あらすじ

第七十九話は、主に魏冉ぎえん芈戎びじゅう庸芮ようえい義渠ぎきょ討伐を嬴稷えいしょくに進言し、嬴稷えいしょくがそれに同意する場面を描いています。魏冉ぎえん羋月ミーユエへの長年の感謝を述べ、羋月ミーユエは天下統一への決意を表明します。

一方、翟驪たくり羋月ミーユエ虎威こいを容易に釈放しないことに不満を抱き、独断で牢獄へ赴き、看守を殺害して虎威こいを救出しようと試みます。この一件は朝廷の怒りを買い、白起はくきが仲裁に向かいますが、事態は収拾しません。虎威こいは自責の念に駆られ、自らの命を絶って潔白を証明しようとします。

虎威こいの死は翟驪たくりに深い悲しみと絶望をもたらし、彼は羋月ミーユエを恨み、虎威こいの死の責任は彼女にあると非難します。しかし、それでもなお翟驪たくり羋月ミーユエへの未練を断ち切れず、秦国を離れることができません。

ある外出の際、翟驪たくり羋月ミーユエ公子芾こうしふつを人質に取ろうと画策しますが、 ultimately 失敗に終わります。

ネタバレ

魏冉ぎえん芈戎びじゅう庸芮ようえいの三人が嬴稷えいしょくに謁見し、義渠ぎきょ討伐を提言します。彼らは今がまさに天時地利人和を得ていると進言し、嬴稷えいしょくはこれを受け入れます。

魏冉ぎえん羋月ミーユエに会い、長年の庇護への感謝を伝え、羋月ミーユエは天下統一による国泰民安への決意を表明します。翟驪たくり羋月ミーユエ虎威こいの釈放を促しますが、羋月ミーユエはそれが疑念を招き、民心を乱すと仮論します。義渠ぎきょの人々が秦の法律に縛られないことを主張する翟驪たくりに、羋月ミーユエは道理を説きますが、二人の意見は合わず、不穏な空気が流れます。

牢を訪れた翟驪たくりは、苦境に立たされ不満を漏らす虎威こいたちを見て心を痛め、自責の念に駆られます。虎威こいは兄弟たちの解放を懇願し、激怒した翟驪たくりは廷尉を殺害し、虎威こいたちの鎖を解きます。

翟驪たくりの殺人を聞いた群臣は、羋月ミーユエ翟驪たくりへの処置を求めます。白起はくき翟驪たくりのために嘆願し、熟慮の末、羋月ミーユエ白起はくきを仲裁役として派遣します。

義渠ぎきょの陣営に著いた白起はくきは、秦軍が包囲していることを告げ、翟驪たくりに謝罪と虎威こいの引渡しを説得しようとしますが、翟驪たくりは応じず、白起はくきと口論になり、白起はくきは成果なく帰還します。

翟驪たくり虎威こいは酒を酌み交わしながら語り合います。翟驪たくり義渠ぎきょを守り抜くことを誓い、虎威こいは自身の罪を悔やみます。翟驪たくり咸陽かんようを脱出し、義渠ぎきょの民を草原へ帰還させる決意を語りますが、同時に羋月ミーユエへの未練も覗かせます。虎威こい翟驪たくり羋月ミーユエへの想いを理解しています。翟驪たくりが酔い潰れた後、虎威こい翟驪たくりに別れを告げ、秦軍の前に自刎します。

虎威こいの自害を知った庸芮ようえいたちは安堵しますが、羋月ミーユエは悲しみを隠せません。翟驪たくり虎威こいの死に深く悲しみます。白起はくき翟驪たくりに草原への帰還を勧めますが、翟驪たくり羋月ミーユエと秦への未練から去りがたいのです。

怒りに燃える翟驪たくり羋月ミーユエに謁見を求め、虎威こいを殺したと責めます。羋月ミーユエは説得を試みますが、翟驪たくりは耳を貸さず、蒙驁もうごう庸芮ようえいの処罰を要求します。羋月ミーユエは全て自分の計画だと明言し、翟驪たくりに改心を促しますが、翟驪たくり羋月ミーユエの心が自分に向いていないと非難し、天下を築き、また壊せると脅します。

公子芾こうしふつの誕生日に、翟驪たくり公子芾こうしふつを連れ馬で出かけます。羋月ミーユエ翟驪たくりと初めて出会った頃の思い出を語り、秦に留まり家族として暮らすよう説得します。しかし、翟驪たくりは密かに伏兵を配置し、羋月ミーユエ公子芾こうしふつを連れ去ろうと企みます。

第79話の感想

第79話は、愛と憎しみ、忠誠と野望が複雑に絡み合い、息詰まるような展開を見せるエピソードでした。特に翟驪たくりの苦悩と悲しみが胸を締め付けます。

羋月ミーユエへの深い愛を抱きながらも、義渠ぎきょの王としての責任と誇りを捨てきれず、板挟みになる翟驪たくり虎威こいの死は、彼にとって決定的な転換点となる出来事でした。自らの手で未来を切り開こうとする虎威こいの壮絶な最期は、翟驪たくりの心に深い傷を刻み、更なる悲劇へと繋がっていく予感を感じさせます。

白起はくきの説得も虚しく、翟驪たくりの心は羋月ミーユエから離れていきます。二人の間の溝は深まり、かつての愛は憎しみに変わりつつあるように見えます。羋月ミーユエもまた、苦渋の決断を迫られる中で、心を痛めていることでしょう。

つづく