雁回(イエンフイ)は天耀(ティエンヤオ)の龍火に触れ、黒気の自己防衛機能によって姿を消し、見知らぬ場所に飛ばされてしまう。そこは伏陰(フクイン)の識海で、共有する黒気を通して、雁回(イエンフイ)は伏陰(フクイン)の過去を知ることに。

幼い頃、伏陰(フクイン)は溺れかけたところを雪凛(セツリン)に助けられ、一目惚れする。しかし、それは強い独占欲を伴う歪んだ愛情で、雪凛(セツリン)が拾った小犬にさえ嫉妬した。その後、雪凛(セツリン)は塵意(ジンイ)と出会い、最初は冷淡だったものの、次第に心を通わせ、結ばれる。この二人の愛が伏陰(フクイン)の心をさらに歪ませ、塵意(ジンイ)への攻撃へと駆り立てる。塵意(ジンイ)を守るため雪凛(セツリン)は傷つき、黒気の脅威と伏陰(フクイン)が青丘(チンチウ)に及ぼす危険を予見し、『幽冥賦』を記す。

ある時、伏陰(フクイン)は龍穀で天耀(ティエンヤオ)を見つけ、その力を奪おうとするが、返り討ちに遭い、赤焰龍牙で傷を負う。天耀(ティエンヤオ)こそ最大の脅威だと悟った伏陰は、影妖龍・龍曉生の力に目をつけ、その母を騙し討ちで生贄に捧げ、龍曉生の体を利用して龍火を防ぐ外套を作る。

雪凛(セツリン)と塵意(ジンイ)は辰星山の長老・清広(セイコウ)真人と共に伏陰を討つ。伏陰は雪凛(セツリン)が心変わりしたと勘違いし、三人から攻撃を受け、憎悪を深める。激しい戦いの末、伏陰は清広(セイコウ)真人に封印される。清広(セイコウ)真人は辰星山に戻り、永久封印を試みるも、伏陰に体を乗っ取られてしまう。

伏陰は清広(セイコウ)真人に成りすまし、陸慕生(リク・ムーシェン)を傷つけ、素影(スーイン)の愛情を利用して龍鱗の鎧を作らせ、天耀(ティエンヤオ)闇殺を企てる。偽りの結婚式で素影(スーイン)は天耀(ティエンヤオ)を襲い、伏陰は彼女に天耀(ティエンヤオ)の鱗を剝がし龍丹を取らせようとする。再び龍火に焼かれた伏陰は、清広(セイコウ)真人の意識が戻ったことで再び封印される。

全てを知った雁回(イエンフイ)は伏陰に立ち向かう。伏陰は雁回(イエンフイ)を操ろうとするが、彼女は屈しない。天耀(ティエンヤオ)は雁回(イエンフイ)が伏陰の識海に囚われたと察し、龍曉生、つまり白曉生(バイ・シャオション)に助けを求める。伏陰に操られていた白曉生(バイ・シャオション)は天耀(ティエンヤオ)を攻撃するが、傀儡術を解かれ正気に戻る。天耀(ティエンヤオ)、雁回(イエンフイ)、白曉生(バイ・シャオション)は力を合わせ、伏陰の真身を滅ぼす。

青丘(チンチウ)に戻った天耀(ティエンヤオ)と雁回(イエンフイ)は塵意(ジンイ)を弔い、かつて雁回(イエンフイ)が住んでいた場所へ。天耀(ティエンヤオ)は孵化したばかりの頃、裸で雁回(イエンフイ)に龍火を噴射した記憶を思い出し、赤面する。雁回(イエンフイ)に何か思い出したのかと聞かれ、天耀(ティエンヤオ)は慌てて首を横に振る。

第38話の感想

第38話は、伏陰の過去と陰謀が明らかになり、物語の核心に迫る重要なエピソードでした。雁回(イエンフイ)が伏陰の識海に迷い込み、彼の記憶を通して、歪んだ愛情、嫉妬、そして復讐心が複雑に絡み合った人生を垣間見る展開は、非常に引き込まれるものがありました。特に、雪凛と塵意(ジンイ)の悲恋は、伏陰の狂気を生み出すきっかけとなり、物語全体の悲劇性を際立たせています。

伏陰の巧妙な策略と、それに翻弄される登場人物たちの姿は、見ていて辛くもありましたが、同時に彼の抱える苦悩も感じ取ることができました。龍火への執著、そして天耀(ティエンヤオ)への異常なまでの敵対心は、彼の歪んだ愛情の裏返しとも言えるでしょう。

最終決戦は、天耀(ティエンヤオ)、雁回(イエンフイ)、白曉生(バイ・シャオション)の共闘が見どころでした。伏陰の真身を滅ぼすシーンは、これまでの伏線が回収され、カタルシスを感じることができました。特に、白曉生(バイ・シャオション)が傀儡術から解放され、天耀(ティエンヤオ)に協力する場面は、彼の葛藤と成長を感じさせ、感動的でした。

つづく