あらすじ
第50話は、秦の宮廷内部における権力分配と人間関係の変化を中心に描かれています。
嬴駟は張儀と国の安定と発展戦略について議論し、特に新たに徴服した巴蜀、義渠、河西の三地域に注目しました。また、公子稷を巴蜀に封じるべきかという問題に関して、張儀は公子稷が最適任者だと考えました。
元旦、後宮の妃嬪たちは封地の発表を緊張して待ちわびていました。嬴華と嬴奂はそれぞれ封地を与えられました。しかし、嬴稷には封地が与えられず、甘茂と樗裏疾は嬴駟が彼を太子に立てるのではないかと懸念を抱きました。
一方、後宮では複雑な感情のもつれが展開されていました。嬴蕩は魏頤に好意を抱き、羋姝は嬴蕩が頻繁に魏琰を訪ねることに怒りを感じていました。
嬴駟の体調は優れませんでしたが、彼は未だ羋月との関係を気にかけ、香袋を贈ることで二人の間のわだかまりを解消しようと試みました。
ネタバレ
秦王・嬴駟は張儀(ちょうぎ)と最近流行の歌謡「哲夫成城、哲婦傾城、婦有長舌、維厲之階(賢い男は城を築き、賢い女は城を傾ける。女の長い舌は災いの元)」について議論しました。張儀は歌謡の後半部分を引用し、嬴駟に女性への警戒をそれとなく促しました。嬴駟は秦の安定と発展について張儀に意見を求め、張儀は新たに獲得した巴蜀(はしょく)、義渠(ぎきょ)、河西(かせい)の三地域の重要性を説きました。嬴駟は羋月(みげつ)が息子・嬴稷(えいしょく)の巴蜀への分封を希望していることを明かし、張儀は嬴稷の適任ぶりを認めつつも、最終決定権は嬴駟にあることを強調しました。
元旦、後宮の妃嬪たちは分封の結果発表を待ちわび、それぞれの思惑を抱いていました。魏琰(ぎえん)は羋月の落ち著き払った様子に疑問を呈しますが、羋月は「天の採配には逆らえない」と達観した態度を示します。結果、嬴華(えいか)は横門君(おうもんくん)に、嬴奐(えいかん)は蜀侯(しょくこう)に封じられるなど、功績のある妃の息子たちはそれぞれ領地を得ました。しかし、嬴稷は封じられませんでした。
嬴華の咸陽出発に魏琰は深い悲しみに暮れます。
嬴稷が分封されなかったことで、甘茂(かんも)と樗裏疾(ちょりしつ)は嬴駟が嬴稷を太子に立てるのではないかと危惧し、阻止しようと画策します。甘茂は嬴駟が嬴稷を溺愛し、公子盪(こうしとう)を疎かにしている現状を指摘し、嬴稷が権力を握れば羋月が宮廷の秩序を乱すだろうと予測しました。
羋姝(みしゅ)は嬴盪の妃に楚(そ)の公主を迎え、婚姻関係を通じて太子争いを有利に進めようとしますが、嬴盪は肖像画を見て「皆、か弱い女性ばかりだ」と拒否します。
嬴盪は魏琰の宮殿で魏頤(ぎい)の箜篌(くご)の演奏と歌声を耳にし、密かに想いを寄せます。馮甲(ひょうこう)は嬴盪の命を受け、魏頤について調べ始めます。
嬴駟は咳が止まらず、穆監(ぼくかん)が魏頤から届けられた竹葉の煎じ薬を差し出します。嬴駟は一口飲んで薬を置くも、魏頤の美貌の裏に何か隠されているように感じ、警戒心を抱きます。
分封の結果に不満を抱いた羋月は嬴駟を避け、嬴駟は穆監に羋月との距離が広がっていることを嘆きます。
嬴駟は羋月を気にかけ、夜に香袋を二つ届けるよう伝えます。羋月は承諾します。
嬴盪は連日魏琰の宮殿を訪れ、羋姝はこれに怒りを覚えます。
第50話の感想
第50話は、宮廷内の複雑な人間関係と権力争いがさらに深く描かれた回でした。嬴駟と張儀の会話は、歌謡を通して女性、特に羋月への警戒心を示唆し、今後の展開への不安を煽ります。分封の結果、嬴稷が封じられなかったことは、羋姝派だけでなく、甘茂や樗裏疾といった重臣たちにも波紋を広げ、嬴稷を太子に就かせまいとする動きが活発化しそうです。
特に印象的なのは、嬴駟と羋月の微妙な関係です。嬴駟は羋月を気に掛ける一方で、彼女との距離を感じ、寂しさを募らせています。羋月もまた、嬴駟の真意を測りかねている様子が描かれており、二人の間の溝が深まっていることを感じさせます。
つづく