凌霄(リン・シアオ)は辰星山に戻り、すぐに天耀(ティエンヤオ)から受け取った龍火を封印に加え、伏陰(フクイン)の脱出をより困難にした。龍火は伏陰(フクイン)の識海に現れ、彼はその由来を察した。傍らの白曉生(バイ・シャオション)は嘲笑うも、すぐに伏陰(フクイン)に仮撃され、苦痛を味わわされた上に傀儡術で操られ、識海を脱出されてしまう。白曉生(バイ・シャオション)は抵抗するも、無駄だった。
素娥(ソガ)の七回忌の後、素影(スーイン)は葬儀の準備をしていた。そこに白曉生(バイ・シャオション)が現れ、素影(スーイン)を天耀(ティエンヤオ)や雁回(イエンフイ)達に敵対させようと唆すが、素影(スーイン)は伏陰(フクイン)の道具となることを拒否し、白曉生(バイ・シャオション)に剣を向ける。白曉生(バイ・シャオション)は辛うじて避けるが、素影(スーイン)が乗ってこないのを見て、青丘(チンチウ)にいる陸慕生(リク・ムーシェン)の情報を黒気で流し、彼女の弱みに付け込む。罠だと知りつつも、素影(スーイン)は陸慕生(リク・ムーシェン)を救うために行動を開始する。
雲曦(ウンギ)の命日、陸慕生(リク・ムーシェン)は墓前で掃除をしていた。燭離(ショクリ)と幻小煙(ゲン・シャオエン)がお供えを持って訪れ、続いて塵意(ジンイ)も到著する。塵意(ジンイ)は陸慕生(リク・ムーシェン)の雲曦(ウンギ)への深い愛情に心を打たれる。陸慕生(リク・ムーシェン)は現状に満足していた。それは雲曦(ウンギ)の生前の望み、花と草に囲まれた場所で暮らすことだったからだ。彼の唯一の願いは、死後、雲曦(ウンギ)と一緒に葬られることだった。塵意(ジンイ)が返答する前に、素影(スーイン)が突然現れる。塵意(ジンイ)は抵抗するが、識海が既に破裂しているため、霊力を失う危険があった。それでも、彼は他の人々を守るために全力を尽くし、素影(スーイン)と相討ちになる。しかし、識海の傷が深く、素影(スーイン)に敵わず、最後は元神が砕け散り、消滅してしまう。
燭離(ショクリ)達は逃げるも、すぐに素影(スーイン)に追いつかれる。幻小煙(ゲン・シャオエン)が幻族だと気づいた素影(スーイン)は、彼女が役に立つと考え、陸慕生(リク・ムーシェン)と共に広寒門(こうかんもん)へ連れ帰り、燭離(ショクリ)を解放する。天耀(ティエンヤオ)と雁回(イエンフイ)は塵意(ジンイ)の死と幻小煙(ゲン・シャオエン)の失踪を知り、素影(スーイン)への復讐を決意する。広寒門(こうかんもん)では、素影(スーイン)は特殊な方法で幻小煙(ゲン・シャオエン)に陸慕生(リク・ムーシェン)の記憶を保存させ、丹珠に煉成し、陸慕生(リク・ムーシェン)の死後、肉体を再構築し、永遠に自分の傍に置こうと企んでいた。
目覚めた燭離(ショクリ)は単身で広寒門(こうかんもん)へ向かうが、途中で天耀(ティエンヤオ)と雁回(イエンフイ)に会い、説得され、まずは幻小煙(ゲン・シャオエン)の救出を優先することにする。二人は広寒門(こうかんもん)の前で騒ぎを起こし、弟子たちの注意を惹きつけるが、素影は姿を現さない。記憶の丹珠の煉成を終えた後、ようやく素影が現れ、両者は対峙する。天耀(ティエンヤオ)は素影が使っている陣が20年前に自分を封印したものだと気づき、過去の記憶が蘇り、復讐を決意する。
燭離(ショクリ)は素影が離れた隙に幻小煙(ゲン・シャオエン)を救出し、陸慕生(リク・ムーシェン)も意識を取り戻す。燭離(ショクリ)は陸慕生(リク・ムーシェン)に一緒に逃げるように言うが、陸慕生(リク・ムーシェン)は剣を手に取り、毅然と前へ進む。天耀(ティエンヤオ)は龍心の位置が素影の足元にあることを感知し、雁回(イエンフイ)が素影の注意を引きつけ、天耀(ティエンヤオ)が赤焰龍牙で攻撃して龍心を取り戻す作戦に出る。しかし、天耀(ティエンヤオ)の体は完全には回復しておらず、二人で戦っても素影には敵わない。その時、陸慕生(リク・ムーシェン)が現れ、隙を突いて素影の心臓を刺し、天耀(ティエンヤオ)と雁回(イエンフイ)を救う。
素影は陸慕生にここまで憎まれているとは思っていなかった。全ては彼を生かすためだったのに、彼は自分を殺そうとしたのだ。陸慕生は素影が落とした記憶の霊珠を握り潰し、天耀(ティエンヤオ)に龍火で自分を燃やすよう頼む。素影に再び蘇生されるのを防ぐためだ。陸慕生は記憶が戻っていること、そして愛しているのは雲曦(ウンギ)だけだと素影に告げる。それを見た素影は、諦めて龍心を天耀(ティエンヤオ)に渡す。龍心が戻ると、天耀(ティエンヤオ)の全身が燃え上がり、雁回(イエンフイ)に早く逃げるように言う。雁回(イエンフイ)は黒い煙となって消える。天耀(ティエンヤオ)は倒れ、素影も無念を抱きながら息絶える。
天耀(ティエンヤオ)は青丘(チンチウ)で目を覚まし、全ての記憶を取り戻すが、雁回(イエンフイ)の行方は分からない。今は一刻も早く雁回(イエンフイ)を見つけることが最優先だった。
第37話の感想
怒涛の展開で、息つく暇もないほど濃い内容でした。特に塵意(ジンイ)の最期は涙なしには見られません。愛する雲曦(ウンギ)のために生きてきた彼が、その想いを胸に、他の人々を守るために命を落とす姿は、まさに尊厳という言葉が相応しいでしょう。識海が破裂しているにも関わらず、それでもなお立ち向かう彼の勇気と自己犠牲の精神には、深く心を打たれました。
また、素影の複雑な心情も印象的でした。歪んだ愛情表現ではありますが、彼女が陸慕生を想う気持ちは本物だったのでしょう。全ては彼を生かすため、彼と共にいるためだったのに、その想いが陸慕生には全く届かず、逆に憎しみへと変わってしまったのは、なんとも悲しい結末です。彼女が最後に龍心を天耀(ティエンヤオ)に渡したシーンは、諦めと後悔が入り混じった、複雑な感情が伝わってきました。
つづく