あらすじ

第五十七話は、羋月ミーユエが自分の財産が盗まれたことに気づき、これは誰かが故意に自分たちの生活を断つために仕組んだことだと悟るところから始まります。彼女は嬴稷えいしょくたちと共に、粗末なボロ家に住まわされることになりました。新しい駅丞の趙臣ちょうしんは援助はおろか、侮辱の言葉を浴びせかける始末。一方、孟嬴もうえい羋月ミーユエが燕国に到著したことを知りますが、過去の確執と秦国からの圧力もあり、彼女を助けることはしませんでした。郭隗かくかい羋月ミーユエの非難に対し、責任逃れに終始します。その後、羋茵びいんは自分の権力を使って羋月ミーユエ親子を呼び出し、あらゆる手段で彼女たちを辱めます。凍死した乞食の服を著せ、羋月ミーユエに土下座して謝罪するよう要求するほどでした。吹雪の中、もはやこれまでかと思われたその時、幸運にも燕国にやってきた蘇秦そしんに出会い、救いの手を差し伸べられるのです。

ネタバレ

羋月ミーユエ一行が火事の後、金品が入った箱が盗まれたことに気づき、誰かがわざと放火し、財産を奪って彼らの生活を断とうとしたのだと理解しました。

新しい宿場の役人、趙臣ちょうしんは、羋月ミーユエたちの住居を手配するどころか、香兒に暴言を吐き、秦人を侮辱しました。

易后えきごうの行列が街を通った際、羋茵びいんの侍女が羋月ミーユエが薊城に到著したことを孟嬴もうえいに伝えました。孟嬴もうえい蘇秦そしんの件や羋姝びしゅからの圧力を恐れ、今は羋月ミーユエに会わないと決めました。そして、東周の学者、蘇秦そしんが燕国に来るという吉報を聞きました。

香兒は、趙臣ちょうしん羋月ミーユエたちを困らせているのは事実で、彼が国相府に出入りしていることを突き止めました。羋月ミーユエは国相の郭隗かくかいに会いに行き、趙臣ちょうしんの仕打ちを問い詰めました。 しかし郭隗かくかいは責任を回避しました。

羋茵びいん孟嬴もうえい燕王えんおうの名を騙り、羋月ミーユエ親子を呼び出し、あらゆる手段で彼らを侮辱しました。羋月ミーユエは、全てが羋茵びいんの仕業だと悟りました。羋茵びいんは凍死した乞食の服を羋月ミーユエ親子に著せようとしましたが、羋月ミーユエ嬴稷えいしょくだけは助けてほしいと懇願しました。しかし羋茵びいんは、羋月ミーユエが土下座して自分が恥知らずな賤人だと認めなければ聞き入れないと言いました。

雪の中、薄著で歩く羋月ミーユエ親子は、偶然にも燕国に到著したばかりの蘇秦そしんに助けられました。

第57話の感想

第57話は、羋月ミーユエ嬴稷えいしょくの境遇がどん底に突き落とされる、非常に辛いエピソードでした。火事によって財産を失い、住む場所もままならない状況の中、追い打ちをかけるように趙臣ちょうしんの嫌がらせを受け、まさに八方塞がりといった感じです。

特に胸が痛んだのは、羋茵びいんによる仕打ちのシーンです。凍死した乞食の衣服を差し出す残酷さ、そして嬴稷えいしょくにまでその仕打ちを及ぼそうとする非情さは、見ているこちらが怒りに震えるほどでした。羋茵びいんの憎しみは、もはや常軌を逸しているように感じます。彼女の中で、羋月ミーユエへの復讐心はどれほどの大きさなのでしょうか。

一方、孟嬴もうえいの葛藤も印象的でした。羋月ミーユエを助けたい気持ちと、羋姝びしゅからの圧力や過去の出来事との間で揺れ動く姿は、彼女の複雑な立場を物語っています。孟嬴もうえいの選択が、今後の物語にどう影響していくのか、注目したいところです。

つづく