あらすじ
第六十一話では、秦の宮廷内で巻き起こる後継者争いが描かれています。
羋姝は桃を使って公子たちの仲を裂き、嬴華と嬴恢を衝突させます。結果として嬴華は嬴恢を殺めてしまい、朝廷は混乱に陥ります。樗裏疾はこの事態に深く失望し、秦の衰退の兆候だと嘆きます。
一方、五婆は羋月に、陶尹夫人が高額な仕立て料で婚礼衣装の製作を依頼したいと伝えます。しかし、羋月はどこか腑に落ちず、この申し出に疑念を抱きます。
黄歇は、街中で懸賞を出すことで羋月を探し続けています。そして、嬴稷が杜若の模様を見つけたことで、ついに羋月を見つけ出します。嬴稷はまた、黄歇から羋月の母への心遣いを伝えます。
燕では、郭隗が易后に秦の不安定な情勢を報告し、燕国として対策を講じるよう進言します。
ネタバレ
羋姝は公子たちを朝堂に集め、後継ぎについて意見を求めた。嬴恢は恵后が武王を補佐して政務を執り行ってきたのだから、後継ぎも恵后が決めるべきだと主張した。嬴華は武王后が懐妊しているので、慣例に従い王位は武王后の子に継承されるべきだと仮論した。羋姝は鮮やかな桃を使って公子たちの競争心を煽った。嬴恢は功績を誇示し、嬴華を功績なく徳もないと罵倒した。嬴華と嬴恢は取っ組み合いの喧嘩になり、嬴華の兵士が殿内に乱入し嬴恢を殺害した。羋姝は嬴華を捕らえるよう命じ、朝堂は大混乱に陥り、刀剣が飛び交う事態となった。樗裏疾は顔面蒼白になり、秦はこれで終わりだと嘆いた。
五婆は羋月を訪ね、陶尹夫人が高額な報酬で婚礼衣装の仕立てを依頼したいと言ってきたと伝えた。羋月は訝しみ、五婆に間違いではないかと尋ねた。五婆は陶尹夫人が高額な報酬を提示したのは、金糸を使った缂絲の刺繍を施した豪華な衣装を希望しているからだと説明した。
五婆は陶尹夫人の側近である柳姑から手付金を受け取り、羋月に渡した。黄歇は五婆から買い取った刺繍を街中で掲げ、花の刺繍を当てた者に賞金を与えることで羋月を探していた。嬴稷は刺繍の杜若の花を見て、「これは楚の国にしかない花で、母の好きな花だ」と言い、黄歇と嬴稷は喜びの再会を果たした。
羋月は婚礼衣装の件が気にかかっていたが、嬴稷が黄歇との再会の吉報を伝え、一同は喜んだ。嬴稷は「黄叔父さんは面白い人で、母のことをとても心配していた」と話した。
郭隗は易后に謁見し、秦に潜伏させている間者からの報告で秦国内は大混乱に陥り、危機的状況にあると伝えた。孟嬴は燕はどうすれば良いかと尋ねると、郭隗は使者を派遣して弔問し、秦の王位が決まってから行動を起こすべきだと進言した。孟嬴と郭隗は秦の人質について話し合い、郭隗は彼らの立場は以前とは全く異なると述べた。孟嬴は郭隗に羋月母子を厚遇するよう命じ、郭隗は数日中に彼らを宿舎に移し、衣食住に困らないよう手厚くもてなすと約束した。
嬴稷は鞭の稽古をしていた。貞嫂は彼に卵を食べさせ、手作りの布人形を贈った。燕の廷尉右丞が部下を引き連れて羋月の住まいを捜索し、五婆から受け取った婚礼衣装の手付金と金銀財宝を発見し、羋月たちを窃盗の罪で告発した。五婆は濡れ衣だと訴え、柳姑と対質したいと主張した。
第61話の感想
第61話は、秦の混乱、燕における羋月たちの状況の変化、そして黄歇との再会など、様々な展開が詰め込まれた濃密なエピソードでした。
まず秦では、羋姝の策略によって公子たちの対立が激化し、ついに殺し合いに発展します。朝堂の混乱ぶりは、秦の行く末を案じさせるものでした。樗裏疾の嘆きが、その深刻さを物語っています。権力争いの醜さと愚かさが、見ていて痛々しいです。
つづく