あらすじ
第十話では、粉黛の死によって深い悲しみに暮れる劉楚玉の姿が描かれています。彼女は、粉黛が自分の身代わりとなって命を落としたことを悟り、大きな衝撃を受けます。この出来事がきっかけで、劉楚玉は子業への失望を決定的なものにします。
一方、子業は依然として劉楚玉への信頼を寄せており、劉楚玉に十人の侍女を贈るなどしますが、こうした行動はかえって劉楚玉の苦悩を深めるばかりです。
それと時を同じくして、墨香は彧や攸之と共謀し、子業の失脚を企てます。その陰謀によって、慶之が毒殺されるという悲劇が起こります。この真実を知った劉楚玉は、粉黛の仇を討つ決意を固めます。
ネタバレ
劉楚玉は粉黛の死を深く悲しみ、その様子を見た天如鏡は訳を尋ねた。劉楚玉は粉黛が自分の身代わりとなり、最後まで仲間を明かさずに死んだことを知り、劉子業への愛想を完全に尽かした。劉楚玉が去った後、天如鏡は彼女が落とした錦囊を見つける。
子業は劉楚玉への疑いを全く持たず、むしろ粉黛を殺したのは姉が他人に心を寄せるのが嫌だったからだと嘯き、10人の侍女を劉楚玉に送った。一方、容止は粉黛殺害の報を受け、墨香の復讐心を煽り、劉氏打倒にはまず沈慶之を殺す必要があると告げる。
墨香はかつて湘東王劉彧の手の者で、劉彧は雌伏の時を窺っていた。容止の助力で墨香は劉彧に会い、子業を殺し劉彧を帝位に就ける密約を交わす。さらに墨香は沈慶之の甥である沈攸之にも接触し、沈慶之の地位を与える約束で協力を得る。
沈慶之は劉彧の野心を警戒し、子業に訴えようとするも相手にされず、痺れを切らして劉彧を襲撃する。しかし、墨香から防具を渡されていた劉彧は無傷で、駆けつけた子業は沈攸之と劉彧の讒言に乗せられ、沈慶之に殺意を抱く。
その夜、沈攸之は沈慶之の食事に毒を盛り、自ら殺害する。子業の指示もあったが、沈慶之の後継者となることを待ちきれなかった沈攸之の意思もあった。粉黛の死後、劉楚玉は天機閣を訪れ、閣主に子業への復讐を誓い、機会を待つよう告げられる。沈慶之の訃報を受け弔問に訪れた劉楚玉は、死因に不審を抱き、沈攸之を問い詰め真相を知る。
劉氏の天下を支える沈慶之が殺されたことを知り、劉楚玉は子業を詰問するため宮殿へ。そこで彼女は、子業が粉黛の皮と骨で作った皮影で遊んでいるのを目撃し、激しい怒りと悲しみを堪えながら立ち去る。天如鏡は錦囊について劉楚玉に聞こうとするが機会を得られず、越捷飛に錦囊が容止からのものだと確認し、協力を依頼する。
粉黛の死を忘れられない劉楚玉を気遣い、容止は流桑に命じて彼女を連れ出し、気分転換を図らせる。計画が佳境に入り、公主府に留まれる時間も残り少なくなっていた。流桑は劉楚玉を不思議な音を発する石がある場所へ連れて行く。湖畔に著くと、そこに隠遁者である観滄海が釣りをしている姿があった。蕭道之は彼に出仕を依頼するも断られる。建康の名門である蕭家の後ろ盾を持つ蕭道之。乱世の兆しの中、各勢力が動き出す。観滄海の去り行く後ろ姿を見ながら、劉楚玉はその正体と建康の情勢への影響について思いを巡らせる。
第10話の感想
第10話は、劉楚玉にとって大きな転換点となるエピソードでした。忠実な侍女・粉黛の死は、彼女に深い悲しみと子業への激しい憎悪をもたらしました。これまで心のどこかで子業への情が残っていた劉楚玉ですが、粉黛の皮骨で作った皮影で遊ぶという狂行を目の当たりにし、ついに愛想を尽かします。復讐を決意した劉楚玉の表情は、悲しみから決意へと変わり、今後の展開への期待を高めます。
一方、容止は著々と自身の計画を進めています。墨香を利用して劉彧と沈攸之を結びつけ、沈慶之を排除することに成功。冷酷な策略家としての一面が際立ちました。彼の真の目的はまだ謎に包まれていますが、その行動は常に計算深く、物語全体に緊張感を与えています。
また、沈攸之の葛藤も印象的でした。叔父である沈慶之への尊敬と、自身の野心との間で揺れ動く姿は、人間の弱さや複雑さを浮き彫りにしています。最終的に自身の野心を選び、沈慶之を殺害する場面は、見ていて辛いものがありました。
つづく