凌霏(リン・フェイ)は雲夢(ユンモン)に唆され、自らの霊力で素影(スーイン)を復活させたが、その代償として霊力を使い果たし、識海を破壊された。姉の復活を望んでいたため、凌霏(リン・フェイ)はこの犠牲を当然と受け止めていた。しかし、意識を取り戻し、天耀(ティエンヤオ)に傷つけられた顔を見た途端、雁回(イエンフイ)と天耀(ティエンヤオ)への復讐心に燃え、二人を必ず倒すと誓う。伏陰(フクイン)は凌霏(リン・フェイ)の復讐心を利用し、復讐の手助けをするという名目で黒気を注入し、彼女を操り人形にした。
一方、雁回(イエンフイ)は殞星台(いんせいたい)に閉じ込められていたが、斬天陣(ざんてんじん)に囚われた天耀(ティエンヤオ)の安否を心配していた。子辰(ズチェン)に天耀(ティエンヤオ)の状況を尋ねるも、何も分からず不安は募るばかり。雁回(イエンフイ)は子辰(ズチェン)に解放を懇願するが、殞星台(いんせいたい)を開けることができるのは凌霄(リン・シアオ)か戒律堂(かいりつどう)の長老だけだと説明される。雁回(イエンフイ)を案じる子辰(ズチェン)は師である凌霄(リン・シアオ)に嘆願するが、凌霄(リン・シアオ)は雁回(イエンフイ)の安全のため、彼女の解放を頑なに拒否した。
翌日、素影(スーイン)の監視下で凌霄(リン・シアオ)は再び殞星台(いんせいたい)を訪れ、雁回(イエンフイ)に鞭刑(べんけい)を加える。雁回(イエンフイ)は十年前、魂木(こんぼく)に囚われた際に凌霄(リン・シアオ)に救出され辰星山(しんせいざん)に連れてこられた過去を思い出し、彼に恨みは抱いていなかった。しかし、自分の命を救ったのは天耀(ティエンヤオ)であり、その恩に報いる必要があると主張する。死を覚悟しても天耀(ティエンヤオ)を救いたいという雁回(イエンフイ)の強い意誌にも関わらず、凌霄(リン・シアオ)は容赦なく九回の鞭打ちを加え、翌日も八十一回まで鞭刑を続けると素影(スーイン)に告げた。
斬天陣に落ちた天耀(ティエンヤオ)は、仕掛けに対処しながらも雁回(イエンフイ)の身を案じていた。龍筋(りゅうきん)を見つけ出し力を高め、陣から脱出することを目指す。師姉は見舞いに訪れ、雁回(イエンフイ)の大好物の蒸しパンを渡す。これは雁回(イエンフイ)を餓死させないため、大師兄の努力を無駄にしないためだと言う。天耀(ティエンヤオ)を案じる雁回(イエンフイ)は体力を温存するため蒸しパンの差し入れを受け入れた。師姉は雁回(イエンフイ)に妖族を抜けるよう勧めるが、雁回(イエンフイ)は妖にも善悪があると信じ、その提案を拒否した。
素影(スーイン)は雲夢(ユンモン)から清広(セイコウ)真人が既に伏陰(フクイン)に操られていることを知る。手可摘星辰(てかさぐせいしん)を訪れると、清広(セイコウ)真人の体内の黒気が素影(スーイン)を操ろうとする。素影(スーイン)は黒気と対抗する。駆けつけた凌霄(リン・シアオ)に、清広(セイコウ)真人は黒気に飲み込まれ、手可摘星辰(てかさぐせいしん)は滅亡の危機に瀕していると警告する。素影(スーイン)は護心鱗(ごしんりん)が伏陰(フクイン)に利用されるのを防ぐため、雁回(イエンフイ)をすぐに処刑するよう凌霄(リン・シアオ)に迫るが、凌霄(リン・シアオ)は雁回(イエンフイ)を守りながら伏陰(フクイン)に対処すると宣言し、要求を拒否した。
子辰(ズチェン)は雁回(イエンフイ)を解放しようと殞星台(いんせいたい)に戻る。雁回(イエンフイ)の縄を解こうとするが、霊力が足りず失敗し、逆に怪我を負ってしまう。雁回(イエンフイ)は子辰(ズチェン)に止めるよう言うが、子辰(ズチェン)は諦めずに続けようとする。
その時、戒律堂の長老となった凌霏(リン・フェイ)が現れ、伏魔杖(ふくまじょう)を使って殞星台(いんせいたい)の殺陣(さつじん)を発動させ、雁回(イエンフイ)を殺そうとする。凌霏(リン・フェイ)は過去に二人の大悪の妖だけがこの殺陣で倒されたと言い、雁回(イエンフイ)は光栄に思うべきだと告げる。雁回(イエンフイ)は殺陣に耐えきれず、深手を負う。斬天陣の天耀(ティエンヤオ)は雁回(イエンフイ)の危機を感じ、換命呪を通して残りの魂魄を火龍に変え、雁回(イエンフイ)を殞星台(いんせいたい)から救い出す。二人は黒河のほとりに辿り著く。天耀(ティエンヤオ)は雁回との思い出を語りながら別れを告げ、消えていく。悲しみに暮れる雁回は、駆けつけた凌霄(リン・シアオ)と素影(スーイン)を前に、絶望のあまり黒河に身を投げる。凌霄(リン・シアオ)の冷酷さと素影(スーイン)の無情さに怒り、雁回はこのような形で自らの思いを表現したのだった。
第31話の感想
第31話は、まさに怒涛の展開で、息をするのも忘れてしまうほどの衝撃的なエピソードでした。特に、天耀(ティエンヤオ)の自己犠牲には胸が締め付けられました。雁回を救うため、自らの魂魄を燃やし尽くす姿は、彼の深い愛情と責任感の表れであり、涙なしには見られませんでした。二人の愛の深さが際立つ一方で、残酷な運命に翻弄される彼らの姿は、見ている側も苦しくなるほどです。
凌霄(リン・シアオ)の冷酷さも、物語の悲劇性をさらに際立たせています。雁回への鞭刑や、彼女の危機を救おうとしない態度は、見ていて辛くなるほどでした。彼の行動の真意はまだ分かりませんが、師としての責任感と、雁回への複雑な感情が入り混じっているように感じられます。
そして、伏陰(フクイン)の闇躍も不気味さを増しています。凌霏(リン・フェイ)を利用し、雁回と天耀(ティエンヤオ)を追い詰める姿は、まさに黒幕の風格。今後の展開で、彼がどのような行動に出るのか、目が離せません。
つづく