第10話、鳳銘(ホウメイ)は広寒門(こうかんもん)の仙姑と失踪した妖僕の行方について話し合い、既に地上は徹底的に捜索済みで、素影(スーイン)が永州(えいしゅう)城に龍角陣を敷いて妖獣の退路を断っていることから、地下に潜伏している可能性が高いと推測する。妖獣を炙り出すか、逃走経路を断つため、仙姑は広寒門(こうかんもん)の禁術で地下を封鎖し、鳳銘(ホウメイ)に地下都市の入り口捜索を命じる。

一方、弦歌(ゲンカ)の奴僕である小五(ショウゴ)と小九(ショウキュウ)は鳳千朔(オオトリ・チサト)に同行するが、態度は冷たい。雁回(イエンフイ)が戻ると、二人は鳳千朔(オオトリ・チサト)の世話役を彼女に任せる。鳳千朔(オオトリ・チサト)は雁回(イエンフイ)と天耀(ティエンヤオ)が地下闘技場を破壊したことに不満を持ち、利用価値があったはずだと主張する。雁回(イエンフイ)は、鳳千朔(オオトリ・チサト)の罠に嵌められ天耀(ティエンヤオ)が危うく命を落とすところだったと怒りをぶつける。口論後、鳳千朔(オオトリ・チサト)は弦歌(ゲンカ)の元を訪れ、彼女が「花為(カタイ)」という遺物らしき物を弄っているのを見つける。彼はとっさにそれが役に立つと言い、回収する。弦歌(ゲンカ)の問いに、鳳千朔(オオトリ・チサト)は花為(カタイ)が西洋から父が持ち帰った遠隔通信用の道具だと説明する。

弦歌(ゲンカ)は花為(カタイ)を使って青丘(チンチウ)国に連絡し、雲曦(ウンギ)公主の救助を要請することを提案するが、鳳千朔(オオトリ・チサト)は玄妖間の戦争を引き起こし、永州(えいしゅう)の民を巻き込むことを恐れて拒否する。弦歌(ゲンカ)は命の恩を返してほしいと訴えるが、鳳千朔(オオトリ・チサト)は自分の命で償うと主張し、民の命を危険に晒すことはできないと譲らない。弦歌(ゲンカ)が花為(カタイ)を奪おうとした時、そこから雲曦(ウンギ)公主の死を知らせる声が聞こえ、彼女は言葉を失う。

広寒門(こうかんもん)の禁術により、地下都市の妖獣は新たな脱出経路を掘ることができず、状況は悪化していく。弦歌(ゲンカ)は皆を集めて対策を話し合う。天耀(ティエンヤオ)は青丘(チンチウ)国に連絡し、彼らの救助を陽動にして雁回(イエンフイ)に龍角陣を破らせることを提案する。鳳千朔(オオトリ・チサト)が協力を拒むため、白曉生(バイ・シャオション)が説得を試みるも失敗し、二人は言い争いを始める。雁回(イエンフイ)は争いを止め、自分の霊力では龍角陣を破れるか不安を口にする。弦歌(ゲンカ)は花為(カタイ)に助けを求め、地下都市の妖獣の霊力を借りる策を見つける。

妖獣たちは最初は玄門の弟子である雁回(イエンフイ)に霊力を渡すことを拒むが、天耀(ティエンヤオ)の説得により同意する。雁回(イエンフイ)は感謝し、全力で龍角陣を破り、皆を安全に脱出させると約束する。しかし、妖獣の霊力を受け取っても、雁回(イエンフイ)は識海の中の黒岩を拡大できず、龍角陣を破れるか確信が持てない。白曉生(バイ・シャオション)が霊力を送ろうとするが、天耀(ティエンヤオ)は白曉生(バイ・シャオション)を警戒し、雁回(イエンフイ)が他人を簡単に信用するのも良くないと止める。

花為(カタイ)が警報を発し、広寒門(こうかんもん)が地下都市の位置を突き止めようとしていることが判明する。弦歌(ゲンカ)は鳳銘(ホウメイ)たちを陽動するため地上へ出ることを決意し、鳳千朔(オオトリ・チサト)も同行を申し出る。弦歌(ゲンカ)は十二人の奴僕を呼び、陣が破れたら地下都市の妖獣たちの脱出を助け、主従の契りを解く。地上に出た弦歌(ゲンカ)と鳳千朔(オオトリ・チサト)は天香坊(てんこうぼう)の倉庫を破壊し、忘語楼(ぼうごろう)を捜索していた鳳銘(ホウメイ)の注意を引きつける。

一方、雲曦(ウンギ)公主の死で生きる希望を失った陸慕生(リク・ムーシェン)は、素影(スーイン)の霊力によってかろうじて生かされている状態だった。護心鱗(ごしんりん)が見つからなければ、彼の命は長くは持たない。素影(スーイン)は時間を稼ぐため、自らの身を顧みず強力な禁術を使い、地下都市の妖獣を炙り出そうとする。この攻撃で地下都市の人々は大きな打撃を受ける。天耀(ティエンヤオ)はこれが素影(スーイン)の策略だと見抜き、自分が素影(スーイン)の注意を引きつけ、雁回(イエンフイ)に龍角陣を破らせる作戦を決行する。玉瀝(ギョクレキ)たちには陣が破れたらすぐに皆を逃がすよう指示を出す。

最後に、天耀(ティエンヤオ)と雁回(イエンフイ)は小五(ショウゴ)と小九(ショウキュウ)に連れられて地上へ出る。これが永遠の別れになるかもしれないと悟り、互いに言葉を交わし別行動をとる。天耀(ティエンヤオ)は広寒門(こうかんもん)の巡邏弟子を迎え撃ち、正体を明かして撃退した後、金色の龍の姿で永州(えいしゅう)城の上空に現れ、素影(スーイン)の注意を引く。素影(スーイン)は天耀(ティエンヤオ)を捕らえる絶好の機会だと考え、現場に急行して攻撃を仕掛けるが、天耀(ティエンヤオ)は緻命的な一撃を正面から受け止める。

第10話の感想

第10話は、様々な思惑が交錯し、緊張感が最高潮に達する回でした。特に、雲曦(ウンギ)公主の死によって物語が大きく動き出したことが印象的です。これまで、天耀(ティエンヤオ)や雁回(イエンフイ)たちの目的は護心鱗(ごしんりん)を集めることでしたが、雲曦(ウンギ)公主の死は彼らに大きな衝撃を与え、物語の焦点を復讐へと移行させました。

素影(スーイン)の冷酷さと執念深さが際立つ一方、天耀(ティエンヤオ)の雁回(イエンフイ)への深い愛情と、雁回(イエンフイ)の仲間たちへの責任感がより強く描かれていました。天耀(ティエンヤオ)が雁回(イエンフイ)を守るために自ら危険を冒す姿、そして雁回(イエンフイ)が皆を安全に脱出させるために重圧に耐えながらも龍角陣を破ろうと奮闘する姿は、胸を打つものがありました。

また、鳳千朔(オオトリ・チサト)の複雑な立場も注目すべき点です。彼は民を守るために青丘(チンチウ)国との衝突を避けたいと考えている一方で、弦歌(ゲンカ)への恩義も感じています。彼の葛藤は、玄妖間の対立の根深さを改めて示唆しています。

白曉生(バイ・シャオション)に関しては、依然として謎めいた部分が多く、彼の真意がどこにあるのかは分かりません。天耀(ティエンヤオ)が彼を警戒している様子からも、今後何らかの重要な役割を果たす可能性が示唆されています。

つづく