あらすじ

第六十七話では、義渠ぎきょ王が昏睡から目覚め、羋月ミーユエとの再会を果たします。彼は義渠ぎきょの兵力を用いて、羋月ミーユエと息子の嬴稷えいしょくが秦国の政権を取り戻すのを助けることを約束します。しかし、羋月ミーユエはより巧妙な計略を提案します。それは、自らを囮として使い、現女王の羋姝びしゅに宮門を開かせようというものでした。

咸陽かんよう城内では危機が迫っているという知らせが魏冉ぎえんからもたらされます。樗裏疾しょりしつ庸芮ようえい嬴稷えいしょくを支持する勢力を集結させていますが、まだ力不足です。交渉を有利に進めるため、羋月ミーユエ義渠ぎきょ王に対し、羋姝びしゅとの取引にすぐには応じず、より多くの土地と城を要求するように助言します。

一方、魏頤ぎい魏琰ぎえん羋姝びしゅ嬴壮えいそうを王位に就けるのを阻止しようと、嬴壮えいそうを誘拐する計画を実行に移します。義渠ぎきょ王と羋姝びしゅの取引交渉の際、義渠ぎきょ王は不満を装い、羋月ミーユエ咸陽かんようまで自ら護送することを要求します。

そしてついに、義渠ぎきょ軍の助力もあり、嬴稷えいしょくは王位に就き、羋姝びしゅ魏琰ぎえんは捕虜となります。

ネタバレ

義渠ぎきょ王は目を覚まし、徐々に回復していく。喜びの涙を流すミーユエに、義渠ぎきょ王は彼女のために大事を行うと約束する。それは、義渠ぎきょの全軍をもってミーユエ親子を秦の宮殿へ戻し、嬴稷えいしょくを王位に就けるというものだった。しかしミーユエは、一兵一卒も動員せずに王宮を手に入れる妙案があると告げる。

虎威こいの報告で、魏冉ぎえんがミーユエに会いに来たことを知る義渠ぎきょ王。魏冉ぎえんはミーユエに、嬴稷えいしょく庸芮ようえいと共に無事であり、咸陽かんようは緊迫した状況にあると伝える。樗裏疾しょりしつ庸芮ようえいは多くの臣下を集め、嬴稷えいしょく擁立の準備を進めているが、兵力は少なく、確実な勝利は難しい状況だった。ミーユエは、自分が囮となって羋姝びしゅに宮門を開かせ、魏冉ぎえんには自分が再び義渠ぎきょ人に捕らえられたという噂を流すよう指示する。

羋姝びしゅはミーユエが義渠ぎきょ王の手に落ちたと聞き、すぐにミーユエとの交換を持ちかけ、食糧5000車、絹1000匹、黄金1万両を提示する。

草原を散歩するミーユエと義渠ぎきょ王。羋姝びしゅへの対応を尋ねる義渠ぎきょ王に、ミーユエはすぐに承諾せず、城や土地を要求するよう助言する。「相手に自分を高く評価させるには、簡単に屈服してはならない」とミーユエは言う。

一方、魏頤ぎい魏琰ぎえんは、羋姝びしゅ魏頤ぎいの偽の“嫡子”が生まれる前に嬴壮えいそうを王位に就けてしまうのではないかと危惧し、嬴壮えいそうを誘拐する計画を立てる。

杜錦ときんは金銀財宝を持って義渠ぎきょ王との交渉に臨むが、義渠ぎきょ王はわざと不満を示し、自ら兵を率いてミーユエを咸陽かんようへ送ることを要求する。

宮殿で対面する羋姝びしゅとミーユエ。羋姝びしゅは、ミーユエこそが自分の運命を左右する存在であり、ミーユエが死ねば先王の遺詔も消滅すると語る。魏琰ぎえん魏頤ぎい嬴壮えいそうの衣服を羋姝びしゅに届け、羋姝びしゅ馮甲ひょうこうの裏切りを激しく非難する。魏琰ぎえんたちは兵を率いて現れ、多額の報酬と引き換えにミーユエを引き渡すよう義渠ぎきょ王に迫る。

羋姝びしゅはミーユエを捕らえようとするが、秦の宮殿は既に義渠ぎきょ兵に包囲されていた。樗裏疾しょりしつ司馬錯しばさくもまた、嬴稷えいしょくの即位を宣言する詔書を持って現れる。形勢逆転し、羋姝びしゅ魏琰ぎえんは捕らえられてしまう。

第67話の感想

第67話は、まさに手に汗握る展開でした。これまで散々羋姝びしゅに苦しめられてきたミーユエの逆転劇は、まさに痛快の一言。策略家としてのミーユエの真骨頂が発揮された回と言えるでしょう。

特に印象的だったのは、ミーユエが自らを囮に使うという大胆な作戦です。義渠ぎきょ王の協力を得て、羋姝びしゅの焦りを利用し、見事に宮門を開かせたシーンは、彼女の知略の高さを改めて見せつけられました。また、義渠ぎきょ王との連携も見事で、互いの信頼関係が築かれていることが感じられました。単なる協力関係ではなく、二人の間に特別な感情が芽生えていることを闇示するような描写もあり、今後の展開がますます気になります。

一方、羋姝びしゅは完全にミーユエの術中にはまり、自滅していく様子が描かれています。魏琰ぎえんとの共謀も、もはやミーユエの敵ではなく、焦りと猜疑心によって自らの首を絞めているように見えました。これまで権力を握っていた羋姝びしゅの凋落ぶりは、権力の虚しさを改めて感じさせます。

つづく