あらすじ
第二十一話では、羋月は大監の助けを借りて難を逃れ、義渠王の符節に「魏」の字が刻まれていたことを思い出し、秦王にこの事実を告げようとする。しかし、秦王は彼女の記憶が混乱していると考え、取り合わずに追い返してしまう。さらに、秦王は大監に羋月の行動を監視するように命じる。
一方、公孫衍は張儀を買収することで嬴華を太子に立てることを支持させようと画策する。羋月は自ら張儀を訪ね、持ち前の知恵で太子擁立への反対を説得する。
そして、朝議において張儀は秦王に太子擁立を当面見送るよう進言し、見事成功させる。これにより、羋姝の信頼を得る。魏琰は嬴華を太子に立てることは叶わなかったものの、張儀の能力に感銘を受け、彼を味方に引き入れようと考える。嬴華は魏琰に対し、太子位への思いを語り、名利に囚われない一面を見せる。
張儀と羋月の会話からは、今の時代は自らの手で掴み取らなければならない時代だという、二人の時勢に対する認識が垣間見える。
ネタバレ
羋月は宦官の助けで難を逃れた後、羋姝に、義渠王が持っていた符節の文字が「魏」だったことを思い出したと語り、秦王に告発したいと打ち明けた。
謁見した羋月は秦王に符節のことを話すが、秦王は羋月の記憶違いだと取り合い、事を荒立てたくなかった。羋月が食い下がると、秦王は怒って彼女を追い返してしまう。更に、羋月の軽率な行動を懸念し、宦官に監視を命じた。納得できない羋月は、このことを羋姝に相談する。羋姝は、これからは慎重に行動するよう羋月に忠告した。
公孫衍は張儀を口先だけの男と軽蔑しており、彼の金銭欲を利用しようと考えた。魏琰に多額の金で張儀を買収し、嬴華を太子に推挙させるよう仕向ける。魏琰は指示通りに実行した。
羋姝は魏琰が張儀を買収したことを聞き、羋月に対策を相談する。羋姝は同じように金で買収することを提案するが、羋月は金だけでは不十分だと考え、自ら張儀に会うことを申し出る。
羋月は木樨の花と茱萸の実を贈り物に、張儀を訪ねた。会話の中で、張儀は以前羋月が符節の件で魏琰を告発したことに触れ、軽率な行動を慎み、流れに身を任せ、形勢に応じて行動するよう諭した。羋月は話題を最近の太子擁立の噂に移し、魏琰が張儀を買収しようとしていることを知っていると言い、間違った相手を助けないよう忠告した。張儀は羋月の意図を理解し、嬴華の太子擁立を阻止するための報酬として五千金を要求する。羋月は熟慮の末、それを承諾した。
朝廷では、公孫衍とその一派が秦王に嬴華を太子に立てるよう進言し、忠臣たちも賛同したが、張儀だけが仮対した。秦王が理由を尋ねると、張儀は第一に今は人材登用の時期であり、太子を早く立てると他の公子たちの士気が下がると述べた。第二に、秦王后はまだ子を生んでいないため、嫡子が生まれてから太子を議論する方が適切だと主張した。司馬錯と樗裏疾は張儀の意見に賛同し、秦王も熟考の末、太子擁立を延期することに決めた。
太子擁立が延期されたことを知った羋姝は大喜びし、羋月を褒めたたえた。魏琰は予想外の結果に驚いたものの、怒る様子はなく、張儀の実力を見抜き、彼を配下に加えたいと考えた。
嬴華は魏琰に謁見を求め、魏琰は嬴華の不遇を嘆くが、嬴華は太子位にはこだわっていないと答えた。羋月は張儀に直接礼を述べに行き、二人は膝を交えて語り合った。張儀は羋月に今の世は争乱の世であり、争わなければ滅びると語り、羋月は張儀が贈り物を通して事態を有利に進めていると指摘した。
第21話の感想
第21話は、羋月の機転と知略が光るエピソードでした。特に、張儀との駆け引きは見応えがありました。彼女は、ただ正義感で行動するだけでなく、状況を冷静に分析し、最善の手を打つことができる、非常に賢い女性であることが分かります。
符節の件で秦王に訴え出たものの、聞き入れてもらえず、逆に疑念を抱かれてしまう場面は、羋月の無念さが伝わってきました。しかし、彼女はそこで諦めることなく、羋姝に相談し、新たな策を練ります。
つづく