あらすじ
第七十六話は、秦と楚の間の緊張が高まる様子を描いています。秦の兵士たちは、黄歇を私闘の罪で捕らえ、一方、太子横は奸臣の唆しを受けて逃亡してしまいます。黄歇は太子を探し出そうとしますが、失敗に終わります。庸芮はこの一件を羋月に報告し、それを受けた群臣は楚討伐を提案、羋月はその流れに乗って楚への侵攻を命じます。楚国は多くの都市を失い、楚王は恐怖に慄えます。晋の大夫は楚王に秦との会盟を提案し、南后の助力も得て、太子横を斉に人質として送る計画を立てます。黄歇は羋月と会談し、秦楚会盟は楚王にとって不利であると警告し、太子が計略に嵌ったのは羋月が関わっているのではないかと疑念を抱きます。しかし、羋月は楚を裏切るようなことはしないと断言します。結局、秦は会盟を利用して楚王を拘束し、白起や庸芮らはこれを機に楚を滅ぼすべきだと進言しますが、羋月は決断を下せずにいます。羋月の行為に憤慨した黄歇は、彼女を裏切り者だと非難します。羋月は黄歇に秦への仕官を勧めますが、黄歇はそれを拒絶し、悲嘆に暮れながら立ち去ります。
ネタバレ
秦の兵士たちは黄歇を私闘の罪で捕らえた。太子は奸臣に唆され逃亡。黄歇は戻って太子を探すが既に姿を消しており、策略にはまったと悟る。太子を探そうとするも蒙驁に阻まれ、身動きが取れない。
庸芮は全てを陰から見届け、羋月に報告。朝廷では、群臣が太子逃亡を口実に楚への攻撃を羋月に進言。羋月も流れに乗り、楚討伐を命じる。
秦の攻撃で楚は多くの都市を失い、楚王は動揺する。晋の大夫は和平のための会盟を提案するが、南后はこれを利用し、太子を厳罰に処すよう楚王に迫る。しかし楚王は太子をかばい、全ての責任を負おうとする。
晋の大夫は南后に会い、太子を斉に人質として送るよう楚王に進言させ、更なる策略を巡らせるよう促す。南后は同意する。
黄歇は羋月に謁見。羋月は茶を勧めるが、黄歇は飲む気もなく、秦楚会盟は楚王にとって不利であり、もし楚王に何かあれば羋月自身も生きていけないと直言する。羋月は仮論せず、大切に保管していた楚の土を取り出す。楚の先祖に恥じるようなことはしないと真摯に語る羋月に、黄歇は言葉に詰まるも、太子の逃亡は羋月と無関係ではないと考え、不満を抱えたまま立ち去る。
贏稷は秦楚会盟を利用して楚王を捕らえようとするが、羋月はそれでは非難されると仮対する。朝廷で樗裏疾は羋月に事態の収拾を勧めるが、庸芮は冷淡な態度。熟慮の末、羋月は諸国への説得工作を画策し、樗裏疾は自ら名乗り出る。
白起は楚王不在の隙に楚を滅ぼし、羋月の天下統一を助けるよう進言。羋月は躊躇するが、白起は伍子胥の例を挙げて説得し、羋月は心が揺らぐ。
庸芮と司馬錯は羋月に謁見し、この機に楚を攻めるよう進言。羋月は同意するが、同時に黄歇への罪悪感に苛まれる。
朝廷で真実を知った黄歇は激昂し、羋月の背信を責める。羋月は逆に黄歇に秦への仕官を勧める。祖国を裏切れない黄歇に対し、羋月は天下統一は民のためであり、自分は第二の周天子になると説く。この言葉を聞き、黄歇は深い悲しみと共に去っていく。
第76話の感想
第76話は、羋月と黄歇の悲劇的なすれ違いが描かれた、胸が締め付けられるような回でした。二人の祖国への想いと、天下統一を目指す羋月の野望が激しく衝突し、見ているこちらも苦しくなるほどの緊張感が漂っていました。
特に印象的だったのは、羋月が楚の土を黄歇に見せるシーンです。祖国への想いは決して失っていないと訴える羋月の姿は、彼女の複雑な内面を如実に表していました。それでも、天下統一という大きな目標のために、愛する人を裏切らざるを得ない彼女の苦悩がひしひしと伝わってきました。
つづく