あらすじ
第十六話は、旅の疲れから体調を崩した羋姝を中心に展開します。侍医の摯が治療にあたりますが、処方箋に書かれた楚の文字が秦の医師には理解できず、薬の調達が難航します。最終的には蒙驁の助けもあり、庸芮の説明によって解決に至ります。
羋月は、病に伏せる羋姝を献身的に看病し、姉妹の深い情愛を示します。一方で、羋月は謎の手紙を受け取り、密かに黄歇と会って脱出計画を練ります。
そんな中、羋姝の病状は悪化の一途を辿り、侍女の玳瑁は誰かが故意に羋姝を害していると疑い始めます。その後、羋月は、厨房の女官が麻黄という毒薬の入った証拠を燃やそうとしているところを目撃します。状況を分析した結果、黒幕は秦の後宮の魏琰夫人である可能性が高いと考えます。
ネタバレ
羋姝は旅の疲れから武関に著いた途端、高熱を出して倒れてしまう。侍医は鍼治療を施し、薬を処方するが、秦の薬屋は楚の文字が読めないため、侍女の珍珠は薬を手に入れられない。そこで羋月は蒙驁に助けを求める。蒙驁は表向きは渋るものの、こっそり庸氏の薬屋を教える。
庸氏の薬屋では、楚の文字は読めるものの、処方量に疑問を抱き、薬を出してくれない。そこに薬屋の主である庸芮が現れ、楚と秦の度量衡の違いを指摘し、羋月に薬を渡す。
薬を持ち帰った羋月は、弱った羋姝に涙ながらに心配されていた。異国で心細い二人は、互いを思いやる。
羋月の元へ、葵姑が奇妙な手紙を届ける。「交交黄鳥 止于棘」と書かれた手紙を見て、羋月は密会の約束だと気づき、夜、指定の場所である大きな棗の木の下へ向かう。そこで待っていたのは、なんと黄歇だった。再会を喜び、互いの気持ちを確かめ合った二人は、三日後に再び会う約束をし、駆け落ちすることを決める。
深夜、羋姝のために粥を温めていた珍珠は、うとうとしてしまう。すると、ある女官が火の番を変わると申し出て、珍珠は休憩に向かう。珍珠が去ると、女官は赤い粉末を粥に混ぜる。
羋姝の病状は悪化する一方。蒙驁は出発を急かすも、羋月はそれを宥める。玳瑁は羋姝の容態を心配し、誰かが毒を盛ったのではないかと疑い始める。羋月と侍医も食事の様子を思い返すものの、不審な点には気づかない。
再び黄歇と会った羋月は、羋姝の病状を伝え、咸陽に著くまで一緒に逃げられないと告げる。黄歇はそれを受け入れ、羋月は自分の髪を香囊に入れて黄歇に贈る。
宿に戻った羋月は、ある女官が何かを燃やしているのを目撃する。怪しんで声をかけると、女官は逃走。小冉が追いかけるも捕まえられず、葵姑は女官に噛み付いたと話す。
燃やされていたのは麻黄で、大量に摂取すると死に至るものだった。麻黄を包んでいた布は、一般人が持つようなものではなく、玳瑁は出発前に威后から聞かされた話を思い出し、秦の後宮の魏琰の仕業だと確信する。
第16話の感想
第16話は、羋月と黄歇の再会という喜びと、羋姝を狙う陰謀という不安が入り混じる、緊張感あふれる展開でした。久々の再会に喜びを爆発させる羋月と黄歇の姿は、見ているこちらも胸が熱くなりました。しかし、その裏で羋姝の病状が悪化していく様子は、幸せな二人とは対照的で、今後の展開に不安を抱かせます。
特に印象的だったのは、羋月が黄歇との駆け落ちを決意しながらも、病に伏せる羋姝を置いていくことのできない葛藤です。愛する人と新しい人生を始める喜びと、妹を見捨てられない責任感の間で揺れ動く羋月の心情は、非常に複雑で、彼女の優しさと苦悩が伝わってきました。羋姝もまた、異国で頼れるのは羋月だけという状況で、二人の絆の深さが改めて感じられました。
つづく