あらすじ
第七十八話では、逃亡した羋槐を探すため、秦国は都の捜索を強化しました。この厳戒態勢の中、虎威は捜索隊にわざと難癖をつけます。一方、羋槐の逃亡を知った羋瑶は早産し、不幸にも亡くなってしまいます。病床に伏していた樗裏疾は、羋槐が捕らえられたと聞き安堵しますが、同時に翟驪がもたらすであろう脅威を危惧し、庸芮と魏冉に事前の準備を指示します。
樗裏疾の死後、羋月は庸芮を宰相に任命しようとしますが、庸芮は魏冉を推薦します。秦は斉への遠徴に成功しますが、虎威は恩賞に不満を持ち、羋戎への物資輸送隊を勝手に妨害し、街中で騒ぎを起こして殺人を犯し、最後は司馬錯に逮捕されます。翟驪は贏稷を通じてこの事件に介入しようとしますが失敗し、贏稷と対立します。最終的に、贏稷は羋月に公正な裁きを求め、翟驪は羋月に虎威の釈放を命じるよう迫ります。
ネタバレ
秦国では、芈槐捜索のため厳重な捜査が行われており、虎威はわざと捜査を妨害していた。庸芮は虎威の秦の法を軽んじる態度を聞き、後日羋月に報告することにした。
芈瑶は芈槐の逃亡を聞き、動揺のあまり早産となり、男児を出産後、息を引き取った。
樗裏疾は病床に伏していたが、魏冉が芈槐を捕らえたと聞き、安堵した。かつて羋月とした賭けを思い出し、喜びとともに秦の天下統一を願った。また、翟驪が秦の基盤を脅かすことを懸念し、庸芮と魏冉に事前に対策を講じるよう言い残した。
樗裏疾死去後、羋月は庸芮を丞相に任命しようとしたが、庸芮は辞退し、魏冉を推薦した。羋月は樗裏疾の遺誌に従い、諸国と同盟を結び斉を滅ぼす計画を進めた。翟驪への懸念については、時とともに解決すると述べた。
秦は斉への侵攻で連戦連勝し、ついに斉を滅ぼした。羋月は功臣に褒美を与えたが、虎威は不満を抱き、義渠への偏見、えこひいきだと羋月を非難した。そして、芈戎へ届けられる酒と肉を横取りした。庸芮は虎威の行動を聞き、司馬錯に芈戎とともに羋月に報告するよう指示した。
虎威は街中で狼の毛皮と錦を無理やり交換しようとし、拒否されると錦を引き裂いた。商人と揉み合いになり、誤って殺害してしまう。そこに司馬錯が到著し、虎威一行を捕らえた。
虎威逮捕の知らせを聞いた翟驪は、贏稷に廷尉に命じて虎威を釈放させるよう迫った。しかし、贏稷は秦の法律に従って処罰すると言い、翟驪の要求を拒否した。翟驪は激怒し、贏稷と口論になったが、贏稷は屈しなかった。翟驪はさらに挑発し、贏稷は怒ってその場を立ち去った。
贏稷は羋月に会い、事情を説明し、判断を求めた。しかし、羋月は贏稷はまだ自分の苦心を理解していないと言い、贏稷を初めて秦の宮殿に来た時の住まいへと連れて行った。狭い蕙院を見て、贏稷はなぜここに住んでいたのか尋ねた。羋月は宮廷での生活を望んだことはなく、常に宮廷の外で、自分の家を持ち、愛する人と暮らすことを夢見ていたと語った。
翟驪は怒りが収まらず羋月に会い、贏稷が情に厚くないと非難し、財産分与を提案した。羋月は翟驪をなだめようとしたが、翟驪は虎威たちの釈放を要求した。
第78話の感想
第七十八話は、秦の隆盛と同時に、人間の複雑な感情や権力闘争の難しさを鮮やかに描いたエピソードでした。勝利の余韻に浸る間もなく、新たな火種が生まれ、登場人物たちの運命が大きく揺れ動きます。
特に印象的なのは、虎威の暴走と、それに対する贏稷の毅然とした態度です。虎威は戦功を上げたにも関わらず、不満を抱え、行き過ぎた行動に走ります。これは、戦後の混乱や、異民族出身者としての立場に対する不安、そして羋月への個人的な感情が複雑に絡み合った結果でしょう。一方、若き王である贏稷は、法治の重要性を理解し、私情に流されず虎威を裁こうとします。この対比は、秦の法治国家としての成長と、次世代への期待を感じさせます。
つづく