あらすじ
第69話は、羋月が燕国と楚国との関係を取り扱う様子を描いています。
まず、燕王の使者である蘇秦に感謝の意を表し、将来、斉国に対抗する燕国を支援することを約束しました。蘇秦はこの約束を受け入れ、撤兵に同意しました。
続いて、楚国の使者である靳尚を迎え、金品や官職を贈り、さらには婚姻を提案するなどして和解を成立させました。しかし、この羋月の行動は一部の廷臣の不満を買いました。
魏冉もまた、羋月のこの行動に疑問を呈しましたが、羋月は、これは戦略的な妥協であると説明しました。
一方、甘茂からの圧力にも屈することなく、羋月は自らの権力を断固として守り、甘茂が秦国を弱体化させようとする陰謀を暴きました。
最後に、羋月は病気を理由に休暇を申請した官吏たちを厳しく処分し、彼女の決断力と権威を示しました。
ネタバレ
羋月、燕の使者蘇秦に謁見し、易后と蘇秦への深い感謝の意を表し、秦の政局が安定したら必ず燕を助けて斉を討つと約束した。「私が秦にいる限り、決して約束を破りません。」蘇秦は感動し、すぐに兵を撤退させて帰国することに同意した。
続いて羋月は楚の使者靳尚に謁見し、上座に招き、多額の贈り物をした。靳尚は大喜びで、秦と楚が引き続き友好関係を保つことを望んだ。羋月は彼に秦に留まって大夫になるように言ったが、靳尚は自分の才能は浅く、重責に耐えられないと答えた。そこで羋月は芈戎を秦に呼び寄せて補佐させることを提案し、靳尚は喜んで承諾した。さらに靳尚は秦と楚が婚姻を結び、嬴稷が楚王の幼い娘を娶ることを提案した。羋月は大変良いと言い、「恵文王が遺した王女がいるので、楚の公子に嫁がせたい」と述べた。靳尚は羋月に領土の要求を出し、羋月は上庸を秦の王女の持参金として楚に譲ると約束し、ようやく靳尚を帰らせた。
羋月の領土割譲に一部の臣下は不満を抱き、様々な意見が出てまとまらなかった。魏冉は羋月に謁見し、なぜ靳尚のような卑劣な人物に妥協するのか理解できないと尋ねた。羋月は「奪おうとするならまず与え、滅ぼそうとするならまず学べ」と答えた。
羋月は披香殿を訪れ、魏琰と魏頤に秦と魏が停戦し、和解したことを告げた。そして信陵君魏無忌が武王后魏頤を魏に帰国させたいと望んでいることを伝えた。魏琰はどうすれば良いか尋ねたが、羋月は公子忌は魏琰については一言も触れていないと答えた。魏琰は信じようとせず、魏のために多くのことを犠牲にしてきたと訴えた。羋月は魏頤に、彼女を解放するのは彼女が本当に災いだからだと告げた。
甘茂は羋月の領土割譲を理由に、羋月に内廷に退き、嬴稷に政権を返還するよう迫った。羋月は彼と真っ向から対立し、甘茂が水面下で各国に提示した停戦条約は秦を咸陽だけ残して売り渡すようなものだと暴露し、彼を朝廷から追放した。
甘茂は樗裏疾に謁見し、諸公子を降伏させる自信があると述べ、その方法は新政を停止し、旧法を復活させ、領地を分封して諸公子を取り込むことだと提案した。この提案は樗裏疾の断固たる仮対に遭い、甘茂は恨みを抱いて去っていった。
羋月は病気と称して欠席した官吏をすべて罷免した。
第69話の感想
第69話では、羋月のしたたかな政治手腕と冷徹な判断力が際立っていました。燕と楚の使者への対応は、まさに飴と鞭を使い分ける巧みさ。蘇秦には感謝と将来の支援を約束することで味方につけ、靳尚には金と地位で懐柔しつつも、最終的には領土を割譲させるというしたたかさを発揮しています。一見不利に見える譲歩も、後の大きな利益を見拠えた戦略的な一手であることが伺えます。
特に印象的なのは、魏琰と魏頤に対する冷酷な態度です。魏国への情を一切見せず、魏頤を「禍害」と呼ぶなど、敵対勢力への容赦のなさが見て取れます。また、甘茂の策謀を見破り、毅然とした態度で追放する場面も、彼女の知略と決断力の高さを示しています。
つづく