あらすじ
第六十四話は、羋月一行が旅立ちの準備をしている最中、庸芮が突然現れ、秦国が内乱によって危機に瀕していることを告げるところから始まります。嬴夫人をはじめとする大臣たちは、羋月と嬴稷の帰国を強く望み、国の安定を託しました。黄歇は帰国に伴う危険を心配していましたが、羋月はかつて嬴駟と交わした約束を守るため、息子嬴稷と共に庸芮に従い秦国へ戻ることを決意します。この決断に、黄歇は落胆を隠せませんでした。
一方、この知らせを聞いた魏琰と魏頤は、羋月母子を利用して羋姝に対抗しようと画策し始めます。
秦国への道中、羋月一行は様々な困難を乗り越え、ようやく北郊の行宮に到着します。そこで嬴夫人は、嬴駟の遺詔を羋月に手渡します。そして、羋姝が兵を率いて追ってきた際には、羋月と庸芮が秘密の通路を使って逃げるよう手配しました。
ネタバレ
羋月一行と黄歇が旅立ちを控えていた時、庸芮が彼らの宿に突然現れた。庸芮は秦国が大混乱に陥り、列国が領土を狙っていると羋月に告げた。そして、嬴夫人の命で羋月母子を迎えに来たこと、嬴夫人や多くの大臣が公子稷と芈夫人の帰国を待ち望んでいることを伝えた。
秦国の内乱の詳しい状況を庸芮から聞き、国が四分五裂し、戦火が各地で起こっていることを知った羋月は、庸芮から「秦の存亡は、夫人と公子にかかっている」と告げられる。実は嬴駟は臨終の間際に、嬴稷を王位に就けるという遺詔を嬴夫人に託していたのだ。庸芮は羋月母子に共に秦へ戻り、国と民を救ってほしいと懇願した。黄歇は仮対し、羋月母子を連れて帰国することが安全な道なのか庸芮に問いただした。
夜更けに、息子・嬴稷が書き写した七ヶ国の文字を見ながら、かつて嬴駟とした約束を思い出し、羋月は様々な思いが胸をよぎらせ、自らの不甲斐なさを恥じた。
翌日、黄歇と庸芮は外で待っていた。羋月は嬴稷に旅立ちの時が来たことを告げ、「もし母が間違った道を選んだら、恨むだろうか?」と尋ねた。嬴稷は、母の選ぶ道が自分の選ぶ道であり、母がどこへ行こうとついていくと答えた。羋月はついに庸芮と共に秦へ戻ることを選び、再び黄歇の想いを裏切り、秦へ帰る馬車に乗り込んだ。黄歇はなぜかと問いたかったが、言葉を出すことはできなかった。馬車の中で、外から黄歇が何度も「月児」と呼ぶ声を聞き、羋月は声を上げて泣き崩れた。
魏琰と魏頤は羋月母子が秦へ戻ると聞き、陰謀を企て始めた。二人は羋月母子の帰国は遺詔と関係があると睨み、羋姝に対抗するために羋月と手を組もうと考えた。羋月から遺詔を騙し取ることができれば、羋姝に対抗する強力な武器になると考えたのだ。
庸芮は羋月たちを連れ、数々の困難を乗り越え、ついに北郊の行宮に到著した。嬴夫人は庸芮に傷の手当てをするように言い、羋月だけを残し、「先王はやはり人を見る目があった」と言った。
密偵からの報告を受けた羋姝は、すぐに兵を率いて羋月母子の抹殺に向かった。羋姝の軍勢が北郊行宮の門前に迫ると、嬴夫人は遺詔を羋月に渡し、庸芮と共に秘密の通路から脱出するように指示した。
第64話の感想
第64話は、羋月が大きな決断を迫られる非常にドラマチックな回でした。祖国秦の危機、息子嬴稷の未来、そして黄歇への想い。様々な感情が交錯する中で、彼女は苦渋の決断を下します。
秦への帰国は、まさに茨の道。国は分裂し、敵は虎視眈々と彼女を狙っています。そんな状況下でも、庸芮の言葉と嬴稷の純粋な信頼が、彼女の背中を押しました。母として、そして一人の女性として、羋月はどれほどの葛藤を抱えていたのでしょうか。彼女の涙は、その苦悩を物語っています。
つづく