あらすじ
第81話は、秦王・嬴稷が羋月を喜ばせるため、趙国から和氏璧を取り戻そうと十五の城と交換することを計画する様子を描いています。趙の使者・藺相如は和氏璧を携えて秦国へやって来ますが、秦王の誠意に疑念を抱き、和氏璧を趙国へ無事に持ち帰らせることを最優先に、秦王の裏切りを防ぐ巧妙な策を講じます。
この中で、羋月は藺相如への信頼と賞賛を示し、嬴稷が藺相如を罰しようとするのを阻止するだけでなく、秦に仕えるよう勧誘しますが、藺相如は丁重に断ります。
また、この回では、羋月が過去を振り返り、未来の事後処理について考える場面も描かれています。例えば、秦王家の陵墓地として驪山を選ぶなどです。
最後に、羋月の死後の情勢の変化を描くことで、秦が最終的に六国を統一する歴史の進展を示しています。
ネタバレ
始皇帝の祖母、秦の宣太后・ミーユエの物語もついに終幕。
贏稷は和氏璧を取り戻そうと、芈戎と魏冉にその所在を尋ねる。趙にあると知ると、15の城と交換しようと画策する。
趙の使者・藺相如が和氏璧を秦に届けるが、ミーユエは15城との交換だと知り、取引を拒む。庸芮は贏稷に、璧を受け取った後、城は渡さないという策を進言し、贏稷はやむなく同意する。
ミーユエは和氏璧を見て張儀の誓いを思い出す。藺相如の勇気と知略を称賛する。贏稷が藺相如を殺すかもしれないと考えたミーユエは、穆辛に密かに様子を探らせる。
藺相如は贏稷の誠意を疑い、5日間の斎戒後に取引を行うよう求める。しかし、5日後、藺相如は空の箱を差し出す。贏稷の裏切りを恐れた藺相如は、既に密かに璧を趙へ返していたのだ。激怒した贏稷は藺相如を煮殺そうとするが、ミーユエが駆けつけ阻止する。
藺相如の凛とした姿は張儀を彷彿とさせ、ミーユエは贏稷に藺相如の赦免を願い、秦に仕えるよう勧めるが、藺相如は丁重に断り、趙へ帰る。
ミーユエは贏稷に、和氏璧は既に手に入れたも同然だと告げる。贏稷はミーユエに、天下以外に大切なものはないのかと問うが、ミーユエは財宝はもはや身外物だと答える。
10年後、白起が楚を攻め落とし、屈原が自害したと聞き、ミーユエは悲しみに暮れる。
庸芮が公子柱の陪読を選ぶ際、ミーユエは黄歇に価た魏醜夫を見つけ、椒房殿に留める。
ミーユエは醜夫に春申君からの手紙を読ませる。醜夫の声に、ミーユエは黄歇の姿を重ね、様々な思いが去来する。
夢で贏駟に会い、涙を流すミーユエ。贏駟は「あちら」で待っていると告げる。目覚めたミーユエは自身の死後の準備を始め、兵馬俑を副葬品とすることを決める。翟驪の命日に麗山に赴き、驪山と改名し、秦王家の墓所とする。
ミーユエの死後18年、嬴政が即位。26年後、秦は中国統一を果たし、嬴政は始皇帝と名乗る。ミーユエの悲願は成就した。
第81話の感想
「ミーユエ 王朝を照らす月」全81話、壮大な物語がついに幕を閉じました。最終話は、波乱万丈の人生を歩んだミーユエの晩年と、その後の秦の繁栄、そして彼女が生涯をかけて目指した中華統一の達成を描いており、感慨深いものがありました。
特に印象的だったのは、和氏璧を巡る贏稷と藺相如の駆け引き、そしてミーユエの対応です。15城と引き換えに璧を得ようとする贏稷の野心、それを知略で出し抜く藺相如の胆力、そして両者の間を取り持ち、最終的には藺相如の才覚を高く評価するミーユエの慧眼。それぞれの思惑が交錯する中で、緊張感あふれる展開に引き込まれました。
また、ミーユエが魏醜夫に黄歇の姿を重ねるシーンは、切なくも美しい場面でした。長年連れ添った夫や息子たちへの愛情、そして生涯忘れられなかった初恋の人への想い。様々な愛の形が描かれ、ミーユエの複雑な心情が伝わってきました。
晩年のミーユエは、死後の世界で贏駟と再会することを夢見て、自らの陵墓の準備を進めます。兵馬俑を副葬品とするなど、壮大なスケールで描かれる葬儀の準備は、まさに一国の太后としての風格を感じさせます。そして、ミーユエの死後、彼女の悲願であった中華統一が嬴政によって成し遂げられるシーンは、彼女の生涯を締めくくるにふさわしい感動的な結末でした。
全体を通して、ミーユエの強さ、賢さ、そして深い愛情が改めて感じられる最終回でした。彼女の人生は波乱に満ちていましたが、常に自分の信念を貫き、周りの人々を愛し、そして歴史に大きな足跡を残しました。彼女の物語は、視聴者の心に深く刻まれることでしょう。