あらすじ
第四十四話では、羋月は馬小屋で孟嬴と偶然出会いますが、誤解から口論となり、二人の関係は険悪なものとなります。
その後、秦王の体調が優れず、羋姝が見舞いに訪れ、今後の計画を尋ねます。義渠討伐の計画と、羋月を同行させたいという秦王の意向を知った羋姝は、嫉妬心を募らせます。
秦王と羋月は義渠へ向かい、義渠王の探りに対し、羋月は機知を駆使して交渉の膠著状態を打開します。さらに、かつて自分が助けた子狼と再会を果たします。子狼は立派な勇士へと成長しており、最終的に羋月に従い秦国へ戻ることを承諾します。
一方、羋月は嬴夫人から孟嬴と蘇秦の想いを聞き、孟嬴の態度が変化した理由を理解します。
ネタバレ
羋月は義渠から連れ帰った黒馬を見に馬小屋へ行き、偶然孟嬴に会います。孟嬴はわざと羋月を避けようとしますが、羋月に呼び止められます。羋月は避けられた理由を尋ね、孟嬴と口論になり、二人の関係はさらにぎくしゃくします。
一方、羋姝は秦王の咳を聞き、見舞いに行きます。羋姝は機会を捉えて秦王の次の計画を尋ねると、秦王は義渠族を討伐するつもりで、羋月も連れて行くつもりだと明言します。羋姝は嫉妬心を抱きます。
秦王は羋月を連れて義渠に行き、魏冉が出迎えます。秦王は義渠王が穀に閉じ込められ、降伏する意思があると聞きますが、義渠族の生来の傲慢さを考え、策略を疑います。羋月は秦王に花冠を贈り、王冠より価合うと言い、秦王は羋月の純粋さを褒めます。
秦王は後日、義渠王と降伏の交渉を行う予定で、羋月も同行を願い出ます。義渠王は羋月が来たことを大変喜びます。交渉の席で、義渠王は酒を飲んでから話し合おうとしますが、司馬錯は拒否します。義渠王が怒ると、羋月は先に酒を飲み幹し、場を和らげます。羋月は義渠王に小狼の消息を尋ね、義渠王は小狼が無事で、大きく成長したと答えます。
羋月は義渠軍の隊列が整然としているのを見て、義渠が降伏する気がないことを察しますが、義渠王は羋月とわざと話をはぐらかします。
夜、羋月は小狼に偶然出会います。白起はずっと羋月を「姉上」と呼んでおり、羋月は自分がかつて助けた小狼だとようやく思い出します。魏冉は小狼の獣性が残っていることを嫌い、小狼も魏冉に敵意を抱いています。
魏冉と小狼が武術の試合をしている最中、義渠王が突然現れ、羋月と昔話に花を咲かせます。羋月は義渠王が秦に臣従することに驚きを隠せませんが、義渠王は羋月に喜んで臣従すると言います。
義渠王は羋月の前で小狼の勇敢さを褒めますが、羋月は義渠王に小狼を返してくれるよう懇願します。義渠王が困っていると、小狼は羋月と帰る意思を示し、義渠王はやむなく承諾します。羋月は喜び、小狼に白起と名付け、魏冉と共に軍隊に入隊させます。
秦王は燕の国が混乱していることを知り、趙の国と協力して燕に攻め入ることを考えます。秦国に戻った羋月は嬴夫人に会い、孟嬴と蘇秦に情があることを聞き、孟嬴が自分を恨んでいる理由をようやく理解します。
第44話の感想
第44話は、羋月と義渠、そして孟嬴との関係性の変化が描かれた重要な回でした。特に、再会した小狼を巡るエピソードは、羋月の母性と義渠王の彼女への深い想いが交錯し、感動的でした。
これまで敵対関係にあった義渠王が、羋月に臣従を申し出るシーンは、物語の大きな転換点と言えるでしょう。策略に長けた義渠王が、なぜそこまで羋月に心を寄せるのか、その理由が彼の口から語られることはありませんでしたが、小狼を巡るやり取りや、羋月を見つめる眼差しから、彼の純粋な愛情が伝わってきました。
一方、孟嬴との関係は冷え込んだままです。孟嬴の羋月への複雑な感情は理解できますが、二人の間の溝が深まる様子は見ていて辛いものがありました。かつて固い絆で結ばれていた姉妹が、それぞれの立場で苦悩し、すれ違っていく様子は、この物語の切ない一面を象徴しています。
つづく