あらすじ
第二十五話では、秦王が北郊の離宮で嬴夫人と会見し、庸芮が多額の資金を義渠に支払って取り戻した銅の符節と、魏王と公孫衍がやり取りした密書の内容を知ることとなります。これにより、公孫衍の野心が明らかになります。
一方、永巷令は小冉を窃盗の罪で捕らえ、宮刑に処そうと脅迫していました。小冉を救うため、羋月は魏琰に助けを求めます。魏琰は、羋月が魏丑夫に嫁ぎ秦宮を去ることを誓約する手紙を書くことを交換条件として提示します。
羋月はあらゆる手を尽くします。羋姝にも助けを求めますが、叶いませんでした。嬴華の介入もあり、最終的にこの一件は秦王の耳に入ります。秦王は自ら小冉の釈放を命じ、罰として指一本を落とすにとどめました。
また、斉国に滞在する黄歇は、『詩経』の一節を耳にし、自らの身分と過去を思い出します。
ネタバレ
秦王は北郊行宮で嬴夫人に会い、庸芮が義渠から多額の金で「魏」の字が刻まれた銅符節と魏王と公孫衍の密書の情報を手に入れたことを聞かされる。これにより秦王は、魏王が公孫衍を配下に加えようとしていること、そして公孫衍が二心を抱いていることを知る。
永巷令は小冉を窃盗の罪で捕らえ、宮刑に処そうとする。羋月は魏琰が黒幕だと知り、小冉を助けてくれるよう頼む。魏琰は羋月が翌朝までに魏冉に嫁ぎ、秦宮を去るという内容の手紙を書くならば小冉を許すと条件を出す。羋月は悩む。
羋月は羋姝に助けを求めようとするが、玳瑁に羋姝が昼寝中だと言われて追い返される。事情を説明し、必死に頼み込む羋月だったが、玳瑁は聞き入れず、羋月は落胆して帰る。
失意の羋月を見た嬴華は、母后の魏琰に小冉を許すよう頼み込む。しかし魏琰は聞き入れず、むしろ嬴華の頼みによって羋月を媚びを売る女だと激怒する。
孟嬴は小冉が捕らえられたことを知り、羋月に通行証を渡し、北郊行宮にいる秦王に助けを求めるよう促す。迷った末、羋月は孟嬴の言葉に従う。ちょうどその時、秦王は庸芮、嬴夫人と公孫衍の裏切りについて話し合っていた。穆監は衛良人からの伝言で小冉の件を知り、秦王に伝える。羋月は秦王に謁見を求めるが、秦王は無視する。仕方なく羋月は穆監に侍寝の手配を頼む。
羋月が小冉を助けるために侍寝を申し出たことを知った秦王は激怒し、自分が利用されることを何よりも嫌うと羋月に告げる。羋月は他に方法がなかったと訴えるが、秦王は何も言わず、羋月を立ち去らせる。
翌日、羋月は魏琰の要求する手紙を書き、魏琰に会う。手紙を渡そうとしたその時、穆監が永巷令から小冉を連れ出したことを知る。急いで駆けつけると、秦王の命令で小冉は宮刑を免れ、代わりに指一本を切断されるという罰に減刑されていた。羋月と葵姑は、小冉が命を失わずに済んだことに安堵し、涙を流す。
魏琰は穆監を呼び出し、後宮のことに幹渉したことを叱責する。しかし穆監は秦王の命令でやったことだと告げ、魏琰はそれ以上何も言えなくなる。
黄歇は養蜂家と共に斉国に到著する。街中で子供が吟じる詩経の一節「交交黄鳥 止于棘」を聞き、ふと自分の身分と過去の記憶を取り戻す。
第25話の感想
第25話は、羋月が窮地に立たされながらも知恵と勇気で困難を乗り越える姿が印象的なエピソードでした。特に、小冉を救うために侍寝という手段を選んだ彼女の決断には、胸を締め付けられるものがありました。愛する者を救うためとはいえ、自らの身を犠牲にする覚悟は並大抵のものではありません。秦王の怒りも当然のことでしょう。しかし、羋月の必死の訴えは、彼女の真意を理解させ、最終的には小冉の命を救う結果へと繋がりました。
このエピソードでは、様々な人間模様が描かれています。魏琰の冷酷さ、羋姝への失望、嬴華の優しさ、孟嬴の機転、そして秦王の複雑な心情。それぞれのキャラクターの思惑が交錯し、物語に深みを与えています。特に、秦王と羋月の関係性の変化は注目すべき点です。侍寝という行為を通して、二人の間に新たな感情が芽生え始めたようにも感じられます。
つづく