あらすじ
第十七話は、秦国へ向かう送親の行列が狄戎の襲撃を受ける物語です。蒙驁は羋姝公主の安全を守るため、陽動作戦を用いることを決断し、羋月に公主の披風を着せて敵の注意を惹きつけます。この作戦は敵の目を欺くことには成功しますが、羋月は狄戎の首領・翟驪に秦国王后と誤解され、追われる身となってしまいます。逃亡の最中、黄歇は羋月を守るため狄戎と戦い、崖から落ちてしまいます。捕らえられた羋月は、狄戎の陣営で脱出を試みますが失敗に終わります。その中で、羋月は狄戎が干ばつに見舞われたためにこのような手段に出たことを知ります。一方、事態を知った秦王は張儀らを義渠国へ派遣し、羋月の身代金交渉を行います。翟驪は羋月に好意を抱き、解放すべきか否か迷っていました。最後に、羋月は外で狼と共に育った子供の話しを耳にし、興味を抱きます。
ネタバレ
送親の道中、狄戎の襲撃を受け、蒙驁将軍率いる秦軍は必死に守りながらも大きな被害を受けました。馬車の中は危険と判断した玳瑁は、一旦下車することを提案します。蒙驁は玳瑁に、現状を打開するには一人を犠牲にして狄戎の注意を惹き、陽動作戦を行うしか羋姝公主の安全を確保する術はないと告げます。
それを聞いた羋月は、自ら進んで羋姝の著物を羽織り、敵を引き付ける決意をします。羋姝は止めようとしますが、羋月は秦兵と共に馬車に乗り込みます。
華麗な衣装を纏った羋月が逃走する様を見た翟驪は、彼女を秦国王后と思い込み、捕らえるよう命じ、自ら馬を駆って追跡を開始します。馬車の上の羋月は、鞭で翟驪を打ちつけますが、怒った翟驪は御者を刺し殺し、羋月は馬車から投げ出されます。まさに危機一髪というその時、遠くから黄歇が馬に乗って駆けつけます。
黄歇は羋月を守るため、狄戎に立ち向かいますが、多勢に無勢、敵の武力にも劣り、すぐに敗れてしまいます。狄戎は追撃の手を緩めず、黄歇は崖から転落、羋月は狄戎に捕らえられてしまいます。
夜になり、気を失っていた羋月は狄戎の陣営の天幕の中で目を覚まします。こっそりと外に抜け出し、刀で敵を襲おうとしますが、翟驪が現れ捕らえられてしまいます。黄歇が死んだと思い、仇を討つこともできず、捕虜となった羋月は、絶望の淵に立たされ自害しようとします。しかし、崖の下は湖だと聞かされ、黄歇の生存の可能性を知り、気持ちを落ち著かせます。
翌朝、羋月は隙を見て黒馬に乗り込み、逃げようと試みます。翟驪はそれを見ますが、追いかけるよう命じることはせず、口笛を吹くと、黒馬は戻ってきてしまいます。どんなに促しても馬は動かず、羋月の脱出計画は失敗に終わります。
翟驪は、羋月の真っすぐで男勝りな性格に惹かれ、好意を抱き始めます。会話の中で、羋月は翟驪率いる狄戎が義渠の人々であり、幹ばつによる飢饉のため、秦国王后を捕らえて金品と交換しようとしていることを知ります。
蒙驁に守られた羋姝は無事に秦王のもとへ辿り著き、すぐに羋月の捜索を命じるよう願い出ます。秦王はこれに応じ、張儀に庸芮と公子嬴華を伴って義渠との交渉に向かわせるよう指示します。
義渠に到著した張儀一行は、義渠の窮状を見抜き、多量の宝玉と引き換えに羋月を返還するよう申し出ます。翟驪は羋月を手放したくない気持ちと葛藤しますが、老巫に説得され、決断を迷います。
天幕に閉じ込められていた羋月は、外で羊泥棒を捕らえたという騒ぎを耳にします。その泥棒は狼に育てられた子供だというのです。羋月は興味を惹かれ、外の様子を見に行こうとします。
第17話の感想
第17話は、羋月の人生における大きな転換点となるエピソードでした。送親の途中、狄戎の襲撃という予期せぬ出来事が、羋月と羋姝、そして黄歇の運命を大きく揺るがします。平和な王宮から一転、蛮族の地に連れ去られる羋月の境遇は、彼女の今後の波乱万丈な人生を予感させます。
特に印象的なのは、羋月の勇敢さと機転です。妹を守るため自ら囮となり、敵に囲まれても決して諦めない強い意誌は、彼女の芯の強さを改めて示しています。また、翟驪に捕らえられた後も、脱出を試みるなど、逆境の中でも希望を失わない姿は、視聴者に勇気を与えます。
一方、黄歇の羋月への深い愛情も胸を打つものがありました。命を懸けて羋月を守ろうとする姿は、二人の絆の強さを物語っています。崖から転落するシーンは、生死の境を彷徨う黄歇の運命を案じさせ、今後の展開に不安を抱かせます。
つづく