あらすじ
第四十七話では、張儀が羋月の助けを得て蜀国討伐の策を献じ、嬴駟がこれを採用し、羋月への褒美を決める様子が描かれています。嬴駟は羋月への賞賛の言葉を述べるとともに、嬴稷への恩賞についても言及します。秦国は蜀国、巴国、苴国を攻め落とし、勝利を収めます。しかし、宮中では穏やかな雰囲気とは程遠く、羋姝が嬴稷に親しく接する様子に葵姑は不安を抱きます。嬴蕩は酒を飲み過ぎ、酔った勢いで偽山の陰に潜んでいた殺人蜂に刺され、危篤状態に陥ります。嬴駟は蜂毒を治せる者を探し出すよう命じます。葵姑は嬴稷を蜂の襲撃から守るため、自ら盾となり重傷を負います。
ネタバレ
羋月の助言で、張儀はついに蜀討伐に賛同し、晋の智伯が仇猶を討った故事を引用して秦王に献策した。曰く、「蜀王を得るにはまず財を与え、蜀道を通らせることが肝要」と。秦王は張儀を智嚢と褒め、張儀は羋月のおかげで考えがまとまったと王に伝え、羋月への褒美を勧めた。秦王は穆監に樗裏疾、甘茂、司馬錯を宣室殿に招集するよう命じた。
庭園の景色が良いので散策を、と穆監は秦王に勧めたが、秦王は代わり映えのしない景色に興が乗らない様子だった。しかし、衛良人、唐夫人、そして羋月が山の開墾と水路建設、亭の建立について相談していると聞くと、秦王は足を向けた。
秦王が到著すると、唐夫人、衛良人、穆監らは退出していき、秦王と羋月は二人きりになった。秦王は、張儀を助けた功績を鑑み、以前の羋月の失言を許すと言った。
秦王は羋月と嬴稷の様子を見に来た。張儀の計略が成功したことを羋月に伝え、もし男であれば侯に封じるところだが、母子の功績を考えれば、少なくとも嬴稷に褒美を与えるべきだと述べた。羋月は後日にと言ったが、秦王は恩賞はすぐに与えるべきだと答えた。
紀元前315年、秦は蜀、巴、苴を攻め落とし、巴蜀の地を手に入れた。
椒房殿で、羋姝は外の騒がしさに問うと、珊瑚は王が論功行賞を行っており、宮中内外が祝賀ムードに包まれていると答えた。羋姝は頭痛を訴えた。
香児は羋月に、嬴稷が嬴蕩に連れられ、王后のもとで夕食を共にすることになったと報告した。葵姑は最近王后が嬴稷に親しくしていることを不思議に思い、心配していた。羋月は、「王后は宮中の公子や公主たちの母であり、私にとっても親しい存在です」と安心させた。
樊長使は嬴通に、今後嬴蕩に会ったら道を避け、何事も我慢するよう諭した。
嬴通は珊瑚が人と密かに取引をしているのを目撃し、その人が巨大な蜂の巣を築山の岩の隙間に置いているのを見た。
羋姝は羋月を少司命の神祠に祈願に誘い、嬴稷に色鮮やかで香りの良い新しい服を贈り、それを著て神祠に行くように言った。
嬴蕩は石鎖を百回持ち上げた。羋姝は明日、何があっても椒房殿から出てはいけないと釘を刺した。しかし、嬴蕩はこっそり抜け出し、嬴通の米酒を奪って飲み、泥酔した。酔った嬴蕩は築山のそばを通った際に、殺人蜂に追いかけられた。
葵姑と嬴稷もたまたま通りかかり、殺人蜂に襲われた。葵姑は身を挺して嬴稷を守った。
嬴蕩は顔中を刺され、泣き叫んだ。女医の摯も手の出しようがなかった。羋姝は珍珠たちを叱責し、秦王に助けを求めた。秦王は葵姑が身を挺して嬴稷を守り重傷を負ったと聞き、蜂毒を治せる者を募るため、莫大な懸賞金を出すよう穆監に命じた。
第47話の感想
第47話は、これまで張り巡らされてきた伏線が一気に回収される、息詰まる展開でした。巴蜀の攻略成功という喜びの中、静かに進行する羋姝の陰謀が、見ている者の不安を掻き立てます。
勝利の祝賀ムードとは裏腹に、嬴稷を狙った恐ろしい罠が仕掛けられます。珊瑚を介した蜂の巣の設置、嬴稷への香りの強い服の贈与、そして嬴蕩を唆す言動。羋姝の冷酷さと計算高さは背筋が凍るほどです。一見、嬴稷への愛情を示しているように見える行動も、全ては自らの息子である嬴蕩を守るための策略の一部に過ぎないことが分かります。
葵姑の献身的な行動には胸を打たれます。殺人蜂の襲撃から嬴稷を庇い、身を挺して守る姿は、真の忠誠と愛情の表れです。葵姑の重傷は、羋姝の陰謀の残酷さをより際立たせています。
つづく