あらすじ
第十一話では、南后が魏美人の誕生日を機に、楚懐王の前で魏美人を陥れました。楚懐王は誤解に基づき、魏美人の鼻を削ぐよう命じます。屈原は楚懐王に対し、魏美人への刑罰が楚と魏の関係に及ぼす影響について考え直すよう進言しますが、聞き入れられません。
一方、羋月は重い病により月華台に幽閉されていましたが、黄歇と羋姝が協力して彼女を救出します。黄歇、羋茵、そして女医の懸命な看病のおかげで、羋月は徐々に健康を取り戻していきます。この間、羋姝は自らの決意を示すため、毒入りの水を飲むほどでした。
二ヶ月後、秦王は羋姝を娶るため再び楚を訪れます。張儀は巧みな策略を用いて楚と魏の関係を悪化させ、さらに趙にも楚との婚姻計画を諦めさせます。こうして、秦王が羋姝を娶る可能性はますます高まっていきました。
ネタバレ
魏美人の誕生日、南后は盛大な祝宴を開き、高価な贈り物を贈りました。そして、楚懐王が来る前に、宮中の薄闇さを理由に、魏美人に九尾の狐の灯りをつけるよう勧めます。魏美人はその言葉通りに灯りを準備しに行きました。
魏美人が灯りを取りに戻っている間に、楚懐王が到著。南后はわざと不機嫌そうに、九尾の狐の灯りは魏美人が自分から無理やり奪い取ったものだと告げ口します。さらに、魏美人が灯りをつけたのは異臭を消すためであり、楚懐王への不敬だと唆します。楚懐王は、最近魏美人と親しくしている際に、彼女が確かに奇妙な様子で鼻を覆う仕草をしていたことを思い出し、怒りを感じます。
祝宴の席で、何も知らない魏美人は扇子や花などで鼻を覆い続け、楚懐王の怒りは爆発。魏美人の鼻を削ぎ落とすよう命じます。
朝議で、屈原は魏美人が劓刑に処されたことを取り上げ、この行為は楚と魏の関係を損なうとして、楚懐王に大局を重んじ、魏の使者に納得のいく説明をするよう求めます。しかし楚懐王は屈原の進言に耳を貸さず、激しく叱責します。
葵姑は羋月が月華台に閉じ込められ、病に伏していることを知り、黄歇と羋姝に知らせます。黄歇は知らせを聞くとすぐに一人で月華台へ向かい、羋姝も威后に謁見し、自分の婚姻を盾に羋月の救助を懇願します。威后は怒りながらも、はっきりとした返事をしません。そこに羋茵が油を注ぎ、羋姝は羋茵を厳しく叱りつけます。
黄歇は剣を持って月華台に押し入り、寝台の羋月が瀕死の状態であるのを目にします。羋月を助け出そうとしたその時、衛兵が止めに入ります。多勢に無勢、黄歇は衛兵との戦いで傷を負います。そこへ羋姝が駆けつけ、衛兵を退かせます。
短い会話の後、羋姝は羋月が毒を盛られたことを知ります。羋姝は侍女に女医を呼ぶよう命じますが、侍女は動きません。焦った羋姝は毒入りの水を自ら飲み、侍女は恐れおののき、すぐに威后に報告します。事態の深刻さを悟った威后は、直ちに女医の摯を月華台に派遣し、治療にあたらせます。さらに、羋姝は羋月の看病をするため、羋月と同じ食事をし、同じ部屋で寝泊まりすることにします。黄歇と羋茵の献身的な介護のおかげで、羋月は徐々に回復し、黄歇と生涯を共にする誓いを立てます。
それから二ヶ月、秦王が再び楚の郢都に戻り、羋姝との婚姻を改めて申し入れます。秦王は張儀が計略を用いて楚と魏の関係を悪化させたことを知り、張儀が以前課した試練を達成したとみなし、高く評価します。
趙も楚に縁談を申し込むため使者を郢都に送り、その使者は偶然にも秦王と同じ宿に滞在していました。張儀は趙の使者に羋姝と秦王が親密にしているところを見せつけ、趙を諦めさせようと企みます。同時に秦王にも、早く行動を起こすべきだと進言します。
第11話の感想
第11話は、陰謀と愛情、そして権力争いが複雑に絡み合い、息詰まる展開が続くエピソードでした。南后の狡猾な策略によって、無実の魏美人が劓刑に処される場面は、見ていて胸が締め付けられるほど残酷でした。南后の冷酷さと、権力争いの恐ろしさを改めて感じさせられます。
一方、羋月を救うために奔走する黄歇と羋姝の姿には心打たれました。特に、羋姝が毒入りの水を自ら飲むシーンは、彼女の羋月への深い愛情と強い決意が伝わってきて、感動的でした。侍女でさえ動かなかった状況で、自ら命を懸けて行動する彼女の勇気は賞賛に値します。
つづく