あらすじ
第二十九話は、秦王が竹籤を用いて大臣の席次を決めるというやり方に、羋姝が不満を抱く様子を描いています。彼女はこれを国事に対する軽率な行為だと考えました。
一方、羋月は燕王からの求婚に心を痛める孟嬴を慰め、嬴夫人に相談するよう促します。嬴夫人は孟嬴に、公主としての責任の重さを説き、私情を捨てねばならないと諭します。孟嬴はついに現実を受け入れ、結婚に同意しました。
また、黄歇は困っている女性を助けたことで庸芮の目に留まります。しかし、黄歇は庸芮の申し出を断り、秦国へ来たのはある人物を探しているためだと明かします。
最後に、孟嬴が燕国へ嫁ぐことになり、秦王と嬴夫人は名残惜しみます。そして、秦王は今夜羋月を侍寝に呼ぶことを告げ、彼女への信頼と寵愛を示しました。
ネタバレ
秦王は羋姝を訪ね、張儀の提案で大臣の席順を籤で決めるという話を持ち出した。国事を賭け事にするなど言語道断だと羋姝は仮発するが、秦王は羋月なら面白がるだろうと言い、二人の性格の違いを改めて指摘する。羋姝は寂しさを覚えた。
一方、燕国への輿入れが決まり、苦悩する孟嬴を羋月が見舞う。羋月は嬴夫人に相談するよう助言し、孟嬴は言われた通りに嬴夫人を訪ねる。嬴夫人は孟嬴を人気のない場所に連れて行き、思う存分泣かせて慰めた後、王に嘆願しても無駄だと諭す。王は冷酷無情に見える決断も下さねばならず、それは王の責務であり、同時に王の苦悩でもあるのだと。孟嬴はなおも縋るが、嬴夫人は王女として私情で判断してはならない、もはや後戻りはできないと告げる。
羋月は嬴夫人の対応に疑問を抱き、問いただすと、嬴夫人は天下と真情は両立しないと答える。羋月は嬴夫人の悟りに感心するが、嬴夫人は羋月には決して چنین 悟りを開いてほしくないと言う。
その後、孟嬴は秦王に拝謁し、覚悟を決めて王女の務めを果たすと宣言する。秦王は喜び、自身の初陣での葛藤を語り、国のために自分を犠牲にするよう諭す。全てを受け入れた孟嬴は羋月に別れを告げ、宮廷を出入りできる令牌を贈る。
都を散策していた黄歇は、鶏を買う女性と売り手の言い争いを目にする。空腹を満たすため、知恵を働かせて仲裁に入り、米糕を手に入れる。その様子を庸芮が目撃し、彼の才覚を気に入って屋敷に招き入れる。黄歇は人を探すために秦に来たと言い、黄欠と名乗って申し出を断ろうとする。
黄歇は庸芮に羋月が羋姝に同行して秦に来たかと尋ねる。秦宮にいると聞き驚き、信じられない様子を見せる。
孟嬴が燕国へ出発する日、秦王、嬴夫人、羋月が見送る。孟嬴の悲しげな表情に心を痛めた秦王は、北郊の離宮で嬴夫人に胸の内を明かす。嬴夫人は秦王を慰め、冷静さを取り戻させる。
羋月は葵姑と魏冉が司馬錯に従軍していることについて語り、魏冉を褒め称える。そこに秦穆が現れ、今夜、秦王が羋月を侍寝に召し出すと伝える。
第29話の感想
第29話は、それぞれのキャラクターが大きな決断を迫られる、非常に重いエピソードでした。特に孟嬴の苦悩と覚悟は胸を締め付けられます。祖国と自身の幸福の間で揺れ動き、最終的に国のために己を犠牲にする姿は、王女としての責任感と悲哀を強く感じさせました。嬴夫人の言葉は厳しくも現実的で、王族の宿命を改めて突きつけられるようでした。羋月はまだ自分の立場を十分に理解していないように見えますが、孟嬴との別れを通して、いずれ自分も難しい選択を迫られる時が来ることを予感しているのではないでしょうか。
秦王は冷酷な印象を受けますが、孟嬴への言葉や北郊行宮での嬴夫人との会話から、彼もまた苦悩を抱えていることが分かります。国の安定のために非情な決断をしなければならない王の孤独が垣間見えるシーンでした。
つづく