あらすじ
第八十話では、翟驪が秦国を三分割すると脅し、羋月に自分と嬴稷のどちらかを選ぶよう迫る場面が描かれています。翟驪の脅威に直面した羋月は、巧みな説得で一時的に彼の怒りを鎮めますが、翟驪は五日の期限付きで秦国の分割要求を取り下げません。この事態を知った秦の群臣たちは、宮中に重兵を配置し、不測の事態に備えることを決意します。
期限が迫り、翟驪は義渠の大軍を率いて咸陽に攻め込みます。白起は翟驪を説得しようとしますが、失敗に終わり逆に傷を負ってしまいます。翟驪は宣室殿に乱入し、魏冉たちと衝突、最後は蒙驁に射殺されます。
翟驪の死により、秦国は義渠を併合することに成功しますが、羋月は深く悲しみ、その心労から体調を崩し、病状は急速に悪化します。群臣や嬴稷は、この事態を深く憂慮し、自責の念に駆られます。
ネタバレ
翟驪は羋月に嬴稷と自分のどちらかを選ぶよう迫り、秦国を三分割すると脅しました。羋月はそれを拒否。翟驪が出兵の合図を送ろうとしたその時、羋月は翟驪への深い愛情を告白し、自ら縫った錦袍を贈りました。翟驪は心を動かされ、出兵は断念したものの、秦国分割の期限を五日間と定めました。
秦国分割の企てを知った群臣は出兵を主張しますが、羋月は秦国が混乱に陥ると仮対。協議の結果、宮中に罠を仕掛けることになりました。
期限が迫り、羋月は城壁の上で夕日を眺めます。そこに嬴稷が現れ、羋月は美しい景色とは裏腹に、状況は変わり果て、翟驪はもう二度とこの夕日を見られないかもしれないと嘆きます。そして、翟驪との思い出や恩情を回想し、本来広大な草原を駆ける野馬であった翟驪を宮中の窮屈な生活に閉じ込めてしまったのは自分だと自責の念に駆られます。
翟驪は秦国への進軍準備を整え、期限が過ぎると義渠の大軍を率いて咸陽へ進撃を開始。白起は迎撃に出陣し、義渠兵に武器を捨てるよう説得を試みます。兵士たちは迷いますが、翟驪は激怒し、白起を負傷させ、宣室殿へ乱入。殿内は兵士で守られていましたが、翟驪は猛攻を仕掛けます。魏冉、芈戎らと翟驪が激しく戦う様を見た羋月は悲痛に叫び、止めようと懇願しますが、翟驪は聞き入れず殺戮を続けます。蒙驁は状況の悪化を察知し、翟驪を射殺。羋月は深い悲しみに沈み、気を失いました。
翟驪の死後、秦国は義渠を併合。多くの良馬と騎兵を獲得し、東西への進出における後顧の憂いを断つことができました。しかし、羋月は翟驪の死のショックで臥せり込み、何も口にしなくなります。
庸芮、芈戎、魏冉、白起は見舞いに訪れますが、門前払いされてしまいます。公子芾と公子柱も見舞いを試みますが、羋月は面会を拒否。香児、恵児、穆辛が跪いて扉を開けるよう懇願し、ようやく羋月は姿を現します。やつれた顔に白髪交じりの羋月を見た群臣は心を痛め、嬴稷もまた深く自責の念に苛まれました。
第80話の感想
第80話は、壮絶な愛憎劇のクライマックスであり、羋月と翟驪の物語の悲劇的な結末が描かれた、非常に印象深いエピソードでした。翟驪の野性味溢れる愛と、羋月の国を背負う責任感の狭間で揺れ動く葛藤が、見ている者の心を締め付けます。
特に、城壁の上で夕日を眺めながら、過ぎ去った日々を回想する羋月のシーンは、彼女の翟驪への深い愛情と、自らの選択に対する後悔がひしひしと伝わってきて、涙を誘います。草原の野馬を宮廷という檻に閉じ込めてしまったという彼女の言葉は、二人の関係性を象徴的に表しており、非常に重みのあるものでした。
翟驪の最期もまた、悲劇的でした。愛する羋月を守るため、そして自らの誇りのために戦い、最期まで屈することのない彼の姿は、ある種の美しささえ感じさせます。しかし、その死は同時に、大きな喪失感を視聴者にもたらします。
つづく