雁回(イエンフイ)は天耀(ティエンヤオ)と共に赤焰龍牙を取りに行きたいと願うが、二十年前に素影(スーイン)によって雪山の頂上に封印された剣は、人間の雁回(イエンフイ)には耐え難い極寒の地にあるため、天耀(ティエンヤオ)は単身で向かう決意をする。出発前、天耀(ティエンヤオ)は雁回(イエンフイ)の腕に特別な布を巻き付ける。三度叩けば遠距離で会話ができるというこの贈り物に、雁回(イエンフイ)は大喜びで早速試してみる。

天耀(ティエンヤオ)が去った後、雁回(イエンフイ)に付きまとわれ白曉生(バイ・シャオション)は困り果てる。腕を噛まれ腫れ上がってしまった白曉生(バイ・シャオション)は、天耀(ティエンヤオ)との通信を試みる。天耀(ティエンヤオ)の声を聞いた雁回(イエンフイ)はすぐに静かになる。そこに雁回(イエンフイ)の大師兄が突然訪れ、師匠凌霄(リン・シアオ)の命令で辰星山へ戻るよう迫る。しかし、雁回(イエンフイ)は原因不明の病気を抱え、天耀(ティエンヤオ)の体探しにも協力しているため、帰るわけにはいかない。さらに、天耀(ティエンヤオ)への想いが芽生えており、天耀(ティエンヤオ)と白曉生(バイ・シャオション)も雁回(イエンフイ)の出発を望んでいない。大師兄の強引な態度に業を煮やした白曉生(バイ・シャオション)は、彼を気絶させてしまう。怒る雁回(イエンフイ)だが、目を覚ました大師兄はなおも連れ戻そうとするため、仕方なく再び彼を気絶させる。

夜更け、雁回(イエンフイ)は眠れずに天耀(ティエンヤオ)との思い出に浸る。出会ってからの温かい記憶が頭をよぎり、耐えきれなくなった雁回(イエンフイ)は、自ら気を失うことでようやく眠りにつく。この様子を見た白曉生(バイ・シャオション)は、自分にすらこんなことをするのかと驚きを隠せない。こっそり天耀(ティエンヤオ)と通信し、大師兄を排除しようと提案するが、天耀(ティエンヤオ)は即座に拒否する。雁回(イエンフイ)に知られたら一生許してもらえないと、彼女の気持ちを最優先する。

一方、雪山の頂上では、一歩進むごとに過酷な試練が天耀(ティエンヤオ)を襲う。しかし、雁回(イエンフイ)を治すためならどんな苦労も厭わない天耀(ティエンヤオ)は、ついに赤焰龍牙が封印された結界に辿り著く。結界に踏み込むも剣を引き抜くことができず、逆に仮撃を受けて負傷してしまう。天耀(ティエンヤオ)は剣に込められた小妖たちの想いを思い出す。かつて贈り物として注がれた力が、今や枷となっている。彼の誠実な心が曇っているため、剣を引き抜けないのだ。

白曉生(バイ・シャオション)は雁回(イエンフイ)の大師兄を追い払う方法を考え、誤って三人で黒霧の森に迷い込んでしまう。鳳千朔(オオトリ・チサト)に西の森へは入るなと忠告されていたことを思い出す雁回(イエンフイ)。森の中で異変が起こり始める。まず大師兄が茨に引きずり込まれ、次に天耀(ティエンヤオ)からもらった布が消え、幻妖を名乗る幻小煙(ゲン・シャオエン)という少女が現れる。雁回(イエンフイ)は妖に偏見を持たず、幻小煙(ゲン・シャオエン)と打ち解けるが、森の中の墓標に不安を覚える。

白曉生(バイ・シャオション)は森の中で幻覚を見せられ、母親の声が指輪から聞こえ、幼い頃の辛い記憶が蘇る。指輪をはめた白曉生(バイ・シャオション)は、謎の声に促され鬼ごっこを始める。百数えるまでに相手を見つけなければ皆死ぬと言われ、白曉生(バイ・シャオション)は幻覚から抜け出せなくなる。雁回(イエンフイ)と幻小煙(ゲン・シャオエン)もまた幻覚に囚われ、木の攻撃を受ける。逃げ道を捜す雁回(イエンフイ)は、森の黒霧を見て白曉生(バイ・シャオション)を思い出し、彼もここにいるのではと考える。必死に木の幹を叩き壊すと、偶然白曉生(バイ・シャオション)の指輪を落とし、白曉生(バイ・シャオション)は幻覚から解放される。

黒霧が襲い掛かる中、白曉生は黒気を操って応戦するが、長くは持たない。雁回(イエンフイ)は霊力を使おうとするが、使えない。その時、天耀(ティエンヤオ)が舞い戻り、赤焰龍牙で黒霧を打ち払う。雁回(イエンフイ)に渡した布が消えたことに気づき、天耀(ティエンヤオ)の誠実な心が呼び覚まされ、ついに赤焰龍牙を引き抜くことができたのだ。雁回(イエンフイ)は救われ、識海の黒気も消え、天耀(ティエンヤオ)はついに雁回(イエンフイ)の病を治した。

第13話 感想

第13話は、雁回(イエンフイ)と天耀(ティエンヤオ)の絆、そして天耀(ティエンヤオ)の雁回への深い愛情が強く描かれた感動的なエピソードでした。極寒の雪山へ単身で赤焰龍牙を取りに行く天耀(ティエンヤオ)の姿は、彼の強い決意と雁回への愛の深さを物語っています。危険を顧みず、雁回のために全力を尽くす姿はまさにヒーローそのもの。通信できる布を渡すシーンも、彼の優しさが伝わってきて胸が温まりました。

一方、雁回も天耀(ティエンヤオ)への想いを募らせ、眠れない夜を過ごす様子が切なく描かれていました。自ら気を失わせるほど天耀(ティエンヤオ)のことを想っている雁回の姿は、二人の関係がどれほど深まっているかを示しています。大師兄の登場は、二人の関係に新たな試練をもたらしましたが、それでも天耀(ティエンヤオ)への想いを貫く雁回の強さに心を打たれました。

白曉生もまた、重要な役割を果たしていました。コミカルなシーンもありましたが、雁回と天耀(ティエンヤオ)のために奔走する姿は、彼の友情と優しさが垣間見える場面でした。黒霧の森での幻覚シーンは、彼の過去や内面を深く掘り下げる重要なシーンだったと思います。

黒霧の森での展開は、ハラハラドキドキの連続でした。幻覚に囚われる雁回と白曉生、そして謎の少女・幻小煙(ゲン・シャオエン)の登場など、先の読めない展開に目が離せませんでした。絶体絶命のピンチに駆けつける天耀(ティエンヤオ)の姿は、まさに救世主のよう。赤焰龍牙の力によって黒霧を打ち払うシーンは、圧巻の迫力でした。

つづく