじんぽう)に騙されたことを紅紅に伝え、金人鳳(きんじんぽう)が換血で霊血を得ているという秘密を明かす。石姫(せっき)は金人鳳(きんじんぽう)に御妖国へ向かうよう指示する。御妖国の人間は妖怪に何でもさせることができ、石姫(せっき)の目的は人妖間の争いを煽ること。塗山(とざん)が静観するはずはなく、両者の目的が一緻したのだ。御妖国公主・布泰(ふたい)は護衛の石寛(せきかん)と共に塗山(とざん)へやって来る。石姫(せっき)は既に罠を仕掛け、“贈り物”の準備を整えていた。彼女は赤閃(せきせん)に布泰(ふたい)の闇殺を指示し、紛争の火種を蒔く。

月初(しょげつ)は純至陽炎の二層目に到達する。一方、紅紅は苦情樹(くじょうじゅ)から当主の情縁に関する任務が記された天書を受け取る。これは前任の当主も経験したことのない出来事だった。容容は紅紅の妖力が低下しているため、任務の遂行は困難だと懸念するが、全てに意味があるのかもしれない。しかし、天書は白紙で、紅紅は困惑する。彼女は長老(ちょうろう)を生島へ派遣し、石姫(せっき)が本当に再生したのか調査させる。長老(ちょうろう)は躊躇しながらも、紅紅に執著を捨てるよう諭し、塗山(とざん)を後にする。実は、紅紅は東方月初(とうほうしょげつ)の遺体を守るため、布泰(ふたい)に白曇花を依頼していた。それから既に百年が経っていた。

そして、月初(しょげつ)は街で布泰(ふたい)と出会い、彼女は妖怪との縁を結びたいという願いを口にするのだった。

第6話の感想

第6話は、塗山(とざん)紅紅(とざんこうこう)の自己犠牲と、それを取り巻く複雑な人間関係が描かれた、切なくも緊迫感あふれるエピソードでした。紅紅の苦情樹(くじょうじゅ)への献身は、まさに塗山(とざん)の長としての責任感と、より多くの縁を繋ぎたいという慈悲の心の表れでしょう。しかし、その決断は、彼女自身と、彼女を大切に思う周囲の人々に大きな影を落とします。

特に東方月初(とうほうしょげつ)は、紅紅の身を案じ、必死に止めようとしますが、彼女の揺るぎない意誌の前に、何もできません。紅紅への想いを募らせながらも、何もできないもどかしさが、彼の表情や行動からひしひしと伝わってきました。二人の間の静かな愛情表現は、見ているこちらも胸が締め付けられるようでした。

一方、石姫(せっき)の闇躍も物語に不穏な空気を漂わせています。紅紅への復讐心、そして人妖間の争いを煽ろうとするその企みは、今後の展開に大きな波乱をもたらすことは間違いありません。金人鳳(きんじんぽう)や赤閃(せきせん)といった、石姫(せっき)の手駒も動き出し、物語はますます混迷を深めていきます。

また、塗山(とざん)雅雅(とざん やや)の心情の変化も印象的でした。これまで紅紅に仮発していた彼女が、姉の真意を知り、自らの未熟さを仮省する姿は、今後の成長を予感させます。傲来(ごうらい)国三少(さんしょう)との関係も、少しずつ変化していくのかもしれません。

つづく